火の鳥 4 鳳凰編 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041851043

作品紹介・あらすじ

永遠の命とはなにか。不死の〈火の鳥〉を軸に、人間の愛と生、死を、壮大なスケールで描く。天才手塚治虫が遺した不滅のライフワーク。各巻カラーイラストの表紙、巻頭に十六頁カラーを掲載。

感想・レビュー・書評

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  • 宗教と政治が結びつき絶対権力者となる…いつの時代にもこの恐れは潜んでいる。たまたま安部元総理襲撃事件で浮かび上がった統一教会問題が今現在大きく報じられいている。

  • 火の鳥の中に一貫して流れている
    テーマのひとつが宗教と政治
    人を精神的に安らかにさせるのが
    本来の宗教なのに
    いとも容易く人をしばつけ
    支配するものとして使えるものだと
    恐ろしく思う

    ブックオフにて取り寄せ

  • 舞台は奈良時代。仏像彫り師の茜丸と、生きるため多くの人間を殺してきた片目片腕の我王、2人の男のお話。彼らはいわば「善」と「悪」で対比されるかの様に描かれていくのですが、我王は速魚(我王に救われたテントウムシの生まれ変わりの女性)の愛に触れ、僧正の輪廻転生の話に心を動かされ、仏像を彫ることで初めて他人から感謝される喜びを知り、変わっていく。
    一方茜丸は鳳凰の像を完成させた後、後世に自らの名を残すことだけを考える様になります。我王との彫り物勝負で負けるも、我王の過去を引き合いに出し自分の勝利を手にする。

    理不尽な理由で簡単に人が死んでいきます。また、この巻で初めて輪廻転生についてハッキリと言及されます。
    「なんになるかはだれも決められん…ただいえることは前世でどんな生き方をしたのかの報いが来世にかかわるのじゃ」

    茜丸は今後この世が終わるまで人間に生まれ変わることは無いと火の鳥に告げられます。一方我王は、苦しみ続ける業を背負いこれから何度も人間として転生し続ける…。これはどちらもキツいです。最終的に我王が善の心を持ったとしても、彼がこれまで人を殺してきた罪は消えない。火の鳥に我王は苦しみ続ける自分の子孫を見せられるのですが、その中には未来編の猿田博士も出てきます。

    自分の人生は怒りで満ち溢れていたと振り返る我王に、火の鳥は
    「お前だけでは無い。人間はすべていかりにつつまれた人生を送った」
    「いかりをその苦しみを力いっぱいに訴えなさい!」と語りかけます。

    理不尽なことばかり、怒りでいっぱいの人生の中で、その苦しみを生きる力に、何かを作り出す力のエネルギーにしろと読みとれました。
    両手を失った我王は太陽の光を受け、世界の美しさに涙します。
    読み終わって何とも言えない気持ちになりました。茜丸だって悪人ではなかった。

    ブクログで発見したのですがファミコンゲームで「火の鳥~我王の冒険~」というソフトがあるらしく興味をそそられました…笑

  • 言わずと知れた超名作。
    中でもこの鳳凰編はマンガのひとつの完成型だと思うのです。

    速魚の死と、茜丸の死の場面の美しさといったらもう。

  • 火の鳥シリーズの中で一番好きな1冊です。我王と茜丸の人生が交差しながら、それぞれに変わっていく様が味わい深い。

    「虫魚禽獣死ねば... どれもみんなおなじ!
    人が仏になるなら... 生きとし生けるものはみんな仏だ!」

    生命は全て円となり循環している。
    仏教の宇宙観に基づく物語の時空間の大きさに圧倒されます。 

  • 人間の業と輪廻転生の物語。ふたりの主人公の生き様がいい。

  • 鳳凰編
    仏師茜丸と、盗賊我王の二人が対比される形で描かれる。
    茜丸は、右腕が使えなくなったことで逆に精神性を取り戻すが、のちに芸術性にとらわれて心をなくす。
    我王は、人を信じず残虐な男だったが、速魚や良弁上人に触れて少しずつ変わる。
    単純な対比ではなく、二人それぞれに揺れ動き、迷い、考える、その部分の深みがものすごいと思った。
    仏教の輪廻思想がかなり色濃く押し出されており、誰も救わない奈良時代の政治と結びついた仏教への皮肉もある。
    なんとも複雑で、単純には言いつくせない深い作品だ。

