リクル-トのDNA(ディ-エヌエ-): 起業家精神とは何か (角川oneテーマ21 A 61)
- 角川書店 (2007年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047100879
感想・レビュー・書評
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リクルートのDNA
起業家精神とは何か
著:江副 浩正
角川Oneテーマ21 A-61
日本は資源小国で、鉄鉱石や石炭、石油は100%海外から輸入、農産物も60%以上を海外から輸入している。
そして、もっと深刻な問題は、国や地方自治体が国債や地方債などを発行し国民に借金をしていて、世界一の債務大国になってしまったことである。
日本で新しい産業がいくつも生まれ成長しなければ今後の発展に期待はもてない
かって、日本にはベンチャー企業の勃興の時代があった
気になったのは、以下です。
■企業風土
・経営者にカリスマ性があれば、その人間性な魅力や個性によって社員はその人についていくが、一度ベクトルがずれると、なかなか元の軌道には戻らない
・私は、ゼロから起業したため、すべてを自分自身でやらなければならなかった。
・そのような経験から、経営者は仕事の現場の隅々まで知っていなければならないとの感覚があった。
・現場の人との対話を大切にしていた
・社員の名前をすべて覚えるようにしていた
・葉隠 武士は己を知る者のために死す
・経営の三原則
①社会への貢献
②個人の尊重
③商業的合理性の追求
・企業が収益を上げるには
①質の高いサービスを提供する
②モノ・サービスをスピーディーに提供する
③コストを下げて顧客への価格を下げる
・人生の指針の一つ 易経 「窮すれば変じ、変すれば通じ、通ずれば久し」
・経営理念
①誰もしていないことをする
②わからないことはお客様に聞く
③ナンバーワン主義
④社員は皆経営者、起業家の集団
⑤社員皆株主
⑥健全な赤字事業をもつ
⑦少数精鋭
⑧自己管理
⑨自分のために学び働く
⑩マナーをモラルを大切にする
・マネージャーに送る十章
①希望・勇気・愛情
②ネットワークで仕事をする
③高い給与水準
④人は仕事を通じて学ぶ
⑤ブレイングマネージャー
⑥まず周囲に自分を語る
⑦数字に強く
⑧努力の継続
⑨脅威の中に、発展の機会がある
⑩社会とともに
■起業家の名言
・シャープ 早川徳次 他社がまねをするような商品をつくれ
・ダイエー 中内功 価格は生産者が決めるものではなく、消費者が決めるもの
・ファーストリテイリング 柳井正 商品には国境がないこと、製造と販売には境がないこと
■成功する起業家の条件
①一人では大きな事業はなし得ない、気力と体力のある若い人材を集め、目標を共有して事業を推進すること
②人がついてくることが大切だが、そのためには、まず自分を磨くこと
③企業は人なり。社員をよく知り、誰にどの仕事を割り振ればいいかを考える
④日本で初めての事業、創業者利益が得られる事業がいい
⑤社会に要請に応えていく事業、そうでなければ、一時的にはよくても、長続きしない
⑥多くの資本を要さない仕事から始めること、多くの資本を要する事業は大企業の新事業である
⑦時間をうまくつかう。人に平等に割り当てられているものは時間である
⑧失敗を恐れぬ勇気をもつこと
⑨若くかつ就職しないで起業すること
⑩大学の成績や学歴は関係ない
⑪経営哲学を社員と共有すること
⑫コミュニケーション能力を磨くこと
⑬優れた経営者は話し上手であり、聞き上手である
⑭起業家に求められるものは、倫理観である
⑮健全なる精神は健全なる肉体に宿る、健康な身体を大切にする
⑯経済と政治は密接に関係している、政治とは一定の距離をおくこと
⑰コアビジネスをつくり、他の追随を許さないように専念すること
⑱起業家は人の脳力を精一杯引き出す努力をしなければならない
⑲顧客と常に接して、顧客の声を常に聴いていなければ成功はおぼつかない
⑳若くなくても、起業して小さな成功を収めることができる
■リクルート創業期
・本について 表紙だよ、書店に来た人は最初に表紙を見る。僕は表紙に一番力を入れている
・株の世界には、見切り千両、という言葉がある。早く打って損失を確定し、次の株を買う決断をすることが大切だ
