宇宙のみなしご (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 223
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043941087

作品紹介・あらすじ

中学2年生の陽子と1つ歳下の弟リン。両親が仕事で忙しく、いつも2人で自己流の遊びを生み出してきた。新しく見つけたとっておきの遊びは、真夜中に近所の家に忍び込んで屋根にのぼること。リンと同じ陸上部の七瀬さんも加わり、ある夜3人で屋根にいたところ、クラスのいじめられっ子、キオスクにその様子を見られてしまう…。第33回野間児童文芸新人賞、第42回産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞の青春物語。

感想・レビュー・書評

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  • 思い立ったら我慢せずに行動する姉(陽子・中2)。
    いつも笑顔でスローペースな弟(リン・中1)。

    両親は仕事でいつも不在。
    だから2人は生まれながらの遊び仲間。

    真夜中の散歩で見付けた新しい遊び。
    ~~夜中に屋根にのぼる~~
    って、「屋根にのぼる」で1つの作品を成り立たせるなんて・・・。

    大人はすぐに理由を聞く。
    大抵のことは理由なんて後付けだもんね。

    弱っているときに読むと、
    きっとゆるゆると回復するぞ。

  • 私達は皆、宇宙のみなしごだから、本当はいつだってひとりぼっちで、自分のことは自分で切り抜けていくしかない。そんなことはきっと誰だってわかっている。だけれど一人で出来ないことは決して恥ずかしいことではないのだ。遊びだったのに、普段から無視する周囲からは理解されるわけもなく、自殺失敗だなんて同情される。それでも、落ちるつもりじゃなくて登ろうとしていたことにちゃんと気付いてくれてる子もいた。なんだ、君は一人じゃないじゃない。宇宙の暗闇に飲み込まれてしまわないように、ちょっと休憩、手を繋いで遊びに行こうか。

  • 帯タイトルは、
    「あなたにも
     手をつなぐひとが、
     きっといる。」

    装丁とタイトルがすごく素敵です。

    ぽーんと放りだされて
    心許ないような
    そんな不安定な感情。

    誰にも秘密のとっておきの遊び。
    陽子とリン。

    「たった今、
     入れかえたばかりのように
     しゃきんと澄んだ空気。」

    「深夜というのはやはり、
     ただの夜とはひと味ちがった。」

    そう、これ!
    ちびまる子ちゃんにも昔、夜の女王になる回があったけど。

    大人になった今でも、
    やっぱり深夜はちょっと違ってて、
    それが子供のときは
    なおさら。

    陽子とリンは真夜中に屋根を上る。
    誰にも内緒で。

    それは夜を独り占めした気分。
    ワクワクが降ってくるような夜空。

    そこに控えめで目立たない存在だった七瀬さん、
    いじめられっこのキオスク、
    二人が加わることで物語は進んでいきます。

    陽子の世界に
    今まで存在してなかったものが現れて、
    戸惑ったり怒ったり。

    優しい絵本を読んでるような感じです。
    大人になったからなのか
    無駄に年を重ねてきてるからなのか
    こーゆーのを読むと
    ホッとします。

    宇宙のみなしご。

    みんなひとり、
    あのこも
    このこも
    そして私も、
    ひとり。


    だから手をつなげたら。

    やっぱり深夜の星空は特別。

  • 中学2年生の陽子と1つ歳下の弟リン。
    二人の両親は仕事で忙しく、不在がち。
    主に陽子の方が先導する形で、二人は幼いころから自己流の遊びを生み出している。
    そんな陽子が新しく見つけた遊びは、「真夜中に近所の家の屋根にのぼること」だった。
    もちろん見つかったら怒られるし、普通の家の屋根ごとき、のぼったからと言って何が見えるわけでもない。
    それでも二人は時折屋根のぼりをして楽しんでいた。
    それは二人だけの遊びだったはずなのに、ある日弟のリンは七瀬という女子生徒を加えようと言い出す。
    七瀬は陽子と同じクラスで、引っ込み思案な少女。リンと付き合っているという噂もある。
    陽子はあまり賛成ではなかったが、リンの提案を断れず、七瀬も屋根のぼりに加わることになった。
    ところが、三人で屋根に上ろうとしたところを、瑤子のクラスメイトの男子・キオスクに見られてしまう。
    キオスクと言うのは「使いっ走りに便利だから」とつけられた綽名。彼はいじめられている。
    そんなキオスクが、何故か陽子には馴れ馴れしく話しかけてくる。
    屋根のぼりの件もツッコまれ、結局キオスクも屋根のぼり仲間に加わることになる。
    しかし、いそせ屋根に上ろうとすると、キオスクは怖がってできなかった。
    陽子は彼を見捨ててしまう。
    後日、キオスクが自殺未遂をして病院に行ったというニュースが飛び込んでくる。
    そしてキオスクはそのまま不登校になってしまう。

