きみにしか聞こえない: CALLING YOU (角川スニーカー文庫 134-2)
- KADOKAWA (2001年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044253028
作品紹介・あらすじ
私にはケイタイがない。友達が、いないから。でも本当は憧れてる。いつも友達とつながっている、幸福なクラスメイトたちに。「私はひとりぼっちなんだ」と確信する冬の日、とりとめなく空想をめぐらせていた、その時。美しい音が私の心に流れだした。それは世界のどこかで、私と同じさみしさを抱える少年からのSOSだった…。(「Calling You」)誰にもある一瞬の切実な想いを鮮やかに切りとる"切なさの達人"乙一。表題作のほか、2編を収録した珠玉の短編集。
感想・レビュー・書評
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乙一氏…やっぱり最高。
読み終わったあとに伏線を見たくてもう一度読み返してしまう。それくらい面白い。
ドリカムの曲と一緒だ!と思ったら、映画化されたときのテーマソングだったらしい。
【目次】
Calling You
傷-KIZ/KIDS-
華歌
以下ネタバレ!!!!
↓
【Calling You】
主人公 リョウ 16歳 JK
電話相手 野崎シンヤ 17歳 DK
電話相手 ユミ 20歳 大学生 一人暮らし
ぼっちの陰キャJKのリョウは携帯電話に憧れがあった。
頭の中で思い描いていた携帯電話が頭の中で鳴った。
電話相手と会う約束をする。
「きみはいつも真剣に人の言葉と向き合っているのだと思う。人の言葉に対して、ひとつずつ意味のある答えを返そうとする。だから、多すぎる嘘に傷ついていく。でも大丈夫。その証拠に、ぼくとはちゃんと話しているじゃないか」
感想
この伏線と仕掛けを短編小説でやる乙一氏は天才。
会ったことのない人に対して迷いはなかったのだろうか?
会話だけでお互い惹かれていく2人と結末に涙ぐんでしまった。こんな経験したら立ち直れない。
【傷-KIZ/KIDS-】
主人公 11歳 DV父は病気で入院中、母は家出。
アサト 11歳 色白 父は他界、母は刑務所。超能力者。
暴力行為で特殊学級に入りアサトと出会う。
アサトは他人の傷を自分に、自分の傷を他人に移せる力がある。
感想
純粋無垢のアサトの存在が救い。胸糞エピソードがある作品は好きじゃないが、この物語はそれがあってこそだから乙一氏は天才だと思った。傷を分け合える友情は良い。
【華歌】
主人公 名家の跡取り息子
結婚を反対され駆け落ちするが、列車の事故で恋人を亡くし精神病院に入院している。
病院の庭の木々を抜けたところに鼻歌を歌う華がいた。
感想
ギャグのようなタイトルだが物語は重い。
最後どういうこと?死んだのは男の方なの?
2つのそれぞれの駆け落ちが切なくて悲しかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりの帰省で見つけた本を備忘録として登録。
自分でも内容をよく覚えてないのでレビューが書けません。 -
小・中学生の頃にGOTHが流行っていて、図書館でこの本を見つけて乙一さん懐かしいなと思い借りました。勝手にサイコホラー的なお話ばかり書かれているのだと思っていたので表紙を見たとき以外に感じました笑
短編の話が3つ収録されていてどちらもスラスラ読めました。どの話も悲劇だったり、救われないような描写がある中のはGOTHの印象と変わらないですね。最後の「華歌」はまんまと騙されました。うまいですね。あとがきも面白い。 -
中学生のころ好きだったなぁ…と懐かしく再読。
傷-KIZ/KIDS-が今も面白いと感じた。
あっというまに読み切ってしまう量ですが。 -
どの話もストレートかと思いきや歪みのある様な話。
その歪みが魅力。
どの話も甲乙つけ難い。どれもなんらかの救いがあるのはスニーカー文庫だからかな。
またいつか読み返すであろう1冊。 -
せつなさの達人というキャッチフレーズをよく見かける乙一。初期ファンタジー短編集を初読。例えば、友達がいない高校生が脳内ケータイで唯一の友達をつくる話。出だしとテンポはいい。オチもそこそこ。なのにどうもダメ。何がダメ?主人公のかずえ(仮名)が、うじうじで、じつは腹黒。まったく感情移入できない。そうすると、どの話も登場人物のやさしい行動が偽善にみえてくる。ごめん、作者のせいじゃなく、かずえのせいなんだ。