・日本は家庭から、日の丸、はなくなり、君が代、も聞かれない。愛国者ということばも死語になっていた。
・ニューヨークでは、働きながら学んでいる人も多く、スキルアップしたら転職する
■生き生きと働く風土
・社内報による経営情報の共有が、ばらばらになりがちな分社経営にあっても、リクルートの一体感を高めていた
・外飯、外酒 心がけて社外の人との会食などの機会をもつようにと奨励してきた
・私が時間を割いたのが、辞表を出した人との面談だ。在籍社員は本音をいわないことがあるが、彼らは率直な意見を言ってくれてとても助かった。
・ほめるべきときにほめ、しかるべきときにしかる
・ほめるときは派手でいいとおもった、逆にしかるときは個室に呼び出し、誰にもわからないようにしかっていた。
・しかるケースは2つ。1つはごまかしたり、嘘をついたとき、もう1つは、業績のあがらないとき
・自分の業績がふるわないことに、よくわかりませんと言い切る、達成動機の低い社員、能力が高くても達成動機の低い社員は採用しないことにした
■情報誌の領域を広げる戦略
・同じりょういきの情報誌は、「一位が強い」ことを実感した
・起業はボトムアップ、撤退はトップダウン
・ドラッカー 失敗を恐れるな、しかし、同じ失敗は二度とするな
・出版業でも、情報誌と単行本では、別の領域の事業と知った
■早過ぎた新規事業の立ち上げ
・失敗と気づいたらすぐ撤退する、がリクルートのポリシーであった
・ドラッカーは言っている。変化をコントロールすることはできない。できるのは先頭に立つことだけである
目次
第1章 企業風土について
第2章 私が学んだ名起業家の一言
第3章 成功する起業家の条件
第4章 リクルート創業期
第5章 生き生きと働く風土
第6章 情報誌の領域を広げる戦略
第7章 領域の過大な拡大
第8章 早過ぎた新規事業の立ち上げ
ISBN:9784047100879
出版社:KADOKAWA
判型:新書
ページ数:224ページ
定価:686円(本体)
発売日:2007年03月10日初版
発売日:2007年05月15日四版詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【感想】
この本だけを読めば、江副さんは素朴・凡庸で、普通の人なのかなと思ってしまうが、きっとそんな事はないだろう。
現在のリクルートの人材は、他の企業と比べても群を抜いている気がする。
本書だけを読めば謙虚で控えめな印象だが、この創業者が凡人であるわけがない!
やはり常に仕事に重心を置き、計画的かつひた向きに仕事をしない事には、真の成功などありえないのだろう。
真の成功を築きたければ、仕事に対して一心不乱にならないといけないんだなぁ。勿論、能力は必須だが。
題名の通り、リクルートのDNAについて少し触れることができた。
ここから何かを盗まないといけないね。
【内容まとめ】
1.「企業が収益を上げるには」
①質の高いサービスを提供する
②モノ、サービスをスピーディーに提供する
③コストを下げて顧客への価格を下げる
2.「ナンバーワン主義」同業者が出現すれば、それを歓迎する。
同業間競争のない事業は、産業として認められない。
3.人がついてくることが大切だが、そのためにはまず自らを磨くこと。
重要なことは、メンバーの誰よりも優れた仕事を熱心にしていて、それを継続すること。
4.時間の有効な使い方を模索すること。
仕事は受付順ではなく大事なことを優先した方がいい。
5.失敗を恐れぬ勇気を持つこと。ピンチはチャンスでもある。
また、部下の失敗に対しても寛容でなければならない。そこから学ぶことは多い。
6.話し上手であり、かつ聞き上手であること。
相手が何を聞きたがっているかを知った上で、分かりやすく話すこと。
【引用】
p19
「武士は己を知る者のために死す。」
トップに自分の名前と能力を知られ、期待されていると社員が感じれば、自ずと仕事へのやる気は高まる。
p19
「経営の三原則」
1.社会への貢献
2.個人の尊重
3.商業的合理性の追求
→松下幸之助「利益を上げ税を納めるのが国家への貢献」
「企業が収益を上げるには」
1.質の高いサービスを提供する
2.モノ、サービスをスピーディーに提供する
3.コストを下げて顧客への価格を下げる
p23
・ナンバーワン主義
同業者が出現すれば、それを歓迎する。
