与謝野晶子の源氏物語 下 宇治の姫君たち (角川ソフィア文庫)
- KADOKAWA (2008年4月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044084035
作品紹介・あらすじ
宇治に隠棲する八の宮から姫君姉妹を託された薫は、自分を拒み続けて亡くなった姉のあげまきを忘れることができなかった。そんな薫に妹の小姫は、あげまきに似た異母妹浮舟の存在を明かす。浮舟を見た薫は、心を揺さぶられるが、小姫の夫の匂宮もまた興味を抱き、積極的な行動を起こす。板ばさみに苦悩した浮舟はある決意をした。本巻には「早蕨」から「夢の浮橋」を収録。梶田半古の挿画入り。
感想・レビュー・書評
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源氏物語 復習
「早蕨」から「夢の浮橋」
第五十四帖「夢の浮橋」最終帖。
物語は、光源氏の息子(実は柏木の子)が、見失っていた浮舟を見つけ、再び復縁を所望するが、浮舟は、これを拒む。といった、情景的にも中途半端に終焉を迎える。
恣意的に、この世は同じ様な事象の繰り返しといったことを表現している。という評価のようだ。
その他、何かの理由で続きが書けなくなったという意見も多いらしい。後世、この続きを創作した物語もあるようだ。
易の六十四掛の最後は、「火水未済」。その意には、未完成・エンドレスがあり、平成時代には陰陽道も盛んだったようです。未完の美意識とか永遠への憧憬なども含まれているのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
終わったー!長かったなぁ。
とても中途半端なところで終わりましたが、エンディングも想像つかないしこれでよかったのかな。
浮舟ちゃん、大変だったけどよかった…。
恋愛物には本もテレビも普段ほとんど触れないので、こんなに長い期間読み続けたのが新鮮。人間関係って大変やね。もうお腹いっぱいです。
古典のあわれで身に沁むところを味わえたのはよかった。みんなよく泣く。日常の風景に気持ちを込めてすぐ文芸にしちゃう。音楽も素敵にたしなむ。
日本は昔は、豊かで敏感な心の大人たちが作り上げていった国だったのかなぁ。この時代の頃の政治、興味が湧いたのでまた本を探してみよう。 -
言葉の理解が上手くいかず、だらだらと読んではいるものの、
内容が心に入ってこないので、今回も苦しみました。
源氏物語との相性がよくないのかな・・
いつか、『全訳 源氏物語 新装版』(全5巻) にも挑戦してみたいと思っています。
著者による、「新源氏物語の後に」は、
最初に出た菊判の金尾文淵堂版にのみ掲載されているものであるという情報が、解説にありました。
それを読むにつけ、与謝野晶子氏の能力と必ずやり遂げるすごさに、改めて感じ入りました。 -
角川書店の文庫には2種類の与謝野晶子訳『源氏物語』があり、二つは別々の作品である。この角川ソフィア文庫版『与謝野晶子の源氏物語』(上・中・下巻)は、与謝野晶子が最初に出した現代語訳『源氏物語』。後から出した、いわゆる「決定版」とも称されるのは、角川文庫版『全訳 源氏物語 新装版』(全5巻)として出ており、『新新訳源氏物語』を文庫化したもの。
こちら角川ソフィア文庫版『与謝野晶子の源氏物語』(上・中・下巻)は、北村季吟の『源氏物語 湖月抄』を典拠に書かれたもの。完成度は角川文庫版『全訳 源氏物語 新装版』(全5巻)に軍配が上がるが、これはこれで面白く読める。