素敵な圧迫

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 481
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041138601

感想・レビュー・書評

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  • 表題作の『素敵な圧迫』と『ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について』が面白かった。

    『素敵な圧迫』は狭い場所や圧迫感に幸福を感じる性癖を持つ女性が主人公。取引先の男性と肉体関係を持つようになりその男性の身体の重みや肌質などの圧迫感に虜になるが、彼には資産家令嬢の婚約者がいて───という話。設定も突飛なのだが、その後予想もしないような展開になるのが面白かった。なるほど、そっちか!
    『ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について』は、ある一人の天才ボクサーの半生を描く自伝小説の形態を取る。普通に面白く読んでいると最後にミステリ的な仕掛けがあり、なるほどと唸った。こういう仕掛けがあるミステリ大好き。

  • 呉勝浩3冊目、短編集は初めてだが、さすがに上手い。
    タイトルを見て「ちょっとヤラレ系のM系小説だったら苦手かもな」と警戒したんだが、そういう風味はありつつもちっとも苦手じゃない話で良かった。ミステリー的なオチもしっかりついてたし。

    他全部で6編の短編を収録しているが、どれも面白い。クセというかちょっとだけ捻りが加わっているのが、癖になるんやねぇ。ストレートすぎると飽きるし、捻りすぎると選り好みが分かれやすい。その合間を絶妙に縫っている感じ。

    でも、やっぱり、呉勝浩は長編。長編を読みたい。早く爆弾回ってこんかなぁ

  • 呉さんの文章が好きだ。情景や心理や、とにかく様々なものをまざまざと思い描くことが出来る、描写の巧みさが好きだ。

    短編集でありながら、読みごたえがある。
    特にボクシングを題材にした「ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について」では、ボクサーの身のこなしがみごとに再現されて実際の試合を見ているよう。

    うわ、嫌だなと思うような人間の描写もしかり。読み終えてドンヨリとしてしまうのは、とにかく引き込まれてしまうからなんだろうな。

    短編でありながら重ための話がほとんどだが、「論リー・チャップリン」は楽しんで読んだ。

    「ミリオンダラー・レイン」「Vに捧げる行進」の主人公にも好感が持てた。どちらもピリッとした風刺が心に刺さる。
    こうして思い出しながら書いててジワジワ来る感じ。
    やっぱり呉さんは面白い。

  • 「スワン」に心をつかまれたので「おれたちの歌をうたえ」「爆弾」と読んで、これが四冊目になる。
    悪くはなかったが、この人は長編のほうが読ませるのではないかと思った。

  • 世にも奇妙な物語を彷彿とさせるような不思議なお話をまとめた短編集。
    「素敵な圧迫」「ミリオンダラー・レイン」
    「論リー・チャップリン」「パノラマ・マシン」
    が私は好きでした。
    ちょっと間抜けで生きづらさを感じている、
    そんな人間臭い登場人物がまたいい。
    落ちもはっきりしていて、爽快感もある。
    この方の長編も読んでみたい。

  • 中々よく出来てて面白い中篇集。
    テイストが皆違ってて楽しめる。

  • 時節柄コロナに関連した話が多かったけれどコロナ要素が薄い論リー・チャップリンがイイ話で良かった。
    あとは一人語り調である意味がちゃんとあるハングマンが好みだった。
    とはいえこの人の作品は長編を腰を据えて読む方が良いなとも思った。

  • 少しシュールな読み心地のミステリ短編集です。初っ端、表題作「素敵な圧迫」からして凄い。何なんだろうこのタイトルは、と疑問に思っていたのですが。なるほどこれが「素敵な圧迫」なのか。まあこういう趣味の人もいるでしょうね、と思っていたけれど、まさかそういう方向に行っちゃうだなんて。
    「パノラマ・マシン」も凄いな。Fのあまりに自然体な邪悪さが強烈です。こういう邪悪な人間はたしかにいそうで、さらっと恐ろしい物語。だけれどそれに対抗するDもなかなかの人だな……執念という意味では、どちらが恐ろしいのでしょうか。
    「ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について」はボクシングの物語……ってあんまり興味はないなあ、ミステリっぽいところもあまりなさそう、と思いつつ一応読んでいたのですが、なるほどそういうオチが! 間違いなくミステリでした。

  • ちょっと不思議な短編集。
    一見、こんなこと現実ではありえないかなって思ってしまうけど、でもコロナ禍でそれまで無意識に信じていたことや普通だと思っていたことがあっけなく覆ってしまって、そんな経験をした今、何が起こってもおかしくないという気がしていて、だからこそすんなりと受け容れられた。

  • 全部毛色の違う短編集。バイクが出てきたら加点しがちです。

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著者プロフィール

1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。現在、大阪府大阪市在住。2015年、『道徳の時間』で、第61回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。18年『白い衝動』で第20回大藪春彦賞受賞、同年『ライオン・ブルー』で第31回山本周五郎賞候補、19年『雛口依子の最低な落下とやけくそキャノンボール』で第72回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)候補、20年『スワン』で第41回吉川英治文学新人賞受賞、同作は第73回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)も受賞し、第162回直木賞候補ともなった。21年『おれたちの歌をうたえ』で第165回直木賞候補。他に『ロスト』『蜃気楼の犬』『マトリョーシカ・ブラッド』などがある。

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