  • 読むのが苦しい、でも読みたい、読まなくちゃと思う巻だった。
    怒りは原動力となるんだなぁと思った。輪廻転生について深く知ることができて世界観が広がった。

  • 「生きる? 死ぬ?
     それがなんだというんだ。
     宇宙のなかに人生など いっさい無だ!
     ちっぽけな ごみなのだ!」

  • 有名作『火の鳥』であるが,この「鳳凰編」は,出色の出来と思う.
    正直なところ,手塚治虫氏の作品は濃厚とは思うがちょっと優等生的にも感じられて,クレイジーさや予測不可能さでは他の作家のほうが好きだ.でも,この作品はとても好き

  • おまえが生んだ仏は
    おまえだけのものだ
    だれにもまねられぬ
    だれにも盗まれぬ

  • 村の慰み者 我王 野伏り 俺には生き続ける権利があるんだ 輪廻 虫魚禽獣 因果応報 大和の茜丸 鳳凰 煉獄 ブチ 帝 遣唐使 ミジンコ 鬼瓦 奥州平泉の国分寺 即身仏 旱魃 開眼式 東大寺の大仏 勅命ちょくめい それは宗教と政治が結びつき貴族が絶対権力者となる時代の予兆ともいえるものだった 公序良俗 長谷川町子 「神」に与えられる賞など現世に存在するはずもない 拙作 生命の真実を渇仰して滅びる 螺旋状の円環 拙文 酒見賢一

  • 盧舎那仏の時代。
    善人らしく思われていた茜丸は権力に溺れ、明らかに悪人だった我王(サルタヒコの系譜)は怒りの仏師になる。
    そして我王が世界の美しさに気づく場面には、火の鳥はいない。独自に気づくわけだ。

    いやすごいねこのシリーズ。

  • 我王は事実殺人鬼だけど最初から最後まで殺人鬼とは思えなかった。仕方ない、というかやむをえない感じ。人を敬うとか忍耐とかそういったことを学んだ。

  • 幼稚園でアニメを見た時と、小5で漫画を読んだ時の2回、私をノイローゼに追い込んだ恐ろしい本。

  • 火の鳥といえばこの鳳凰編のイメージ。我王。

  • 輪廻転生。
    一寸の虫にも五分の魂。
    怒りの力。
    大仏は権力の象徴。
    生きるということ。

    また読み返したい。

  • 子供の頃角川でアニメ映画化され、ファミコンソフトで発売された鳳凰編、というのが自分の鳳凰編に対する記憶だった。
    当時のコナミらしくいいアクションゲームだったが、当然主人公が我王で仏師だということ以外なんの共通点もない。
    アニメ映画はテレビ放映されて観たはずだが、正直子供では内容もろくにつかめなかった。
    この時我王が腕を失っていることを知ったんだっけな。ゲームだと普通にのみ投げてぴょんぴょん飛び回っているのでわからなかった。
    そういや鬼瓦を作って足場にしていたりもしたっけか。
    今思うと物凄い原作無視だわ。
    まあ当時の技術で鳳凰編をどうゲームに出来たって原作通りには作りようなかっただろうけど。

    映画が86年、ゲームが87年らしいので、改めて本編を読んだのは30年以上経ってからということになる。
    というわけで一気に読み切った。
    やっぱり手塚漫画らしくメタフィクションが酷い。
    しかしそれでもなおこの世界観は濃すぎて引き込まれるなあ。
    我王と茜丸の対比、そこで関わる人物のその後の螺旋の繋がりよう、これまでよりも段違いで複雑にして濃厚だった。
    しかしテーマとしては非常にわかりやすい。
    人気があり有名なのもよくわかった。

    若干話が逸れるが、解説で手塚治虫が共産党と関わりがあったという一文を見た。
    なるほどたまに出てくる反権力賛美の思想はそんなところから来ていたのかとちょっと納得してしまった。
    鳳凰編でもちらりとそんな話がある。
    手塚作品を考える上で押さえておくべきポイントだと思う。

  • 20220306

  • 面白い

  • 鳳凰編。
    1万円札の裏側に印刷されていて、よく目にする鳳凰...ホウオウゴケが好きなので、気になるホウオウ。
    2人の木工を軸に物語は進んでいきますが、どうやって複雑な展開を考えられたのか...感心させられました...

