仏教の思想 12 永遠のいのち<日蓮> (角川文庫ソフィア 117)
- KADOKAWA (1997年6月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041985120
作品紹介・あらすじ
「古代仏教へ帰れ」と価値の復興をとなえた日蓮。永遠のいのちを説く「久遠実成」、宮沢賢治に数多の童話を書かせた「山川草木悉皆成仏」の思想など、日蓮の生命論と自然観が持つ現代的な意義を解き明かす。
感想・レビュー・書評
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日蓮について最初に読む本であるとは思わないが、独自な視点がいくつかあり、必読文献である。
紀野一義は日蓮の人物像と信仰の本質を突く。
紀野に比べて、全体的にオーソドックスな梅原猛だが、日蓮の歴史哲学について触れる部分は独自性がある。日蓮は陰がないという指摘も意義深い。
昭和44年の著作なので、事実関係はいくつか修正が必要な本。
・中世の祖師の蒸発時代の存在
・日蓮の意識の中で神々の存在は大きい
・日蓮は生涯の大事のとき、いつもひとりになろうとした
・「死して候はば、必ず各々をもたすけたてまつるべし」
・千日尼という名前は日蓮の命名
・「日本一のえせもの」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
長かった仏教の思想シリーズも最終巻「日蓮」である。
仏教宗派の中でただ一つ創始者の名前が宗派の名前になり、のちの
多くの新興宗教の母体となる日蓮の思想が、今となっては明らかな
間違いである(決して無価値ではないが)天台宗の祖「智ぎ」の教判に
基づいているというのが興味深かった。
迫害を受けることで使命感とその宗教的世界を深めていった日蓮が
もし当時の為政者に受け入れられていたらはたしてどうなったので
あろうか。
まだ仏教熱は冷めていないようなので次は龍樹あたりを攻めて
みようかと。