- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043611027
作品紹介・あらすじ
毎年、九月末になると「白河庭園」で行われる、虫聞きの会。もう二十年近くも続いているという、そんな風流な催しに、僕が行く気になったのは、一にも二にもクドウさんのためだった。毎年家族で訪れているというクドウさんと偶然を装って会うはずだった。それなのに…。-殺されたのはクドウさんの従姉だった。事件は思いがけない方向に進んでいき無責任な噂があとを絶たない。僕は親友の島崎と真相究明にのりだした。大好きな彼女は僕が守る。
感想・レビュー・書評
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中学生探偵コンビ第二弾。
今回は、同級生女子の従姉妹の殺人事件の真相を追います。中学生にしては、少し社会の闇に触れてしまいますが、大人の階段ですね。飽きさせないテンポで、展開していくので、読書が苦手な少年も読めちゃうと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大人びた中学生たち
好きな人でも 許す事が出来ない行動
急激に覚めてく気持ち
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中学生のシリーズ。
最後はクドウさんが・・・ -
2021.7.1読了
3.0
後味の悪い読後感だったが、それ故にテ-マの重さが伝わってくる。
途中から嫌な予感がしていたが、ラストはやはり予想通り悲しい結末。
言葉遣いが古く、時代を感じる。
発行された当時に読めば、フレッシュに感じられたかも。
「模倣犯」も再読したい。
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数少ない宮部さんの読み残し。前作はコミカルだったのに対し今回は重い。中学生って大人っぽさから子供っぽさまで一番幅広い設定が可能な年代なのかも。ここからソロモンの偽証に続くのだろうか。
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若干の後味の悪さが良かった。事件の解決=物語の終わり、ではないところが好き。
登場人物の少年少女の内面が描かれていなかったら印象に残らなかった気がする。 -
前作を読まずに読んでしまったが、久々の宮部みゆきさん作品
かつ、中学生がメインというのも久しぶり
中学生らしい表現の仕方みたいなものがあって、さすがだな、と思った -
主人公の中学一年生雅男が、仄かな思いを寄せているクドウさんが家族で訪れるという虫聞きの会。
その会場でもある庭園に行った彼は、人が死んでいるのを目にする。
その死者とは、まさかの・・・。
雅男は親友の島崎と事件の解明に乗り出す。
人は誰であれ、子供の頃は純粋な正義感を持っているものだ。
たとえ、それがほんの小さなものであろうとも。
その正義感は、大人になるに連れて少しずつ捻じれたものに変わっていく。
成長という時に流され、それを大きく失う方向に向かうのか、それとも懸命に維持し続けようとするのか、その分岐点は個々の人間の気持ちによって違ってしまう。
少年少女時代に抱く純粋な正義感。
それはいつまで経っても手放してはいけない大切なものだと宮部みゆきは訴える。
たとえ、別の大切なものを失うとしても。
この作品の主人公雅男も、正義感と自分の大切な人を思う気持ちの狭間で心は揺れ動く。
そのなかで、彼が選び取ったものは・・・。
小さな悪意(それは悪とまで呼べるものだったろうか?)でも、決して許されないという考えだった。
雅男の正義感は否応なく読者に伝わってくるが、それによって迎える哀しい幕切れには切なさを感じる物語でもある。