人事制度イノベーション (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498457

作品紹介・あらすじ

サトー、サイボウズ、不二越、沖電気工業、日本総合研究所、東京電力、カゴメ、クボタ、日本アイ・ビー・エム、コスモ石油…etc.成果主義のメリットを活かし、弊害を乗り越えるための処遇、人材活用、教育研修制度の実践事例を満載。

感想・レビュー・書評

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  • ”サブタイトルは“「脱・成果主義」への修正回答”。成果主義を中心とした日本の人事制度がテーマ。買ってしばらく本棚に差したままにしていたが、ようやく自分にとっての「読みごろ」になってきたかな。

    <目的>
    ・制度見直しへのヒントを得る

    <トリガーワード>
     脱・成果主義、社内人材マーケット、フリンジ・ベネフィット制度、マイスター

    <質問>
    ・組織にいる人たちのやる気、価値創造につながるには、どんな方針で制度を見直すとよいのか?
     →若い世代に成果主義給与制度、年代ごとに年齢給の比率を増やしていく
      報奨ミリオネア制度
      社内人材マーケット制度(手挙げする)
      「どの層にフォーカスし、どんなメッセージを伝えるか」

    <読書メモ>
    ・1995年は成果主義元年(p26)
    ・目標管理主義をベースにしたこの種の評価制度には大きく三つの問題点がある。(p50-54)
     (1) あいまいな絶対評価の基準
     (2) 「目標」の貢献度の違い・難易度の違い
     (3) 成果を水割りする「相対評価」
    ★コンピテンシー…ハイパフォーマーに共通する行動特性(p76)
     ・異文化に対する感受性がすぐれ、環境対応力が高い
     ・どんな相手に対しても人間性を尊重する
     ・自ら人的ネットワークを構築するのが上手い
     #あー、この3条件は分かるなぁ
    ・ホテル経営会社の管理職用コンピテンシー評価例(p78-80)
     【リーダーシップ】
     ・会社方針/事業戦略を達成するために担当部署の短期・長期の業務計画を具体的に作成し、部署や部下を効果的にリードしているか。
     ・計画変更や障害克服の場面において、部下に適切な指示・励ましを行っていたか。
       (略)
     【部下の能力開発】
     ・能力開発は自己責任だと自身で自覚しているか。ないし部下にも自覚させているか。
     ・部下の強み・弱みについて話し合い、部下の脳力を高めるための措置をとっているか。
     #どんな人物像かがわかりやすい。
    ・現実問題として中高年に成果主義を強いるのはかなり無理がある。(p94)
    ・フリンジ・ベネフィット(p106-107)
     付加給付。会社が給与以外に社員に支給する健康保険、失業保険、年金、社宅、家族手当、福利厚生費、有給休暇などをフリンジ・ベネフィットという。
    ・報奨ミリオネア制度(p123-126)
     さまざまな報奨金制度を用意し、それに該当する社員に対して個別に対して報奨金をである。(p125)
      (略)
     このほか、社員の互戦による次のような賞を設けるのでものもよい
    ・東京電力 事例8:社内人材マーケット
     特定の層に総括すると、次の母親に学ぶ・・・”

  • 『会社が置かれた状況に合った人事制度を取り入れ、状況の変化に応じて見直すこと。特定の層にフォーカスし、そこに対してはっきりとしたメッセージを送ること。そうすれば、少なくともフォーカスした層の人材は活性化する。残念ながらそこから外れた人材の活性化は望めないが、全体としてみれば会社の業績を下支えする要因の一つにはなる。それこそが考えうる最良の人事制度だ、と。』

    ちょっと古いが、成果主義についての充分な情報が得られた。

    ジェネレーション・ギャップ賃金制度、フリンジ・ベネフィット制度、マイレージ制度、報酬ミリオネア制度、中高年コーチ制度、社内ダブルワーク(アルバイト)制度、社内人材マーケット制度、といろいろな人事制度の考え方があることを学べて、いい刺激になった。

  • 成果主義による人事制度による問題点がまとめられており、それに対する著者なりの解決策(人事制度)を提案している。
    成果主義を導入する前に、その知見を知ることができる点は貴重だ。

    「成果」が数値目標で表現できないような職種・業種の場合、成果主義を導入しにくいのだけど、「成果」そのものを社員に設定させればいいのかなと思った。
    その成果と達成度から点数化するとか。
    そうすれば、「成果の定義が曖昧だ」っていう声も挙がらないし、「達成し易い目標を立てる人が続出」なんてこともなくなる。

