いるいないみらい (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 689
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041124444

感想・レビュー・書評

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  •  子どもがほしい夫とそれを強く望まない妻や子どもが大嫌いな女性、子どもを亡くした男性などが主人公の、子どもに纏わる短編集。子どもがほしいと夫にお願いされても、妊娠から子育ても含めて負担がかかるのは女性の方なので、踏み切れない気持ちもわかるし無理しなくて良いと思う。産んでみてやっぱり無理でした、では済まない。『無花果のレジデンス』にあった妊活プレッシャーは夫と妻どちらの気持ちにも共感できる。望む人の元にすんなり来てくれるシステムだったらいいのに。『私は子どもが大嫌い』が1番好きだった。どんな価値観の人にも、その人の選択によって幸せな未来が訪れますように。

  • 重いテーマなのに、柔らかい文章とお互いを思いやる登場人物たちの優しさに読んでいて心が穏やかになる。
    自分も病気で子どもが欲しくても諦めた過去があるので、いろんな人にいろんな角度からそっと心に傷をつけられたことが蘇り嗚咽をあげながら読んでしまった。

  • 産んでみたかったけど、産めなかった私。
    産む年齢にいる人も色々と苦しみがある、そう感じさせてくれるストーリーでした。

  • とても良い意味での星3です。
    やっぱり窪美澄さんの作品は良いです。
    それぞれの人々の悲哀が、消化出来ずに、それでも明日は続いていくみたいな。
    上手く言えないけど、読み終わった時にフラットな感動に包まれる印象です。
    フラットな温かい感情になるという事で星3です。

  • 本屋さんで文庫に目が止まり、あらすじを読んで興味を引かれ購入。

    心に残ったのは、私は子どもが大嫌い。嫌いと言いつつ、子どものことが、みくちゃんのことが気になってしまう主人公。
    みくちゃん、どうなっちゃうのかな。先が気になるお話でした。

    読んでて辛い…ってなったのは無花果のレジデンス。もし自分が原因の不妊だとしたら…と考えるとあまりにも辛かった。自分が積極的に子どもを欲しがっていた訳じゃないけれども、落ち込んでしまう主人公の姿に同情した。奥さんの立場からしたら休もうか?ってしか言えないけれども、主人公の立場に立つとその言葉は無くない??気を遣ってるつもり???って腹を立ててしまう不思議。〆で素直になった主人公を見れてよかった。

  • 令和の今になっても女性は結婚したら子供を産むものだ、とか、女性は子供が好きなのが当たり前、と、社会的には思われている。

    子供が嫌い、など人前で言ったとしたら変な目で見られるだろう

    必ずしもそうではない、いろんな人がいる、ということを周りは理解しないといけない

  • 子どもを持ちたい人、今は持ちたくない人、以前は持っていた人などさまざまな人が主人公の短編集。
    結婚したからといって必ずしも子どもを産まないといけないわけではない。それにもかかわらず、周囲の人は子どもはまだかとお節介を焼く。
    子どもがいるみらいといないみらい。どちらが幸せかなんて人それぞれ。


    【心に残ったフレーズ】
    「欲しいと思ったものが手に入らないこともあるの。手に入らなくても欲しい、欲しい、って手を伸ばすのが人間だもの。だけど、すでに持っているものの幸せに気づかないことも、時にはあるわね。それに……欲しい、欲しい、と思っていて、あきらめてたものがふいに手に入るということもあるの。」

  • 子供を持つか持たないかが主題の短編集。
    「私は子どもが大嫌い」がとても印象に残った。

    30代後半で独身の主人公は実家の上のマンションに一人暮らしをしつつも夕飯は母親が作ってくれたものを実家で食べている。
    最初は随分甘ったれだなと思いながら読んでいたが、いろいろな事情が明らかになり、何も知らないで悪かった…という気持ちになった。
    育ての親の愛情に込み上げるものがある。

    全ての話について「もう少しこの先も読みたい。」と思ってしまった。
    長編でも読んでみたい。

  • 窪先生の読者になって結構長いですが、私の中で凄いと感じたのは今までずっと繰り返しテーマにしてきた生殖に対していくら考えても答えは出ないと言うことが答えなのだと教えてくれた作品だと思います。アカガミは私にとって最も衝撃的な作品でした。こんな世界がやがて来るのではないかと一瞬でも感じたのですから...その後はドンドン色々読みましたが答えの出ないテーマを一貫して描いている窪先生自身も答えを探しているんだろうと言う事。でもこの作品を読んで悩んでいる人に安心や励ましを与える事にはなるだろうと感じたのは読んだ人だけなのだから未来は変わるかも...

  • 自分のこれからの生き方を考え直すいい機会になった。
    大体こんな感じになるんやろうな〜と思っていた人生じゃなくても良くて、選択肢はたくさんあって、その選択肢を一緒に選びたいと思える人と一緒に生きていきたいと思った。
    どうしても人と比べてしまいがちだけど、人生に正解はない。
    人に自分が正解だと思い込んでいることを押し付けるのはお門違い。

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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