青の炎 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.87
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感想 : 1687
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  • / ISBN・EAN: 9784041979068

感想・レビュー・書評

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  • 脱角川ホラー文庫として期待値特大で読み進めた記憶がある。貴志さんの作品は大好きなのだが、角川ホラー文庫特有のオカルトな展開が苦手だ。

    こちらは少年の繊細で複雑な心の描写と、若さ故の過信や葛藤を含めた感情の起伏が細かく表現されており、尚且つオカルト要素が皆無。素晴らしい。
    正統なダークストーリーであり、自分の常識内の想像力で話を追えるので感情移入もしやすかった。

    昔に読んだ本なので記憶は薄れているが、切なく胸が苦しくなるラストははっきりと覚えている。
    少年の複雑な感情とどこか迷いながら起こす数々の行動に、やるせなさと同情心で心が占領されていた。映画を見た事がある人は是非原作を手に取ってもらいたい。

  • 貴志さんの初読。
    あなたにオススメにずっーと出てた&皆さんの本棚で表紙はよく見ていた作品。

    解説にもある通り完全犯罪に挑む高校生主人公の孤独な戦いの物語。

    普通のミステリーは、事件起こり行動や動機を推理して事件を解決する。
    当作品は、倒叙推理小説というものにあたるらしい。完全犯罪を計画し、人物の心理がたくさんかかれており、ストーリーの展開が普通のミステリーと逆とのこと。そうでした。

    読後感は心臓を切り裂かれた想いです。
    悲しさ、やるせない。今日眠れないかも。くらい心が痛い(><)

    終始、主人公の見方になり読み進め、でもハラハラと心配なるし、最後まで一気読み。
    ラストはもう、やだーーー
    切ない。久しぶりにラストこんな気持ち。
    癒されるのは、紀子ちゃんとの2人の時間くらいだな。
    ラストの後に、自分が母なら、自分が妹なら、自分が紀子ちゃんの立場なら?の気持ちを考えてしまい、もう本当切ないでは表せない気持ち、、、、
    この気持ちどうしてくれるんだー!!貴志さんやめてー(>_<) 他の作品読んだことないけど、読みたいけど読めるかな、、。
    なんだかんだで、個人的には超絶高評価となりました。そして、初めて倒叙推理小説というものを読んだ気がします。多分。

    明日仕事休みたい笑

    • あゆみりんさん
      なんなんさん、おはようございます♪
      今日のお仕事は大丈夫でしょうか?

      「青の炎」を読んだ時、私も同じ気持ちになりましたよ_:(´ཀ`」 ∠...
      なんなんさん、おはようございます♪
      今日のお仕事は大丈夫でしょうか?

      「青の炎」を読んだ時、私も同じ気持ちになりましたよ_:(´ཀ`」 ∠):
      高校生でこんなにも背負って、覚悟決めて…
      胸が苦しくなりましたよね、愛が深かったからこその事件、そしてラストでの散り方…
      彼の想いの深さや覚悟を思うと、涙でした。
      2023/01/19
    • 1Q84O1さん
      なんなんさん
      こんにちは♪
      はじめまして
      あゆみりんさんと同じく心配しています…
      仕事は大丈夫ですかw

      この作品いいですよね!
      私は貴志さ...
      なんなんさん
      こんにちは♪
      はじめまして
      あゆみりんさんと同じく心配しています…
      仕事は大丈夫ですかw

      この作品いいですよね!
      私は貴志さん大好きで本作もお気に入りのひとつです
      (読んだのはだいぶ昔ですが…)
      ラストはほんとに切ないです…
      貴志さんの昔の作品はホラー系が多いですが、ぜひ他の作品も読んでみてください^_^
      2023/01/19
    • なんなんさん
      あゆみりんさん、1Q84O1さん
      こんばんは。

      本日無事に仕事は行きました。
      ただ、あまり集中出来ず、本の回想をしていた感じです笑

      ホラ...
      あゆみりんさん、1Q84O1さん
      こんばんは。

      本日無事に仕事は行きました。
      ただ、あまり集中出来ず、本の回想をしていた感じです笑

      ホラー系は怖いから苦手なんですけど、他の作品も読んでみようと思います。

      青の炎は、映画5本連続で観たくらいの感覚。
      私もガレージでお酒飲みたいです笑
      2023/01/19
  • ブグログのあなたへのおすすめに、出てて、タイトル知ってるし、映画観た気もするけど、倒叙ミステリーとして、有名やから、更に古本屋で安く売ってるし、読んでみるか!で読むことに。(積まれてる本さん、ごめんなさい…一文長過ぎ、ごめんなさい…)