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『Calling You』
取り返しのつかない事、悲しいけれど、その出来事で前向きに転じる話
『傷ーKIZ/KIDS-』
痛みを分け合う事で生きる希望を見つけるお話。
『華歌』
傷ついた人達のお話。
これからどうなるか分からないけれど、大人だから、強くなった気がするから、きっと自分で何とかできるでしょう。
というか、何故か性別が逆だと思いこんだまま読んでいました、この話。
小さな人間の姿をした植物が生えてくる話は、二つほど読んだ事があります。
(マンドレイクではありません) -
文書がおかしいところがあって、何か所も、変なところでストーリーがぶつぶつ切れてしまいました。文書もなんだか堅いんだよね~作文みたいです。期待しすぎて読んでしまったせいか、それほどでもなかったな。
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痛い…でも心の底から励まされる。
そんなストーリー、初めてだ。
誰にも理解してもらえるはずがない苦痛と苦悩を抱える者には、痛くても優しい。読んでよかった。
これからも私は私の苦悩を…本当にわかってほしい人には決してわからない苦痛を、胸に抱いたまま生きてゆくけれど、もうかまわない。
まだまだ生きられる。そう思わせてくれる本だった。生きることを肯定したい。そう願わずにはいられなくなる本だった。まだ今は無理だとしても。
やはり乙一さんは凄みがある。癖になる。 -
大好きな乙一さんのいちばんすきなお話
切ないお話がだいすきなのです
時間が一時間ずれてることにこんなに意味があるとは思いませんでした -
とても優しい話で感動しました!
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「さみしさの周波数」とまとめて感想。
タイム・リープを薦めてくれた知人が、とにかく大好きだと言っている作家が乙一。
乙一は名前も評判が高いのも知っていたが、どうも「ホラー系の作家」という印象が強くて敬遠していた。
しかし、知人が「乙一には白と黒があるから。"白"乙一なら大丈夫!」と繰り返し強く推してくるので、読んでみることにした。
殆どの作品で読後、切なさとやりきれなさを感じた。
それは多分、作中で今さら覆しようのない出来事が扱われているからだろう。
「あの時ああすれば」というほろ苦い気持ちが、読み手である私の自分の過去の後悔を思い起こさせ、胸が痛んだ。
だがどの作品も暗い気分になるというよりも、切ないけれどもすっきりと爽やかな気持ちで読み終えられた。
これがこの著者の作風なのかな。
あと、挿絵がかなり好みだった。
気に入ったのは「Calling You」「未来予報 あした、晴れればいい」「失はれた物語」。 -
切ない短編集。泣けるし、定期的に読み返したくなる本。
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3つの物語からなる短編集。どれも予測不能なラストと現実にはありえないのに登場人物にわく不思議なほどの親近感。
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私にとっては初めての乙一です。短編集はあまり好きではなかったのですが、いいもんですね。2000年に発表された作品で、初期の作品だと思います。小説全体から青臭さのようなものが感じられますが…私はどういうわけか泣いてしまいました。泣かしにかかってるのかなとか、現実離れした設定だなとか、若々しすぎる…と思いつつも号泣。傷がテーマになってるからでしょうか。どれもそれなりに救いのある結末になってるので、自分の中の傷のようなものも癒されました。乙一に興味がわきました。3つ目の書き下ろし短編の「華歌」は最後まで読んで、アレ?となりました。まさかこういう風に驚かされるとは思っていませんでした。そういう意味でも楽しめました。
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2012/08/29
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2010.10.3 再読 個人蔵書
白乙一で一番すきな短編集。
「CALLING YOU 」「傷」「華歌」の3篇とも、とてもよく作られてる物語だと思う。
