スノウ・ティアーズ

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.30
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本棚登録 : 301
感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048739535

感想・レビュー・書評

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  • 梨屋さん2冊目。この不思議な感じはこの人の作風なのだろうか。SFっぽいかんじ。不思議体質の主人公君枝の少女から大人に移り変わっていく物語。序盤は作品世界に上手く馴染めなくて辛かった。『靴々草』のお話が好きだったなぁ。恋愛ってタイミング。タイミングが合わなくて幸せになれなかった陸と君枝。唯一の理解者陸を失い、感情のやり場がなくなってしまった君枝の今後が辛いなぁ。2011/623

  • パラパラっと読んでほのぼの系ファンタジーかなぁとか思ったら、近いけど全然違った。分からなくはないような気はするんだけど、ちょっと不思議要素が強すぎる。

  • 最初はかわいいファンタジーなのかと思っていたら、主人公がどんどんと大人になって、それにつれて起こる不思議なことも変わっていって、わたしの苦手な大人の女性の葛藤やらのもやもやを描くものなのかしらんと読み進める手が止まりそうで止まらないままペースを落として読んでいたら、最後にポツンとしずくが垂れる様にクライマックスが訪れて、ようやく最初のわくわく、それから途中のだらだら、もやもや、それらが全て主人公と一緒に居たからだったのだなあと気づいた。クライマックスまでの文章は、もしかしたら省略されても話は通じるかもしれない。わたしとしては、この作品は途中の主人公の成長などを楽しんでいって最後にオチというピリオドを打って「ああおもしろかった!」と楽しむのではなくて、クライマックスをいかにしてドラマチックに受け入れられるかというお話だった気がした。だからこそ怒涛のクライマックスではなく、あんなにもひっそりと、水の中にインクをぽたりと垂らしたようなエンディングが、ぶわあと全身に広がるのだと思う。多分、誰も幸せになっていないのに、読後はとても気持ちよかったです。

  • まっしろなイメージ。
    私はまだ波間にぷかぷか浮かんでいるようです…もう少し大人になれたら、読み返したいなと思いました。

  • 久しぶりにこの人の作品を読んだ。展開的にはよくある恋愛モノ。だけどやっぱりこの人の書く世界は非現実的だけどリアルな感じで、すごく自分に刺さって痛い。

  • 久しぶりに読んだ梨屋さんの作品。梨屋さんの作品はどれもきれいな透明でたんたんとつむがれる切なさで溢れている。君枝の成長にともなう心情がとてもリアルで理解されない苦しみや孤独感が読み進めるにつれじわじわと染みた。

  • 妄想が具現化し、しかも大抵は不都合な形で巻き込まれてしまう不思議体質の主人公の女性の物語。

    妄想は「他者と共有できない自分」や「自分の意志ではどうしようもないもの」などのメタファーか

  • 誰にも見えないものが見え、ありえないことを体験してしまう「不思議体質」の君枝。
    目的の教室にはひとりでたどり着けず、マネキンの自己主張を受け入れ、母親に買ってもらった傘からは文句を垂れられ、枕カバーに住む少数民族に涙を搾り取られる。
    おかげで学校では変わり者扱い、不思議な現象が邪魔をして、バイトはクビになってばかり。
    恋愛だってうまくいかない。
    虚言じゃない、妄言じゃない。誰も信じてくれない。そんな孤独な心を、幼なじみの陸だけがわかってくれていた。
    けれど、ふたりの人生はやがて別れてゆく。お互いに別な相手と結婚し、そして。

    お互いの大切さに気がつくことなく、流れた歳月のなかで見失った数百分の一の恋心とその喪失を描くラブストーリー。

  • 題字のフォントとデザインに惹かれて、なんとなく図書館で手に取りました。
    梨屋アリエさんという方の本は読んだことがなかったけれど、
    「君枝は幼い頃から捨てられたモノを拾う癖が付いていた。」
    という一文を読んで、読みたくなり借りることにしました。
    私もよくいろんなものを拾ってきてたんだよな~。
    図書館の本は、帯の紹介文の部分を切り取って、表表紙(内表紙)に貼り付けてあるのですが、しばらく読んだあと、その紹介文にふと目をやると、
    「でも、あの頃の二人は、お互いの大切さに気が付かなくて-。」
    とあって、なんや甘酸っぱい青春ドラマやったらイヤやなぁと思いました。
    結論として、梨屋さんが書きたいことはそういうことであったのかも知れないけど、それにしてもこの帯の文章は気持ち悪すぎて、本文のジャマをしているとしか思えません。
    ・・・帯はさておき、不思議体質の君枝がただただ困っている毎日というのが、アスペルガーで困っている自分と少しだけ似ていると思った。
    どうして何度も同じような説明をする箇所が出てくるのだろうと思ったら、6段落それぞれが、別の本に書かれた短編だったようです。
    一続きで一気に書かれていたら、もっと引き込まれたんじゃないかなぁと、少しもったいない気がしました。
    それでも、面白かった!
    もっともっとつきつめて、必要最低限までそぎ落とされた、梨屋さんの文章を読んでみたいと思いました。

  • 誰にも見えないものが見え、ありえないことを体験してしまう「不思議体質」の君枝。そんな孤独な心を、幼なじみの陸をのぞいては誰もわかってくれなかった。でも、あの頃の二人は、お互いの大切さに気がつかなくて-。少女から女へとつづく、幻想の海原を漂いながら、見失ったのは、ほんとうの愛。哀しみの向こう側を、きらめく才能が描いたラブストーリーの新しい波。

    素直に面白かった。時系列はバラバラだったけど、読んでるうちに分かってくるし、途中の陸との関係とか、面白かったのに...ラストの数ページが、かなり残念だった...最後がかなりもやもやしてしまったよ。

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著者プロフィール

栃木県小山市生まれ。児童文学作家、YA作家。
法政大学兼任講師。
1998年、『でりばりぃAge』で第39回講談社児童文学新人賞受賞し、翌年、単行本デビュー。
2004年、『ピアニッシシモ』で第33回児童文芸新人賞受賞。『ココロ屋』が2012年全国読書感想文コンクール課題図書に選ばれる。その他、『プラネタリウム』『わらうきいろオニ』(講談社)『スノウ・ティアーズ』、『きみの存在を意識する』(ポプラ社)など著書多数。

「2020年 『エリーゼさんをさがして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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