いたいのいたいの、とんでゆけ (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 2385
感想 : 93
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048668569

作品紹介・あらすじ

僕に殺された少女は、死の瞬間を“先送り”することで生き延びた。彼女は残された貴重な十日間を、自分の人生を台無しにした連中への復讐に捧げる決意をする。「当然あなたにも手伝ってもらいますよ、人殺しさん」

感想・レビュー・書評

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  • 途中グロ描写があり苦手な人は読むのを躊躇うかも。
    三秋縋さんの作品は何作か読んでいるがやはり怒涛のラスト。
    電車で泣くのを堪えました。

  • 小学生の頃に読んで、いまいち意味がわからなかったんですが、中学生になってこの前改めて読んでみたらとても面白かったです。
    特に最後のほうになっていくにつれて面白くなっていって、読み終わった瞬間「あーすげぇー」みたいな声が出ました。先送りの仕組みを理解するのが当時は難しかったのだと思います。個人的には最後の方の霧子の過去が読んでて苦しかったけど、瑞穂がヒーローみたいな役柄で、読んでて、瑞穂がいてくれてよかったなと思いました。
    僕は三秋さんの作品はほとんど読みましたが、本作品はそのなかでもトップクラスに好きです。なんていうんだろう。描写とか、筆致っていうのかな。そういうのが三秋さんの作品の好きなところで、ストーリーも面白いけど、どっちかっていうと言葉遣いとかそっちの方が好きなのかもしれません。表現が素敵だし、主人公の人柄もすごく好きです。一概にクズともいえないけどいい人とも言い難い感じ?その感じが自分の人柄とも似てて重なっていて魅せられているのかもしれません。
    とても、面白かったです。

  • グロい要素が多めな作品でしたが読み終わってみるとやっぱり何とも言えない、けれど微笑みがこぼれるような、そんな気持ちになります。
    主人公と少女のやり取りもいいと思いましたが、隣の美大生との独特なやり取りがたまらなく好きでした。
    「落とし穴の中で幸せそうにしている人」すごく納得できる表現です。僕がそういう人が描かれた物語を好んでいるのは三秋縋さんとは別の意味で慰められるからだと思います。
    いたいのいたいの、とんでゆけ
    馬鹿げた気休めの、それでいて本当の魔法の言葉なのかもしれません。

  • 終盤の展開はびっくりした。すごい切なかった。
    途中にグロテスクな表現があって、グロいのダメな人は気をつけて

  • びっくりした作品でした。自分は恋する寄生虫からこの作者に興味を感じて読みました。恋する寄生虫も似ているような気もしましたが、精神に与えるダメージというか影響がとても大きかったように思います。もう一度読むにはしんどすぎるけれど新しい価値観を与えてくれた素敵な本でした。

  •  登場人物の暗い部分と明るい部分それぞれの温度感がとてもはっきりしていて本当に気持ちよく読めました。心から冷えてしまうような背景や復讐、心温まる2人の関係性。登場人物の温度感の違いは明確なのに世界がどこまでも寒色で彩度の低くみえる。高3あたりで三秋縋さんの作品にはじめて触れて以来、この温度感が自分にはとても心地よいものとして感じられて救いとなっています。
     読んでいて想像したのは映画レオンでした。マチルダの最後を思うと本作の結末後の登場人物はこうかもしれないとか考えてしまいます。ただ、2人は2人だけの人生の落とし穴に落ちているのでそこを勝手に脚色するのは野暮だなとすぐ思考を止めてしまいます笑。
     そのかわりに、自分が今嵌っている人生の落とし穴や泥沼のなかで微笑んでいられるような何かを探すことにしています。そう思えるのも本作があまりにも美しくどうしようもないせいであり、まさに醜いあひるが醜いあひるのまま幸せになれる希望や模範を感じさせてくれる作品だからだと思います。どうしようもないとき、救済がほしいときに自分のような後ろめたい気持ちでいっぱいの人にオススメの作品です。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1248176

  • 一言で感想をあらわすと「ひたすら胸が詰まった」である。
    霧子の境遇があまりにも不遇で、表現も生々しくグロテスクな部分があり、読み進めるのが辛かった。前半は霧子が恨みを持つ人間たちを主人公の瑞穂と共に殺して回る話で、戦慄が走る場面が多く、どんどん気落ちしていったのだが、後半は霧子の秘密が明かされるとともに霧子と瑞穂の恋愛が混じり、甘い物語になっていった。
    しかしどうにも前半の衝撃が頭から離れず、後半があまり頭に入ってこなかった。
    この小説を色であらわすなら「灰色」。
    心が辛くなるので、再読したいとは思えないが、読んでよかったとは思う。

  • 「もし、君がどうしても死にたくなったら僕に言ってくれ。そのときは僕が君を殺してあげよう」みたいなセリフがあって、なんて情熱的な告白なんだ、、と口をハクハクされたのを覚えている。

  • 全体的に暴力的描写がある作品。
    特に9章は心してって感じ。

    壊滅的状況でも幸せがある。筆者曰く“二度と抜け出せない落とし穴に落ちた人の物語”、そしてこれらを“元気の出る物語”と締めくくる。

    なかなか無い後書きに、おっちゃんは驚きました。
    これまでにおっちゃんが出会わなかっただけだとは思うが、この様な作風の作品は色々あるのだろう。良い意味で耐性がついた気がする。

    読み手を選ぶ作品か否か賛否別れるだろうが、おっちゃんは読み切って、良かったと思える方です。幸せの在り方はそれぞれでしょう。

    イキリDV親父が解せない。それ故の星4つ。
    でも、演出上仕方ないのだと言い聞かせる。

    三秋縋という人物に、俄然興味が湧いた作品でした。

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著者プロフィール

WEBで小説を発表していた作家

「2015年 『僕が電話をかけていた場所』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三秋縋の作品

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