若者殺しの時代 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498372

感想・レビュー・書評

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  • クリスマス、バレンタイン、TDLと1980年代から2000年代にかけて若者から金を採取する文化が根付いたしまったとのこと。どのように根付いていったかの考察は面白いが、今後の進むべき道の提言が”逃げろ”ではちょっと・・・

  • 物騒なタイトルだけど、1980~90年代の日本の社会風俗史をクリスマスやトレンディドラマ等のユニークな視点と文体で纏めてておもしろおかしい。
    それぞれの時代で“若者”がどう扱われてきたかを分析し、「若者であることが得をした時代」と「若者であることが損でも得でもない時代」と「若者であることで損をする時代」などと表現している。タイトルもそういう意味。
    社会のシステムの1タームがおよそ60年とし、敗戦後社会の「裕福で幸せな社会を目指して右肩上がりで発展していくこと」を目標にしていたタームはもう終わろうとし、これからは別の目標の新しいタームに入ろうとしているクダリが面白かった。
    最近 昭和懐古のコンテンツが多いのも、もうテールエンドからゆるやかに新しいタームに移ろうとしているからかもしれない。

  • 私より少し上の世代なら懐かしい〜!と更に楽しめるかも。バブル、クリスマスファシズム、ディズニーランドの項は笑った。女の子がお姫様になり女の子の希望を優先する世界になった。つづく!

  • 当たり前だけど、19歳にはここに書かれてることのほとんどが実感を持てないものだった

    そんな時代があったんだなーと思うのが限界だった

  • 社会の中に「若者」の居場所が無かった時代。
    ボクの世代はベビーブーマー世代とベビーブーマーJR.世代の合間の世代。
    物心つき始めた頃は、すでに社会はおもしろおかしい楽しげなモノ、はやく東京に行かねばっ!とまだハァ〜ハァ〜していた世代である。
    本書を読んで、それがスーツを着た大人たちが社会の中に「若者」を取り込んでいった時代をまんま生かされていた感じた。

    「おとなが若者のつもりのまま年をとっていき、その下の若者の居場所がないのだ。  となると若者は、自分の内側の世界を大事に生きるしかない。内側を生きる人たちは、世界に薄い膜をかけて見る。リアルに直視しても、何も幸せになれないからだ。その世界に生きてはいるが、世界の成り立ちとは関係してないと考える。  若者のせいではない。僕たちが選んだ社会の気分とシステムのせいである。」

    まんま言われるがままに大人が若者のつもりのまま年を取っている自分がいる。

    ボクが生きてきた時代とはこういう時代だったのか。

    1983年 恋愛のクリスマスが始まる
    1987年 男子が恋愛のクリスマスに追いつく
    1987年 TDLが聖地化しはじめる
    1989年 貧乏を完全に捨てた
    1989年 カルチャーとしてのマンガを捨てた
    1990年 文章は機械で書くものになる
    1991年 ラブストーリーを見て女子が勝手に恋愛レートを上げた
    1991年 そのぶん男子のためにヘアヌードが安くなった
    1993年 女子高生の性商品化が始まる
    1997年 携帯電話で社会が覆われる
    1997年 大学の「単位」が「来る」ものになり世界はバーチャルになる

  • 若者は、「若者」というくくりをつけられた上で、ある一定の方向性に誘導させられ、搾取させられてきた。例えば、「クリスマスは彼女とリッチに過ごす(1983)」だったり、「バレンタインにチョコレートをあげる(1977)」などである。

    これらは、1980年代に女性主導で起こった。ディズニーランドも1987年あたりで聖地化した。これらは、女性主導で行われた。ラブホテルから回転ベッドなどの面妖さが抜け、女性好みのシンプルさになっていったのも、その一環だと思われる。女性の要求は、洗練され細分化された形で事前に用意された。

    1980年代後半にはコンビニが普及し、人々が「無駄な消費」を覚えた。水や茶の販売も始まった(それまでは自販機でもジュースしか売っていなかった)。

    1959年には漫画の認知度は低く、始めてサンデーとマガジンが連載開始した。1960年代から徐々に人口に膾炙し始め、サブカルチャーの普及とともに1970年代には大学生でも一般化した(ただ、1960年末は学生運動が本格化していたため、それどころではなかった。)。80年代には「ネクラ」と「ネアカ」の二分化が始まり、漫画執筆はネクラにカテゴライズされた。ここまではカルチャーとしての漫画だったが、想像上の擬似世界としての漫画を消費する傾向が高まり、それが「おたく」だった。ネアカになりきれない連中が、おたくとして存在した。そして、89年の宮崎勤事件(おたくが性犯罪者と結び付けられた事件)を機に、おたくは忌避すべき存在となった。

    1990年以前はホームドラマが中心だったが、それ以降はトレンディドラマ(トレンドを中心にした恋愛)が中心になった。91年の「東京ラブストーリー」が契機になり、月9が形成された。女性は「折れない」生き方が理想になった。女性は処女性を捨て、91年からはきれいな女性がアダルトビデオに出演するようになった。一瞬ポケベルの時代があったが、97年からは携帯が安価になり、普及し始めた。その結果、常にあらゆるところとつながることになった。

    何にせよ、あらゆるものが商品化され、金に買えられていった。

  •  「クリスマスが恋人のものになる」「みんながディズニーランドに行くようになる」「みんなが携帯を持つようになる」といった出来事をいろんなデータを集めまくって、著者の体験と実感混み込みで語っている素晴らしい本。
     一番面白いのは2章のクリスマスと3章のディズニーランドの話。80年代以前が想像できないくらいライフスタイルが変わっている感じがするんだな。
     同時代を象徴する人物は、この本では描かれていないけど、島耕作だよね。島耕作が課長になったのが1983年で、クリスマスを島課長は上司と居酒屋で過ごしたりしている。1980年代後半には授業参観で「将来の夢はディズニーランドになることです!」という児童が出てくる。
     80年代は田中角栄が列島改造を終えて刑務所に入っている時代。フォーカス・フラッシュ・フライデーがスキャンダルを追いかける時代。日本が最も熟れている面白い時代なんだよね。

  • 現代がいかに若者が損をしているのかがわかる。

  • 80年代あたりを直に生きてきた人にはそうそう!って感じで面白いのかも。85年生まれの私には実感が湧かないけど、ちょっと上の世代がどんな時代を生きてきたかっていうのが垣間見えて面白い。きっと時代とそのブームを上手く面白おかしくまとめてくれてるんだと思う。

  • Interesting but used review on mass media and comoditisation of culture. Very manly and almost blaming women to take a lead on some of the changes. Still has no clue what to do with Japan but trying to find a hint by reviewing what has changed (potentially what went wrong).

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著者プロフィール

1958年生まれ。京都市出身。コラムニスト。
著書に『かつて誰も調べなかった100の謎 ホリイのずんずん調査』(文藝春秋)、『青い空、白い雲、しゅーっという落語』(双葉社)、『東京ディズニーリゾート便利帖 空前絶後の大調査!』(新潮社)、『ねじれの国、日本』(新潮新書)、『ディズニーから勝手に学んだ51の教訓』(新潮文庫)、『深夜食堂の勝手口』(小学館)、『いますぐ書け、の文章法』(ちくま新書)、『若者殺しの時代』『落語論』『落語の国からのぞいてみれば』『江戸の気分』『いつだって大変な時代』(以上、講談社現代新書)などがある。

「2013年 『桂米朝と上方落語の奇蹟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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