後宮の検屍女官3 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041124918

感想・レビュー・書評

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  • 本当にこのシリーズ面白い!

    今回は母と子のお話が多かった気がします。でも相変わらずの女の園の後宮はドロドロ。そこで揉まれながらも目標を目指して一直線の桃花はすごいと思いました。

    他人に嫉妬して、嫌がらせをして…後宮だからこその事件が多く、特に帰蝶公主の事件の真相には心が痛くなりました。
    同い年で、まだ物の善し悪しもそこまで分かっていなく、止める大人もいなかった…帰蝶公主が一言「助けて欲しい」と言えば起きなかった事件。言えない気持ちの方がわかるので、悲しい気持ちになりました。

    途中辛すぎて何度も中断しましたが、才里と亮の登場シーンに戻ったりと救われました。亮には幸せになってもらいたいな。

    登場人物達も前向きに頑張っていて、素敵だと思います。桃花も前向きな気持ちのラストでこのまま終わるのかと思いきや、最後の終わり方に叫びました。

    次巻で物語が大きく動き出します。続きが気になってソワソワします。

  • 後宮に仕える女官が実は検死の技術を持っていて、秘密裏に検死を行い、真相を暴いていくシリーズ。
    検死女官・桃花は、淡々飄々としているようで、実は懐が深く、そして優れた検死の技術と真実を見抜く眼で真相にたどり着く。
    桃花の才に気付き、彼女を使う宦官・延明は無実の罪によって宦官となり、それ故に冤罪を忌み嫌う。
    この二人のやり取り、関係性もおもしろく、次巻が待ち遠しいシリーズだ。
    特に3巻はすごいところで終わっていて、こう終わらせ方にしたからには、ちゃんと次を出す算段はついてるのですよね?このままいつまでも次が出ないとか、ほんとやめてくださいね、と言いたい…。最近そういう感じのYA多いから…

  • 同じ乳母と娘でもこんなに関係が違うのか、そして今とは違う人を人ではなく変えのきく歯車の一つとしか見ない昔の在り方が、ヒシヒシと伝わった。
    検屍とは簡単なことではないし、汚いと言われることも事実であるが、それに誇りを持つ2人の姿が強い芯を持つ人として、尊敬できると感じた。

  • ここで、ここで終わるのですか⁉︎
    延明と桃花のフワフワしたいい距離感にほっこりしていたらまさかのこんな引きになるとは。次巻が待ち遠しい。

  • 第2巻の感想を書かぬまま、第3巻を読み始め、3巻の感想から記す始末・・・。
    後宮ミステリの3巻目。事件が事件を呼ぶというか、ものすごく事件が入り乱れる展開で、正直、この調子でついていけるかしら、と不安になり始めた。次巻に手を出すかは要検討。

    3巻は皇帝の寵妃である梅婕妤の乳母・曹絲葉の変死体が死王事件の舞台となった三区で見つかるところから物語が始まる。皇后派である掖廷令・延明は捜査を始めるものの、身投げによる墜落死であると早々に結論づけて捜査を終わらせようとする梅婕妤側の抵抗に遭い難航する。延明たちは逆説的に身投げではないと考え、検屍の心得のある桃花に検屍を依頼する。
    かつて梅婕妤の女官であった桃花を含め、曹絲葉を知る女官たちは異口同音に身投げなどするはずがないという。それも幽鬼の噂が未だ残る三区で。

    この物語の序盤で、点青が放つ一言が、私の感想とぴったり一致。
    「よくもまあ、つぎからつぎへと。最近やたら人が死ぬじゃないか。これもまた『死王』のしわざだってか?」(p.12)

    巻数を重ねるごとに、事件発生率が高まりどんどん複雑化しているように感じるが、死王の事件からずっと続く後宮をめぐる大きな陰謀が背後にあり、とっ散らかりすぎているかといえば、そうでもないような気もする。今回も、殺人事件は3件。それが、前巻までの事件も物語に出てくるから、なんだかやたらめったら事件が多いと錯覚してしまうだけなのかもしれない。

    梅婕妤と曹絲葉、公主である帰蝶と薇薇。梅婕妤を思うあまり敵陣営である皇后の護符にすら頼ろうとする絲葉に対し、豹変した帰蝶よりも自分への評価を気にするあまり手をあげてしまった薇薇。受動的に後宮から解放される日をただ待つだけの桃花と、目標に向かって少しずつ歩み出した延明。いろんな対比が出てくる。