同業間競争のない事業は、産業として認められない。
後発企業の良いところを真似することは恥ずかしいと思わず進んで受け入れ、協調的競争を行い、ナンバーワンで居続ける。
p40
・シャープ創業者 早川徳次
「他社が真似をするような商品を作れ」
先発メーカーは常に後から追いかけられているわけだから、すぐ次を考えなければならないし、勉強を怠ってはならない。
元祖だからとじっと構えておられず、さらにより優れたものを研究することになる。
真似をされることは結局は自分のところの発展に役立つ。
p70
・成功する起業家の20カ条
1.当然だが一人では大きな事業はなし得ない。
気力と体力のある若い人材を集め、目標を共有して事業を推進すること。
2.人がついてくることが大切だが、そのためにはまず自らを磨くこと。
必ずしもカリスマ的魅力がなくても、人がついてくるやり方を身につけることはできる。
重要なことは、メンバーの誰よりも優れた仕事を熱心にしていて、それを継続すること。
3.「企業は人なり」。
優れた経営者の条件は、メンバーの事をよく知り、誰にどの仕事をどのレベルまで要求するかである。
4.日本で初めての事業、創業者利益が得られる事業がいい。
5.変貌している産業社会の新しいニーズに応える事業なのかどうか。
6.多くの資本を要さない仕事から出発すること。
7.時間の有効な使い方を模索すること。
仕事は受付順ではなく大事なことを優先した方がいい。
8.失敗を恐れぬ勇気を持つこと。ピンチはチャンスでもある。
また、部下の失敗に対しても寛容でなければならない。そこから学ぶことは多い。
9.若くかつ就職しないで起業すること。
無知からくる無謀が人に出来ない事を成し遂げさせる。
10.学歴は関係ないが、知識とスキルは重要な鍵であり、必須条件である。
11.経営哲学を社員と共有すること。
理念なき経営者の元では、社員の心が一つにならない。
12.コミュニケーション能力を高めること。
13.話し上手であり、かつ聞き上手であること。
相手が何を聞きたがっているかを知った上で、分かりやすく話すこと。
14.倫理観のない起業家は、いずれ破綻する。
15.常に健康に留意する。健康をセルフコントロールする。
16.政治家と一定の距離を保つことも重要
17.自分の考えが正しいかどうかを決めるのは顧客。
顧客と常に接して顧客の声を常に聞かなければ成功しても長続きしない。 -
大きなリクルートが関わったビジネスの概略と、ドラッカー等の著名人の名言を引用した、教訓録のような構造。
具体的なことには触れておらず、抽象的な教訓が多く、まあそらそうだろうという感じ。
前半はリクルートのビジネスを通じた教訓論
後半は不動産投資と光ファイバー販売の話。
後半はあまり印象に残らなかった。 -
読みやすさ★★★★★
面白さ★★★★★
実用性★★★
リクルートの創業者が急成長を遂げるまでの
経験談や大切にしてきた内容をまとめた本。
江副さんが失敗や先人の教えから
学び経営してきた様が伝わります。
・誰もしてないことをする主義
・わからないことはお客様に聞く主義
・社員皆経営者主義
インタビューという名目で
大企業の社長との接点を数多く取り続け、
そこで得た教えを素直に受け入れていたことも
成長できた要因の一つだと感じました。
ご自身が書かれているので
江副さんの素直さが非常に伝わってきます。 -
数年働いていた古巣が、過去戦ってきた先人のおかげで素敵な社風ができていたんだと感じました。
たまに鳥肌が立つようなエピソードもあって、一度お会いしてみたかったです。
銀行、政界、メディア、様々なところに顔をだし精力的に動いていたんですね。
その会社では、仕事の面白さを教えて頂きありがとうございました。ご冥福をお祈りします。 -
リクルートは、データドリブンに基づいて仮説検証を繰り返して、様々なサービスを生み出しているというイメージがありました。
イメージの理由もこの本を読もうと思ったきっかけなのですが、ネット上の記事で、「IOT(座布団)を利用して会議の効率化」をはかろうとしたり、「オフィスのエレベーターが詰まるから業務効率化」をしようとしたり…
なぜ一般的な企業の社員だったら「仕方ない」と思って会議室を増やしたりする方向に行くのに、なぜリクルート社員は今あるものから改善しようとするのか…まさにリクルート社員が持つカルチャーやバリューを知りたいと思ったきっかけからこの本を手に取りました。