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  • 鳳凰編がどういう形で他編に触れ合うかは忘れてしまっていた。

    一方では茜丸が鳳凰の姿を求める形で黎明編の下りに触れ、一方では我王がずいぶんと後半、鬼瓦を作成する過程で宇宙・生命編にようやく触れる形をとっている。それでいて自分の中では茜丸と我王が憎しみ合う形に至るまでの順序があやふやになっていたり、ブチと乱世編のヒノエのイメージが重なっていたりして、それはそれで輪廻転生を扱う物語ゆえにあっていいことなのかもしれないけれど再読の間隔がちょっとあきすぎたのかもと自戒してみたり。

    三巻のレビューに書いてみた「どの順で読むのが良いか論」は本巻巻末の酒見健一氏による解説によってきれいに整理されていた。彼のオススメは「発表順」であり、それにより仮に火の鳥に最終回があったとしてそれについて思いを巡らすというやり方であった。

    うむ、参考にしてみよう。

    まずは角川文庫版、正順で再読から!

  • 鳳凰編。仏師茜丸と片目片腕の我王の話。我王の人世が悲惨で途中は読んでいて辛かった。

    政治のために仏教が利用されていた時代。そういう人間のエゴをなんとなく感じるから、個人的にお寺の雰囲気は好きになれない。

  • 人間も動物も虫も、命の重さはみんな同じ。

  • 手塚治虫のシリーズ「火の鳥」の中でも最高傑作の呼び声高いのがこの鳳凰編。
    舞台となっているのは8世紀、聖武帝の頃の奈良の都。

    鬼畜のごとき殺人者だった我王はある事によって命の尊さを知り、
    苦難を経て己の存在を見つめなおしてゆく。
    飢餓に苦しむ人々とともに這うように生きる我王と、絢爛豪華な大仏建立を手がける茜丸。
    違う道を歩いてきた二人の仏師の運命が交錯し、
    印象的な生命のドラマを生み出している。

    輪廻の摂理、生きることとは何かを説く仏教。
    一方、政治と癒着し、権力の道具とされてゆく仏教。
    そんな世の中にある欺瞞と憤りが見事に描かれ、
    その中であがくように生きる生命のみずみずしさが鳳凰(火の鳥)に
    シンボライズされてゆく。

  • 角川書店(文庫版ではない)昭和61年4月30日初版発行
    我王 茜丸 

  • 我王のキャラクターがすき

  • 鳳凰編
    85点

  • 我王と茜丸の交じり合う人生の中で、有為転変、諸行無常を感じた。
    「悪」一辺倒だった我王が、人に感謝される気持ちを不器用ながらも感じ、次第に悟りに近い状況になっていく。
    善悪は表裏一体でありともに必要であるのではいかと考えさせられた。

    考えさせられ過ぎて上手く言葉がまとまらない。
    もう少し歴史の教養があればより一層楽しめるのではないかと思った。

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著者プロフィール

1928年、大阪府豊中市生まれ。「治虫」というペンネームはオサムシという昆虫の名前からとったもの。本名・治。大阪大学附属医学専門部を卒業後、医学博士号を取得。46年、『マアチャンの日記帳』でデビュー。幅広い分野にわたる人気漫画を量産し、『ブラックジャック』『鉄腕アトム』『リボンの騎士』『火の鳥』『ジャングル大帝』など、国民的人気漫画を生み出してきた。

「2020年 『手塚治虫のマンガの教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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