    宦官だったり、女官だったり、後宮だったりという事情のために自分の思い通りにならず悶々とする人々の物語でもあるワケだが、同じようなことが繰り返されているような感じがして、少し読むのが面倒臭くなってきている。

  • ようやく二人が少し歩み寄れたと思った矢先、ラストにとんでもない爆弾が。
    ああ、あの歩み寄りは、次回の桃花への発破だったかと愕然とした読了。

    閑話休題。

    前回から引き摺った金剛の件は、黒幕は未だ分からずも意外な結末に。
    一方で後宮ではまた謎の多い殺人が。
    今回は形は違えど親子の絆を考えさせられる事件が多かった。
    帰蝶公主の件は特に胸を締め付けられた。
    まだ八歳なる少女への加害者のえげつなさがもう吐き気を催すほど。
    直接的な犯人より、彼女をそこまで追い込んだ奴らが本当に……しんどい。

    今回も事件は表面的な解決をしつつも、裏では何かが進行中。
    序盤に出てきた人物が終盤の事件に関わってきて、最初の事件と繋がるのは、前回でも見た構成で「おお、ここでこう来るか!」と不謹慎ながら楽しくなってしまった。
    そう思った矢先に、冒頭で述べた爆弾である。
    裏で進行していた何かが、これまでのフラグをきっちり回収した模様。
    これは、今からハラハラしながら続きを待たねばならないという。
    桃花、寝ずにこの危機を脱出できるだろうか。

  • 全体としては星は四つなんだけどラストのページが衝撃的で星五つ。
    次巻はどうなるの?いつでるの?!。
    未だに放火の黒幕がなぞのままで、気になる。
    本屋や出版関係の本が流行ったり、妖が流行ったり色々の題材にも流行り廃りがるように、最近は後宮が流行りな様子。
    その中でもこのシリーズは骨太で、しっかりと検死ついても宦官についても描かれており、読んでいて面白い。

  • 最近やたらと「後宮」という言葉に反応してしまい似たような本を読んでしまう。

    後宮の検屍女官3。なかなか読み応えがありました。
    物語とはいえ、子供が酷い目にあっている描写は読んでいてつらい。
    最後はとてもいい感じで終わりかけていて、あれ?最終巻?と思わせられたのだが、最終ページの一文で一気に目が覚めた。また次も読まなきゃ。

  • 不穏な終わりではないか!?

  • 10万部突破おめでとうございます。
    ひとつひとつが別の事件に見えて水面下で繋がっており、最後に円環のように回収される構成、美しい。本作に限ったことではなく、小野はるか先生はこういった構造美のあるお話を書かれる方だと思う。その手腕が遺憾無く発揮されている。読後の満足感がすごい。やばい粉掛かってる!って感じじゃなくて、じんわり毎日定食食べに通いたいお店という感じ。丁寧に書かれた作品は美しい。母と子、蝶と蚕の対比なんて涎出ちゃったね……。
    あとは今更ですが延明と桃花の言葉遣いがすごく好きなんですね。もちろん地の文もだいすきなんですけど。桃花の柔らかくも冷たくも読める慇懃なほどの丁寧口調と、延明の漢文っぽい言い回しが。ちょいちょい出てくる「よしなさい」みたいな育ちがいい言葉もすきですね。というか二人とも自分の語彙からはなかなか出てこない台詞回しですごく……新鮮で楽しい……。
    そしてここに二人の名前を打ち込んでいて思ったのだが、「桃花」「桃李」という名前がすでに業〝カルマ〟じゃないですか……。桃李は桃の実のことで、それは桃花が切望した「男」の姿の「検屍官」で。桃花という花がいずれ実を結ぶのか徒花となってしまうのか、みたいな。
    あとそう、今回は蝶と同じくらい「夢」が出てきましたけれども、蝶と夢は親和性のあるモチーフですよね。という。
    もう本編を理解するのにほぼ必要ないというか妄想じみた話なんですけど、なんかそういうところに丁寧に詰め込まれていると、すごく、「デコレーションされてるな」って感じがして……すごく……すきですね……。

    今回もいいものを読ませていただきました。感謝……。
    ところであの引きはひどいと思います(褒め言葉)。続きを……続きを……………………。

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著者プロフィール

福島県在住。「ようこそ仙界! 鳥界山白絵巻」で第13回角川ビーンズ小説大賞〈読者賞〉を受賞してデビュー。「後宮の検屍妃」で第6回角川文庫キャラクター小説大賞〈大賞〉〈読者賞〉をダブル受賞。

「2023年 『後宮の検屍女官5』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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