本を読み、まずは江副さんのお人柄に心をうたれた。
業務は人にどんどん委ね、どうしたら社員が活発に働けるかを優先的に考え、そして魚の目で社会情勢を見ながら戦略を実行されてきたこと。
そうやって社員のためにしてきたことがDNAを受け継いでこられたこと。
「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」
「一生懸命働き、学び、遊べ」
さて、実行しよう。 -
江副氏は東京大学在学中に大学新聞の広告代理業を手掛け、23歳のときに現在のリクルートの前身である広告会社を創業しました。
1988年のリクルート事件の発生までの30年弱にわたり、リクルートを大企業に成長させつづけた起業家です。
リクルートの立ち上げからさまざまな事業の失敗など、江副氏がご自身の体験から感じた「起業家精神とは何か」が、本書の副題になっています。
自由闊達という風通しのよい企業風土を創り上げるため、江副氏は現場の人との対話を大切にされていたといいます。
創業15年目までは2000名の社員の名前を全て覚え、ニックネームで呼んでいたそうです。
会社のトップに自分の名前と能力を覚えられ、期待されていると社員が感じれば、仕事に対するやる気は自然と高まると信じていたそうです。
江副氏が考える「成功する起業家の20カ条」の中に、このような内容があります。
『人がついてくることが大切だが、そのためにはまず自らを磨くこと。
必ずしもカリスマ的魅力がなくても、人がついてくるやり方を身につけることはできる。
重要なことはメンバーの誰よりも優れた仕事を熱心にしていて、それを継続していることである。』
本書から多くの学びを得ましたが、私が強く感じたことは「人を信じて、期待から接すること」です。
当然ながら、私一人では大きなことは成しえません。
いまの私を支えてくれる周りの方々の力添えがあってこその今だと思います。
周りの人の協力は必要だけれども、他人を変えることはできません。
私自身、自分の正しさや要求を周りの人に押し付けてしまい、失敗した過去があります。
その体験から、私はこう学びました。
「他人は変えられない。
いまの私にできるのは、目の前の人を信じる!と私自身が決めること」
私自身が、周りの人を信じて期待を込めて接するように行動を変えたときからでしょうか。
周りの人の表情が明るくなり、お互いにのびのびと仕事できるようになって、成果が上がったと感じたことがあります。
期待から信頼関係を紡ぐために必要なことが、江副氏のメッセージにある「自らを磨くこと」「誰よりも仕事を熱心に、継続すること」なのだと思いました。
さらに大きな目標を成し遂げていくためにも、自らを研磨しつづけ、周りの人を信じて仕事に集中していきます。 -
元リクルート・起業家という単語をよく聞く割には、具体的な人名が思い浮かばないと思っていた。たまたまこの本が会社に転がっていたので読んでみた。
創業からの歴史がよくわかったし、読み物として日本の現代経済の一側面も読める様で面白かった。でも創業者としての視点と社員としての視点はどのぐらい近いのだろうかと感じなくもなかった。
特に日本経済が戦後立ち直っていくにあたり、たくさん出てきた起業家たちが大卒人間・高学歴人間をあまり使えないと評価しているところが興味深い。その辺り、とくに先進国においてこれほど院卒者の地位の低い国である日本になってしまった所以だろうか。まあ商売のセンスに学歴は不可欠な要素でないことは確かだが・・。 -
江副浩正リクルートのDNA
目標を共有して事業を推進すること。
まずは自分を磨くこと。
創業者利益の得られる事業。
社会の要請に応える仕事。
小資本で可能な仕事。
仕事は大事なことから優先。
失敗は恐れてはいけない。起業すると途中で必ず失敗するがピンチはチャンス。
学歴は関係ないが知識とスキルは大事だ。
コニュニケーション能力を高めること。
話し上手で、聞き上手である必要がある。
常に健康でいること。
外部の人、内部の人、常にコミュニケーションをとる必要がある。
新規事業についてもタイミングというものが大切であり、いくら良い案であっても時代にマッチしてなければ売れない。 -
江副さんがどうリクルートを大きくしたのか、とても興味深い内容だった。