    炎は温度の高さによって色が変化する。
    思い浮かべる赤い炎というのは炎の中ではかなり低い温度で、炎は温度が低ければ赤く、高くなればなるほど青くなる。
    青って、内面は、凄く熱くなっているんやけど、見た目は冷たい感じ(冷静)がして、何か赤より怖い。
    本気で怒ってる時って、怒鳴るとかせず、逆に無口になるもんな。
    まぁ、本作も怒りMAXなんや…

    …完全犯罪なんてないもんな…
    なんぼ、優秀だといっても高校生だし…
    しかし、動機が、ツラい(T . T)
    母と妹を守ること。これは最後まで、一貫してる。自分の事は二の次にして…

    「犯人を助けてあげたい度」はダントツ一位らしいけど、分かる!でも、この感じだと、また、青い炎に…って気もしてくる。やはり、一線を超えるとあかんのかな…「山月記」を例にしてたけど…
    一度火をつけてしまうと、瞋りの炎は際限なく燃え広がり、やがては、自分自身をも焼き尽くすことになる…

    警察も弁護士さんも何もできないのなら、自分で!って思わせる世の中を変えたいと切に思う。

  •  主人公・秀一は高校生。10年前に母と再婚・即離婚するも、突然現れ居座る曾根。この男は、酒と競輪に溺れ、母と妹にまで食指を伸ばそうとする屑男でした。秀一は静かに激怒し、早い段階で殺ってしまおうと『強制終了』を決意します。

     表題の『青の炎』の〝青〟が印象的です。実際の燃焼温度差は 「赤」<「青」、しかし色相の印象温度差は 「赤」>「青」と真逆です。
     秀一の心に燃え広がった憎悪の炎は、刹那的・爆発的な真っ赤な炎ではなく、熟慮に裏付けられた、静かでより高熱を発して燃える青い炎でした。さらに、青春の〝青〟と湘南の海の〝青〟のイメージが鮮やかに重なります。

     倒叙ミステリーっていうんですか、秀一の計画から実行、その後に至る内面・心情が、切ない程詳細にかつ濃密に描かれ、痛いくらいに読み手に伝わってきます。構成も素晴らしいですね。
     17歳という無邪気さ、無謀さと危うさ、そして未熟さと愚かさと相反する巧緻性と実行力が秀一の中に混在しています。
     家族を守るための完全犯罪の破綻、簡単に消えない青い炎の支配、これらを通して闇に取込まれていく過程が見事に描かれています。もはや、ミステリーを超越した優れた人間ドラマになっています。

     この秀一が最後に選んだ道は‥? 余りにも尾を引く結末に茫然とし、暫し何も手につきませんでした。刊行から20年以上の時を経て、全く古さを感じさせない記憶に残る素晴らしい一冊でした。

    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      kuma0504さん、おはようございます♪
      コメントありがとうございます。やはり映画は観ないことにします。何年か経ったらわかりませんが‥。
      ...
      kuma0504さん、おはようございます♪
      コメントありがとうございます。やはり映画は観ないことにします。何年か経ったらわかりませんが‥。
      ラストシーンが頭から離れないんです。ふと思ったのが、柚月裕子さんの『盤上の向日葵』と重なるな‥ということ。個人的な感想ですが、本作が影響を与えてるんでしょうか? 両作品のラストが共鳴し合っている気がしてなりません。
      単なる退廃美を超えた強烈なインパクトです。
      ありがとうございます。
      2023/06/16
    • なんなんさん
      初コメです。宜しくお願いします^^
      私も、この本めちゃくちゃ好きです。
      最後のシーンは、もう描写が頭の中回想します。
      あまりにも好き過ぎて映...
      初コメです。宜しくお願いします^^
      私も、この本めちゃくちゃ好きです。
      最後のシーンは、もう描写が頭の中回想します。
      あまりにも好き過ぎて映像化も見ました、良かったですけど、本の方が良かったです!!!
      過去歴代ベスト5に入るくらい好きです。
      2023/06/21
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      なんなんさん、こんばんは♪
      コメントありがとうございます!
      過去歴代ベスト5! おぉ凄い! 感動を共有できてよかったです。今後もよろしくお願...
      なんなんさん、こんばんは♪
      コメントありがとうございます!
      過去歴代ベスト5! おぉ凄い! 感動を共有できてよかったです。今後もよろしくお願いします。
      2023/06/21
  • 古畑任三郎のような、犯人からの視点で話が進む倒叙ミステリ。めちゃくちゃ面白かった。ガッツリのめり込んだ。
    こんなに読者を味方につける殺人者はなかなかいない気がしている。