    タイトルは、陽子たちのかつての担任だった女性教師の台詞。
    「みんな宇宙のみなしごだから。ばらばらに生まれてばらばらに死んでいくみなしごだから。自分の力できらきら輝いてないと、宇宙の闇に飲み込まれて消えてしまう」

    陽子は冒頭で、不登校になる。
    引っ込み思案な七瀬は、誰かについていく形でないと行動できない。
    キオスクは、いじめをきりぬける気力がなくて、屋根にも上れず、一人で練習しようとして、転落してしまう。
    リンや、遥香に年上である、陽子たちの叔母・さおりさんも、もがきながら生きている。

    主人公である陽子やキオスクや七瀬やリン。そして、私たち。
    しんどい時もあるけれど、それでもみんなきらきらと輝けるように、暗闇の中で模索しながら生きている。
    そんなことを感じる話でした。

  •  ホッとする優しさに包まれる。
     中学生ぐらいの年頃に、ちょうど自分に素直になれない自分に気づくのかもしれない。なるほど。
     気づかせてくれるのは友達。そうそう。
     忘れていた感覚です。
     作者の視点でいくと、素直になれない自分に次々と衣を着せて、いろいろな顔を持つようになるってのが、大人って事かもしれない。
     こねくり回さず、ストレートに気持ちが伝わる児童書は、明日に向けてのエネルギーがあるなぁ。夜空って素敵。
     陽子の気持ちを足踏みで比喩しているのも、楽しい。

  • 友達のことで悩むのは学生の特権。
    森絵都さんはちゃんと中学生だった頃の気持ちを忘れない人なんだなぁと思います。

  • とてもせつなく感じました。それでいて懐かしいような・・・自分も子供の頃、屋根に上りたいと思ったことがあったなぁと思い出す。屋根に上って宇宙を仰ぐ感じがせつなくてキュンとなってしまいました。一気に読めて、でも心に残る良いお話でした。

  • 夜の屋根って想像するだけで不思議な世界。
    陽子とリンの屋根遊びが、人を惹きつけるのもなんだかわかる。この遊びはとても魅力的だ。わたしもやりたい。

    大人になると自分の悩みで沢山で、友達のことで悩むのはあまりない。この表現がなかなか鋭い。

  • 屋根に上って星を見る。特別でものすごくこっそりと格好よくて。小学生のころから、こんな屋根に、ものすごく憧れていました。読み返してみると、いろんな言葉が刺さってきます。

    「一番しんどいときはだれでもひとりだと知っていた。」

    いまがふんばりどきかな

  • 中学生の仲のいい姉弟が夜中に屋根にのぼる遊びを思いつく。
    そして、ひょんなことから姉のクラスメイトの女の子と男の子も参加することになったり、ちょっとした事件が起こる。

    ただそれだけの物語なのだが、夜中の屋根の上という設定のせいか、星空の様子やひんやりした空気感や、少し悪いことをしているというドキドキ感が手に取るように感じられて、なんだか青春時代にタイムスリップしたような、こそばゆい気持ちになる。

    1日で読める量なので、静かな夜にゆっくり読むのがおすすめ。

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著者プロフィール

森 絵都(もり えと)
1968年、東京都生まれの小説家、翻訳家。早稲田大学第二文学部文学言語系専修卒業。
1990年、『リズム』で第31回講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。2006年、短編集『風に舞いあがるビニールシート』で、第135回直木賞を受賞。
2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞を受賞し、2008年に映画化もされた。2017年『みかづき』で第12回中央公論文芸賞を受賞、2017年本屋大賞2位。ほか、多数の文学賞を受賞している。

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