  • とっても読みやすい本だった。
    批判というよりは、考察がほとんど。だから、良かったのかも。
    ただ、今回学習した事は、調査のつもりで読む場合、類似ジャンルの本を複数読んで、自分論をまとめる事が必要だなと思った。じゃないと、偏る・・・。
    評価制度は、基本給の決定に繋がっている。(などの賃金制度)

    p3 賃金管理の情報専門誌の紹介。『賃金実務』『労務事情』
    4 取材社数は500社以上
    7 三菱商事 団塊世代を念頭に置いて導入した制度
    11 人事制度の耐用年数は短くなっている
    14 業績評価ベースになる目標が立てられない
    47 日本の成果主義の実態
    50 コンピテンシーも含めたプロセス評価を取り入れる企業が増えている
    57 気付き
    59 年功序列を是とする経営者や管理職の精神性
    64 後ろ向きの強迫観念だけは植え付けられたと解釈することができrそうだ
    70 『こころの健康』 アンケート結果記載
    74 評価制度と目標管理制度の2つの制度に重大な問題がある
    77 (360度は、コンピテンシー調査)コンピテンシーは人材教育の指標
    83 サイボウズのチャレンジ評価制度の例
    100 著者の人事制度の提案
    111 社員の納得感、満足感を引き出すこと
    125 報奨制度を用意する例
    146 社内ダブルワーク制度(コーチングはそんなにいい副業になるんだろうか・・・?)
    207 社員数30-40になると、人事制度の策定に着手する
    209 人事制度をいじることで組織の活性化を図り、社員のモラールアップを図ることができるものなのだろうかあ?と疑問がある。
    211 人事制度は経営者から社員に対する一つのメッセージ

  • 上司と話していた社風というか、企業理念について考えていた。
    内容的には年功序列からどのような人事制度が発生してきたのかを紹介してある。
    しかし最後にはすべて無視して人事制度には意味があるのかという問いを出している。
    そして結論のように人事制度よりもそれが意味するメッセージが伝わるかどうかが企業の望む人材を獲得する術だとまとめている。
    人事は頑張っているのかどうか分からないが、ワンマンだとさっぱり伝わらないものだ。

  • [ 内容 ]
    サトー、サイボウズ、不二越、沖電気工業、日本総合研究所、東京電力、カゴメ、クボタ、日本アイ・ビー・エム、コスモ石油…etc.成果主義のメリットを活かし、弊害を乗り越えるための処遇、人材活用、教育研修制度の実践事例を満載。

    [ 目次 ]
    第1章 幸せな成果主義・不幸な成果主義(衝撃を与えたホンダの年俸制;1995年は「成果主義元年」 ほか)
    第2章 いい成果主義・悪い成果主義(「格差をつける」ということ;数字で見る成果主義の問題点 ほか)
    第3章 人を活かす人事・賃金制度のヒント(ジェネレーション・ギャップ賃金制度―「世代別逆転」成果主義;フリンジ・ベネフィット制度―メリハリのある処遇法1 ほか)
    第4章 成果主義とITで変わるキャリア設計(教育成果主義;IT成果主義)

    [ POP ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 人事制度の話。成果主義をどう設計するか、とかどんな事例があるのかについていろいろ述べているが、まぁ最終的には「景気がいいときにはどうでもいいですよね」って書いてるところに好感がもてます。

  • 堅い本かなと思ったが、意外に読みやすかった。
    形ばかりの成果主義は必要ない。
    若者は成果主義。
    中年は年功。
    なかなかナイス。

    2008年05月27日読了。

  • 2006/07/22
    \720

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著者プロフィール

滝田誠一郎
(Seiichirou Takita)
1955年東京生まれ。ノンフィクション作家・ジャーナリスト。青山学院大学卒。
『ネットビジネスの若き創造主たち』(実業之日本社)、『孫正義 インターネット財閥経営』(日経ビジネス人文庫)、『人事制度イノベーション』(講談社現代新書)、『開高健名言辞典〈漂えど沈まず〉』(小学館)など著書多数。
本書の先行世代の起業家を取材した『電脳のサムライたち』シリーズが小学館より電子書籍化されている。

「2014年 『IT起業家10人の10年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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