    高校生・秀一は、勉強が得意でちょっと斜に構えている感じだが母と妹思い。
    クズ描写が清々しい義父から家族を守るため、完全犯罪を行う決意をする。

    とても面白かったのが、殺害のアイデアのヒントが教科書から出てきたり、国語の引用が非常に多く見られたりするところ。
    私が一番好きなのは「山月記」の引用だ。
    発狂から虎になってしまった李徴の独白を自分と重ねる秀一。
    自分の意識が徐々に無くなり、虎になっていく恐怖。秀一自身が殺人者(虎)になっていく恐怖と重なる…
    そこを義父を人と見ずに、クズを始末するだけ、家族を守るため、と自分を奮い立たせる。

    秀一の事が好きなヒロイン・紀子との関係も切なかった。利用しようと近づいたが、本当に惹かれてしまう。しかし、犯罪に気づかれ彼女を深く傷つけてしまう。
    あと紀子がコナン君並みに鋭い。観察眼あるし、警察官とかになるべき。

    秀一は勉強は出来たかもしれない。しかし全てにおいて想像力が足りなかった。
    実際に人を殺すとはどういう事なのか。
    嘘をつき続ける人生とはどんなものなのか。
    未熟さ、切なさ、若さ、惨めさ…
    湘南の爽やかな描写と相まって胸が締め付けられる。
    誰かこの、本当は弱く傷つきやすい少年を守ってやって欲しかった。



    そして最後に出てくるトラックの運転手さん。
    ただかわいそう。

  • 辛すぎる! 家族を守るために計画殺人を企てる高校生の心情が切ないっ 心痛いミステリー★5

    母と妹との幸せな家庭に入込んできた母の別れた再婚相手。正義感と責任感が強い主人公がダメ男に鉄槌を下すべく完全犯罪の殺人を計画する。

    夢も希望もあまり溢れるはずの青春時代が、どうしてこうなった…
    頭脳明晰で責任感がつよく、思う存分甘えられる人が周りにいなかったのが原因でしょうか。荒れたり、すさんだ生活になったりするのがよくある成り行きなんでしょうが、重要な決断をするまえに、諭してくれる大人がいなかったのが悔やまれる。

    こんな家庭環境は、ほんのすぐ近くにありそうで、どうすれば大人たちはこういった青年たちを救えるのでしょうかね。未来のない選択だけは、させたくないのですが。

    本作は主人公の心情描写がホントにお上手。思い悩みや決意が深々と伝わってきて胸が苦しいです。家族、ヒロイン、友達のキャラクターの描き方も素晴らしく、主人公に対する愛がひしひしと感じられます。

    ストーリーは倒叙ものですが構成の組み立てが巧み。そして少しずつ解き明かされてしまう感じが超怖いぃぃ

    純粋な正義を貫く様を刮目してほしい、ミステリー好きには超オススメな作品です!

    • nazunaさん
      はじめまして。
      貴志祐介の作品は「黒い家」がこわすぎて、他の著作に手を伸ばせずにおりましたが、こちらの感想を拝見して読んでみたくなりました...
      はじめまして。
      貴志祐介の作品は「黒い家」がこわすぎて、他の著作に手を伸ばせずにおりましたが、こちらの感想を拝見して読んでみたくなりました!読みます!
      2022/03/16
    • autumn522akiさん
      nazunaさん、コメントありがとうございます!

      私はむしろ「黒い家」を読めてないんですよね~。読む気は満々なんですが、積読が大量にあ...
      nazunaさん、コメントありがとうございます!

      私はむしろ「黒い家」を読めてないんですよね~。読む気は満々なんですが、積読が大量にあってまだ手が伸びてません。今度買ってきます!

      本作はかなり胸をうたれる良作なので、決して損はさせませんよっ
      2022/03/18
  • なんてことだ!
    めっちゃくちゃ面白かった!
    なんで今まで読んでこなかったんだ!!