「CALLING YOU 」「傷」は、子どもの頃の自分を思い出す。友達が少なくて、閉じてて、自分のあたまの中で会話してる、ちょっと息苦しい感じがよくわかる。
昔、どっちも映画化されて見たいなぁ~と思ってたのにいまだに見てないし。
ついつい、ドリカムの歌が頭ん中に流れる~。
「華歌」は、ラストを忘れてた。そうだった~。 -
自分が小中学生時代に読んでた乙一を、30代になってまた読み返したくなって再読
内容はほぼ覚えてなかったけど、3話とも不思議で奇抜な発想だけど切なくもなるお話しで「あ、乙一だな」となる。
久しぶりに読んだ乙一は白乙一だったので、黒乙一も再読したい。
あとがきも面白いので最後まで読んでほしい。 -
妻が中学生時代に読んでいた本ということで、懐かしさもあり読了。3本からなる短編集ですがどれも中々面白く、特に表題作は大人のいま読むとそこまででもないですが、思春期真っ只中に読んだら感情をグチャグチャにされただろうなと感じました。
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一話目が良かった
2001年出版ということで今見るとほんの少しだけ古くさい。ただ外れはない -
2時間
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3作の短編集、乙一作品初読了。
映画好きな作家のようで、作中に映画作品の名がいくつか登場するし、「スピルバーグより」と締められた友人からのイタズラメールに大喜びするなどお茶目なところがある。
ただ文章はあまり好きとはいえないかなあ…うまく説明できないけど。児童文庫のような印象。
作者の他の代表作を読めば印象は変わるのかな? -
「Calling You」(「ザ・スニーカー」2000年4月号掲載)
「傷-KIZ/KIDS-」(「ザ・スニーカー」2000年10月号掲載)
「華歌」(文庫描き下ろし)
以上3つの短編を収録した作品。
どの短編もよかった。
書評にもある「“切なさの達人”」はまさにその通りだ。
3つの作品に共通するのは、誰かの心の支えとなるものが描かれていることだと思う。
「Calling You」では、ユミがシンヤに支えられていたように、シンヤもまたそうだったから、あんな行動に出ることができた。
「傷-KIZ/KIDS-」では、アサトと「オレ」は、心の傷も分かち合っていた。
この2作品を読むと、支えるということが単純に素敵だと思える。
「華歌」は、結末に触れてしまうので多くは語らない。
寂しさと少しのホラーを混ぜ合わせたような独特の雰囲気は、読んでいる私を不安な気持ちにさせた。
終盤の意表を突くシーンも、少々強引なところはあったが、騙された。
傷を癒すためには、同じ痛みを知っている人の力が効果的ということだろう。
それにしても、よくこうも作風を変えられるものだ。
また乙一作品を読もう。 -
懐かしかった。
『Calling You 』
欲しくてたまらない携帯電話を頭の中に描いていた私。バスに揺られていたある日、空想に過ぎなかった携帯から着信メロディが流れ出す。
『傷』
子どもは幸せになってほしいなと思う。
『華歌』
歌を歌う小さな花。病室の3人は、やがて仲良くなる。読み直してみると、違う物語になる。 -
友人のおすすめ。著者はホラーで知られる方なので若干警戒しながら読んだがその必要はなく、やさしく切ない短編集だった。
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映画も観たい。
短編だったけど、内容的に満足 -
乙一さんが羽住先生の花の絵を見たいと言った理由がわかった。
透明感のある繊細で優しい表情が、ストーリーにぴったりあっていた。 -
傷とCalling Youが好き。
読了から何年経ってもきちんと覚えてる本。 -
『Calling You』が秀悦。不思議な設定なのに、すごく近いところにある実話のように感じられ、一筋縄では終わらないラストもいい。『華の歌』は、切なく清らかなイメージが印象的な幻想怪奇。個性的な「あとがき」も楽しめました。
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3つの小説が収録された短編集。
どのお話も不思議で悲しくて、でもどこか救いのあるお話でした。
『傷』を読みたくて選んだ本でしたが、どれも私好みでした。