- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041138601
感想・レビュー・書評
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短編集。
「論リー・チャップリン」が良かった。息子が金(10万円)をくれと迫ってきてからのあれやこれやが突拍子もなく、しかし、もしかしたら子育てをしてる人はそういう経験もあるのではないかと思わせる親子の攻防戦を見ることができた。
解決策が見事だった。
泣き落としも効かないし、怒っても無駄だし、じゃあどうしたら良いのか…む…難しい。
10万円ぽっちあげればいいじゃないという意見は論外。そんなことしたら永遠に金を子どもからせびられる羽目になるだろう。
言っても分からない奴には、自分も訳分からん奴になって対処する。教訓になった笑
表題作は圧迫を求め続ける主人公が、最後に理想の圧迫を得る話だったが、誰が予想できただろうか。この主人公、怖いもの無しなんだろうな。むしろ怖いものを積極的に見ようとしてるものね。
隙間に埋まりたいという感覚は分からないでもない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
Amazonの紹介より
『爆弾』『スワン』の気鋭が放つ、超弩級のミステリ短編集
「ぴったりくる隙間」を追い求める広美は、ひとりの男に目を奪われた。あの男に抱きしめられたなら、どんなに気持ちいいだろう。広美の執着は加速し、男の人生を蝕んでいく――(「素敵な圧迫」)。
交番巡査のモルオは落書き事件の対応に迫られていた。誰が何の目的で、商店街のあちこちに「V」の文字を残したのか。落書きをきっかけに、コロナで閉塞した町の人々が熱に浮かされはじめる――(「Vに捧げる行進」)。
ほか全6編を収録。
物語に翻弄される快感。胸を貫くカタルシス。
文学性を併せ持つ、珠玉のミステリ短編集。
呉さんの脳内を読んでいるようで、今までにない呉さんの一面を垣間見たように感じました。
単独の短編集が6編入っていて、それぞれ人間の執着心における不気味さや恐怖さ、陰湿さが際立っていた作品でした。恐さはあったものの、後半に待ち受ける展開は「破滅」とは違った個人的には意外な展開の印象があって、妙な爽快感がありました。
後半はちょっと違和感のある展開なのですが、呉さんの文章力も相まってか、人間のイキっている感情が世界観に引き込まれて、魅力的なストーリーという印象があったり、追い詰めていく心理描写に、何とも言えない中毒性があったりと一味違った雰囲気がありました。
深掘りしていくと、あまり現実的っぽくなく、どこかの国で何やらやっている感があるような突き放された感覚がありました。
それはどこか、小田雅久仁さんの作品を読んでいるかのような空気感に似ていて、読んだ感想やその時の感情をどう言葉に変換すればいいのか、ちょっと出来づらいなと思いました。
呉さんのコアな部分を読んでいるようで、好き嫌いが分かれるのかなと思いました。 -
どれも犯罪またはある種の狂気を扱っているのだけど、
テイストの違う作品がそろった短編集。
表題作やボクサーの話が面白かった。 -
6つの短編集。
どれも著者らしいハードで切れ味鋭い。
ただ、「論リー・チャップリン」だけ、この中では異色のほっとするお話。
これがあるだけで、読後はヒリヒリしない。 -
うわ面白い。
今まで読んだことない部類の短篇ばかりでめちゃくちゃ新鮮。
どれも結末が予想できない。
中でも『論リー・チャップリン』は抜群の面白さで思わず笑ってしまう。
この作家さん、こんなコミカルな話も書くのか。
意外すぎる。
表題作も先が読めなさすぎて良かった。
ああでも『ダニエル~』の結末が一番かも。
真意が明かされた瞬間は興奮で震えそうだった。 -
コロナを皮肉ったものやくすっと笑えるものまで詰まった短編集。
「論リー・チャップリン」が最高だった。
中学生の息子に脅迫される父親のオロオロがなんだか笑えるタッチで書かれていて、今までの著者のイメージがいい意味で変わった。 -
個人的好みもあるが、質のバラツキがある。表題作の「素敵な圧迫」と「論リー・チャップリン」は間違いなく傑作で、この2編だけでも読む価値は十分ある。残り4編は好みの分かれるところ。最後の「Vに捧げる行進」はもう一工夫あれば面白い題材。
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どの話も今までに読んだことがない設定で新鮮だった。パノラママシンまでは面白かったけど
以降はちょっとダウン。チャップリンのお父さんさんがアタフタしている姿が面白い。この話が明るくて一番好き。他の話と毛色が違う。 -
6編収録されている短編集。呉さんの作品は初めて読んだけれど収録作の全てのレベルが高くて驚いた。表題作の「素敵な圧迫」の徐々に増していく不穏さや、「論リー・チャップリン」の子供の屁理屈やどう答えればいいか悩むような質問に対しての向き合い方が面白い。とくにこの2編がお気に入りだけど他の作品もそれぞれの色があって楽しめる。
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「素敵な圧迫」はフェチに突き進み逆らう事が出来ない人間の本能的な情熱に突き動かされる思いが描かれていた