    貴志さん好きの 1Q84O1さんとyukimisakeさん
    二人のおすすめ本

    ✎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
    湘南の高校に通う17歳の櫛森秀一。
    シングルマザーの母と妹と暮らす幸せな家庭。
    家族の平和を壊す男が 櫛森家に居座るようになったのは十日前……。母にお金をせびり、酒乱でギャンブル中毒。その男は母の別れた夫。なぜ母は男を追い出そうとしないのか…。
    自分たちはいつまで男の存在に怯えながら暮らさなくてはいけないのか。

    秀一はある決断を下す。

    「俺は、どうしても、この男を『強制終了』させなければならない」
    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    貴志さん本人も大好きだという倒叙ミステリー。

    この作品の主人公の秀一は 同級生たちより少し大人びていて頭脳明晰。殺るなら完全犯罪をと綿密な計画を立てる。

    けど普段の彼は 友達に変な渾名を付け 妹に宿題を教え 母を助け 好きな子とデートとも言えないデートをし…。普通の男子高校生。

    この設定が本当に秀逸!

    始めはきっと妄想でしかなかった殺人。

    いざ相手の心臓を止めるスイッチを手にして恐怖で怖気付きそうになる場面や、警察の捜査にどこまで自分の精神が持ちこたえられるか不安になる場面。

    本当に完全犯罪は成功するのかというドキドキと共に、秀一の苦しみも伝わってきてなんと言いえない気持ちになる。

    特に 石岡を殺してしまった第二の殺人の後からの展開がすごい。てか、石岡の家族の悩みとあのナイフを ここで持ってくるってさ!

    「自分は、これから、どこへ行くのだろうか。そう思うと猛烈な悲しみが襲ってきた」
    「強烈に胸に迫っているのは、底知れぬ喪失感と虚無感だった」

    用意周到に行われた殺人。
    一方で殺人を犯した事実に耐えきれなくて パラレルワールドではなにごともなく幸せに暮らしているんだと現実逃避する日々。このギャップが切ない!秀一も普通の高校生で普通に一生を終えるはずだったんだよなぁって。

    家族想いで 友達想いの秀一。このまま闇に堕ちてしまうのか…。

    辛い結末しか見えてこない状況で、訪れる紀子と結ばれる時間とか…。笈川と大門との友情とかっ…!
    ( ߹ㅁ߹)

    それであのラスト二行ーーーー!!

    もうダメだ。やられた。

    もっと他の選択肢があったんじゃないかなんて、
    このどうしようもない気持ちを どこに持っていけばいいのかわからない。

    読了後 暫くたってからも このラストシーンを思い出しては悲しくなってる。ってことは やっぱりユキが言ってたように「これ以上のラストはない」んだろうなぁと思った
    ゥゥ。・(つд`。)・。

    最高の倒叙ミステリーで 最高の青春小説⟡.·*.

    【一度火をつけてしまうと、瞋(いか)りの炎は際限なく燃え広がり、やがては、自分自身をも焼き尽くす】

    • ゆーき本さん
      「雀蜂」 ゆきいち二人すんごい酷評で逆に読みたくなってる笑
      自転車ーーー。・゚・(*ノД`*)・゚・。
      「雀蜂」 ゆきいち二人すんごい酷評で逆に読みたくなってる笑
      自転車ーーー。・゚・(*ノД`*)・゚・。
      2024/03/14
    • shintak5555さん
      ベッド!
      新世界に★5つが付くことにワンダラー!
      無謀なギャンブルっす!
      ベッド!
      新世界に★5つが付くことにワンダラー!
      無謀なギャンブルっす!
      2024/03/14
    • ゆーき本さん
      新世界より 人気!
      それより 私がいつ読み始めるか………
      新世界より 人気!
      それより 私がいつ読み始めるか………
      2024/03/15
  • 読んでいる間中ドキドキして、ページを捲るのが怖くてたまらなかった。

    一人称が犯人パターンはヤキモキしてドキドキして心臓に悪い(^_^;)
    なのに読むことを止められない勢いのようなものがあり、没頭してしまう。

    この作家さんの小説は妙に感情移入してしまって危険(^_^;)

  • 凄く面白かった。ドキドキ感もあり素晴らしい。練りに練って考えた手段で、完全犯罪を目論む主人公。熱い家族愛から殺人を引き起こす負連鎖。
    高校生らしい濡れ場なんかもあって、本当に良い作品。実写化していて、嵐のニノが主人公だそうだ。

  • 私にとっての初貴志祐介作品ですが、どんどん物語に引き込まれて、ページをめくる手が止まらなくなりました。
    家族を守るために完全犯罪を計画する高校生の少年。時間と共に追い詰められる心理状態や淡く切ない恋のお話など様々な感情が巡ります。
    オススメ!

著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学卒。96年『十三番目の人格-ISOLA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2023年 『梅雨物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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