若者殺しの時代 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498372

感想・レビュー・書評

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  • 新書としてはべらぼうに軽くて読みやすい。
    恋人と過ごすクリスマスをはじめ、バレンタインデーのチョコレート、デートスポットとしてのディズニーランド、携帯電話、マンガ、月9ドラマ、単位が「来る」という表現などといった、今の若者を取り巻く仕組みが、いつから、どのようにして生まれてきたのかについて、当時のドラマや漫研の資料、雑誌などを用いて解説している。

    ただ、もっと突っ込んで欲しかった部分も多い。例えば、「内にこもるな。外へ出でよ。仲間と遊べ」というスローガンはどこから出てきたのかとか。

    「こういう時代があった」という事実関係を楽しむ本としての性格が強い。

  • 以前、団塊の世代の方々とお話したときに、
    「壊した後に何も作らなかったのがよくなかった」といったようなことをおっしゃられていたことを思い出してしまった。

    若者であることはすばらしいとは、私は思わない。
    「ぼくは二十歳だった。それがひとの一生でいちばん美しい年齢だななどとだれにも言わせまい」とポール・ニザンもいっている。ということを、子どもや若者がいいといわれるときによく思い出してしまう。

    堀井さんはカルチャーと絡めて、どんどん若者が食い物にされていく様子を浮き彫りにしている。その視点が面白い。ただ、どんどん女の子がお姫様化、恋愛至上主義化していくというのは、どんなもんなのだろうと思う。ただ、私が女子代表(メジャー)とはとても言いがたいので、女子の中心はそうなのかもしれない。

    逃げろと堀井さんは最後にアドバイスをくれているが、さて、私はいったいどこへ逃げようか。

  • 昔はクリスマス・バレンタイン、そんなものはなかったが、いつの間にかクリスマスは恋人同士が過ごす日、バレンタインの日はチョコをプレゼントする日となってしまった。
    若者たちは、あたかも大昔からその習慣が根付いているように感じているその世界で生かされているのが不幸、といった内容なのかな(ちょっと違うかも)
    こういったいつのまにか作られた固定概念って怖いなって感じた

  • 題名から年長者の説教本ぽく見えるが、実は80-90年代の各イベントを著者のユーモアあふれる解説で、その状態の遷移を面白く語ってくれた本。題材が庶民的なので、ちょっとした脳休めにも良いと思います。

  • ・若者は昔ほど得ではない.そしてそのことにまだ多くの年寄りが気づいていない.
    ・社会の要請から避けること.本書内では文化を身につけること.
    →社会システムにしばられては搾取から逃げるのは難しい.

  • ・携帯電話は、人と人とをダイレクトに結びつけている。皆と繋がっているということは、逃げ場がないということ。昔は、電話はもともと一つの可能性だったが、携帯電話であれば、相手が出なければ、拒否されている可能性が高い。

  • 2011.09.29 開始
    2011.10.04 読了

    良書。
    1980〜90年代におけるさまざまなデータをもとに、いかに若者(日本の未来)が殺されたかが述べられている。

    この本のどこかに、1983年に若者が殺された、というような表現があったのだが、見当たらなくなってしまった…。その年に3歳を迎えた自分、という視点でいろいろと考えてみたい。

  •  現在のことを知りたかったが、残念ながら本書は2000年前後で終わっているので、現在とはかなり異なっている。

  • ひどい本だ

  • 若者はいつの時代でも割りを食う。そうならないためにも、逃げなさい。
    と、著者は言います。

    けど、果たして本当に若者が損をしているかどうか、疑問です。若者が青春を謳歌できるように社会経済が動いているのは間違いないわけで、消費の多様化(大衆画一化)、今までに無かった選択肢が増えた事は単純に喜ばしい事で、それを良しとしない一部の若者の被害妄想のような印象を受けました。

    資本主義社会の中で、消費(浪費)を増やすためのターゲットに若者が選ばれた。どんどん消費しなければ時代に取り残される……そういう恐怖観念で若者を煽動し、とにかく夢中で遊んだ80~90年代。そしてバブル崩壊。

    そういう視点は尖鋭的で瞠目ですが、少なくとも消費が活発となって、所謂快楽主義的な、今までに無かった楽しみが増えた事は疑いようの無い事実で、問題はスピードだという気がします(これは著者も述べています)。

    反省することは大切ですが、悲観的な受け止め方は如何なものかと感じます。

    もっと人生を主体的に、好意的、積極的に受け止めいく姿勢がステップアップに繋がるんだと思うし、端的にネガティブな事ばっかり言う人というのはあんまり好きじゃないんですよね(笑)

    つまり、たった一度しかない人生に、自分で自分の人生にケチを付け続けるというのは、最早自分の人生でなく、自身の人生ではなくなっているんですよね。

    そういった点で、危惧するべきは、『聞き分けの良い子』が感覚的に増えているのではないかという不安です。

    聞き分けの良い子というのは、大人の言う事を聞くので、大人からすれば誉められる対象になるのですが、裏を返せば自我が無いという事です。
    子自身が自ら主体性・積極性を放擲し、他人に選択・行動を委ねる一連の所作。これは本人の実績とは言い難いし、他人依存が過ぎる事は由々しき問題です。

    他人が敷いたレールを走るだけの人生なんて真っ平。

    とまぁ、脱線も甚だしいですが(笑)、内容は大して詰まっていなくて、少々退屈な本でした。
    アマゾンでは評価が高いようですが、僕はあんまり……でした。

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著者プロフィール

1958年生まれ。京都市出身。コラムニスト。
著書に『かつて誰も調べなかった100の謎 ホリイのずんずん調査』(文藝春秋)、『青い空、白い雲、しゅーっという落語』(双葉社)、『東京ディズニーリゾート便利帖 空前絶後の大調査!』(新潮社)、『ねじれの国、日本』(新潮新書)、『ディズニーから勝手に学んだ51の教訓』(新潮文庫)、『深夜食堂の勝手口』(小学館)、『いますぐ書け、の文章法』(ちくま新書)、『若者殺しの時代』『落語論』『落語の国からのぞいてみれば』『江戸の気分』『いつだって大変な時代』(以上、講談社現代新書)などがある。

「2013年 『桂米朝と上方落語の奇蹟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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