ヘンな論文

  • KADOKAWA/角川学芸出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046533418

感想・レビュー・書評

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  •  一風変わった研究に対して与える「イグノーベル賞」というのがある。研究をしている人がたくさんいれば、いろいろな研究が出てくる。そんな中でも、今回取り上げられている研究論文は、個性豊かなものばかり。

     ひっそり眠っていた論文を「発掘」してきた著者も論文に負けず劣らずユニークな人だ。オフィス北野に所属するお笑いコンビ「米粒写経」として活躍する一方で、一橋大学非常勤講師をつとめる芸人と学者という二足のわらじを履いている。

     著者曰く、研究に携わる人にも焦点を当てて研究している人の「視点」を知ってもらいたい、そして研究しているユニークな人たちも「みなさんと同じ人間なんだ、ということをリアルに感じ取ってもらいたい」ことを強調している。

     「浮気男」の頭の中
     「コーヒーカップ」の音の科学
     「猫の癒し」効果
     
     などいずれも言われてみればどうしてなのだろうとふと思うものばかりだ。一般人ならふと疑問に思ってもそれで終わりにするが、学者の場合そこで終わりにしないで追究する。それが金になるかならないか関係なく。

     それにしても論文収集を趣味にしているとは、さすが学者。変な論文収集をこれからも続けて行って第2弾、第3弾と発表してもらいたいものだ。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784046533418

  • 【紹介文アンド書誌情報】
    “珍論文ハンターのサンキュータツオが、人生の貴重な時間の多くを一見無駄な研究に費やしている研究者たちの大まじめな珍論文を、芸人の嗅覚で突っ込みながら解説する、知的エンターテインメント本!”

    発売日:2015年03月24日
    定価(税込): 1296円  四六判
    ISBN 978-4-04-653341-8-C0095
    角川学芸出版
    http://www.kadokawa.co.jp/product/321501000124/

    【メモ】
    珍しいテーマの論文が一般人目線で紹介されていて興味深かった。気になった部分があったので、備忘メモとして残しておく。

     本書の記述から、意味が取りにくい部分を引用する。

    --------------------------------------------
    あくび研究の歴史において〔……〕ロバート・プロヴァイン教授らが1987年に行った実験は次のとおりである。

     高酸素濃度(酸素100パーセント)の部屋
     中二酸化炭素濃度(二酸化炭素3パーセント)の部屋
     高二酸化炭素濃度(二酸化炭素5パーセント)の部屋

    の三つの部屋を用意し、被験者たちをそれぞれに振り分け、普通の部屋と右記の部屋とで〔……〕
    (本書p.55)
    --------------------------------------------

     一つ目の疑問。「普通の部屋」の空気組成を本書で示さないのは何故だろう。「ふつうの空気」に占める分子の比率なんて一般常識だと、著者(サンキュータツオ氏)が判断したのだろうか。だが、たとえ中学理科レベルの知識であっても、ここで紹介されたあくび実験において空気の組成は重要な情報なのだけど。

     なお、私はこれまで《窒素:約78%、酸素:約21%、二酸化炭素:約0.1%、希ガスとか:約0.1%》とボンヤリ覚えていた。
     厳密には、《窒素:約78.084%、酸素:約20.946%、二酸化炭素:約0.04%、アルゴン:0.934%、ほか〔…後略…〕》らしい。

    ※空気:日本語Wikipedia<http://ja.wikipedia.org/wiki/空気>
    ※乾燥空気の組成<http://www.hakko.co.jp/qa/qakit/html/h01090.htm

     二つ目の疑問。「高酸素濃度(酸素100パーセント)」とは、そのまんまの意味でいいのかいな、という点。ヒトはその中で健康(身体)に異常をきたすのでは……と思う。
     いや、全然問題ないのかもしれない。これは、どちらかというと単に気になっただけ。私自身は文系なので生物とか気象科学とか知らず、こういうのを見ると情報がほしくなる。



    【簡易目次】
    はじめに 003
    一本目 「世間話」の研究 007
    二本目 公園の斜面に座る「カップルの観察」 023
    三本目 「浮気男」の頭の中 037
    四本目 「あくび」はなぜうつる? 053
    五本目 「コーヒーカップ」の音の科学 073
    六本目 女子高生と「男子の目」 089
    七本目 「猫の癒し」効果 103
    八本目 「なぞかけ」の法則 121
    九本目 「元近鉄ファン」の生態を探れ 135
    十本目 現役「床山」アンケート 149
    十一本目 「しりとり」はどこまで続く? 161
    十二本目 「おっぱいの揺れ」とブラのずれ 171
    十三本目 「湯たんぽ」異聞 189

    Column.1 論文とは 018
    Column.2 研究には4種類ある 068
    Column.3 画像がヘンな論文たち 115
    Column.4 タイトルの味わい 研究者の矜持 184

    あとがき 216

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。漫才師「米粒写経」として活躍する一方、一橋大学・早稲田大学・成城大学で非常勤講師もつとめる。早稲田大学第一文学部卒業後、早稲田大学大学院文学研究科日本語日本文化専攻博士後期課程修了。文学修士。日本初の学者芸人。ラジオのレギュラー出演のほか、雑誌連載も多数。主な著書に『これやこの サンキュータツオ随筆集』『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』『ヘンな論文』『もっとヘンな論文』(以上、KADOKAWA)など。

「2021年 『まちカドかがく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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