チューイングボーン (角川ホラー文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043805013

感想・レビュー・書評

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  • 最近の作品だし、って思って読み始めたんだけど、びっくりするくらい文字で攻めてきた。現代の文豪かってレベル。ぐいぐい攻めてくるからなんだか妙に緊迫感がある。でも昔の小説みたいな古臭い言葉じゃなくて、今の言葉を使ってるから、思ったより分量に対して読むのが大変じゃない。やっぱ自分たちにとって慣れてる言葉を使うってのは大事な事なんだなぁ、と。
    と、そういう書き方以外にストーリーそのものはというと、考えてみるとイマイチだな。という事を振り返らなければなかなかだったんだけどなぁ。

  • 原戸登は大学の同窓生・嶋田里美から、平日の午前中に、小田急ロマンスカーの展望席から、日を替えて三回、外の風景をビデオで撮影してくれないかと頼まれる。だが登は、一度ならず二度までも飛び込み事故の瞬間を撮影してしまう。そして最後の三回目、登のビデオには列車に飛び込む里美の姿が…。しかし1回の撮影につき振り込まれる30万の報酬に味をしめた登の欲望は加速の一途をたどり、さらに撮影の依頼を続けるのだが……。

    幼いころに母を失い、今また同窓生、家電アルバイトの仕事、金、信頼と、矢継ぎ早に続く喪失。どけどけどけ!…ひとたび運転側の目線を手に入れると、逆に猛然と向かってくるそれに対して真正面から対峙し、やがて全身で体当たりしてまでも列車を受けとめたいとの衝動が腹の底から湧いてきて、勇気という記号をハメた登の、幻魔との出会いがしらに見る夢は、空と海との重なる青か!?

    チューイングボーンとは、犬のおしゃぶり用の骨を指す。列車自殺の際に噛み砕かれる骨も意味している。
    死にゆく者の心の論理、叫ぶ蛋白質のあげる声。撮る側から撮られる側へ。口の中へ侵入する歯科医のドリルの醜い渦。耐えがたき存在の軽さ。

  • じわじわとおかしくなっていく感覚がリアルでいい感じで気持ち悪くなれます(笑)。ただもうちょっと短くてもいい気がしました。間延びした感じです。

  • この人の本は2冊目人が死ぬことよりも主人公の孤独の方がむしろ怖いんだけど。

著者プロフィール

1974年生まれ、東京都出身。和光大学人文学部文学科卒。2005年『チューイングボーン』で第12回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞。選考委員の林真里子氏から「まごうかたなき才能の持ち主である」と賞賛される。著書に『1gの巨人』『揺りかごの上で』(ともに双葉社刊)など。

「2013年 『紙の眼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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