キョウダイ (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061828018

感想・レビュー・書評

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  • ミステリとホラーの融合とのことで手に取りました。DV、難病、いじめ等苦手なはずなのですが、過去の回想だからなのかホラーの怖さや悍ましさがそれを上回ったのか、もはや逆に先が気になって一気読みしてしまいました。ミステリとしてはわかりやすいですが、それでもどんな結末が待っているか目が離せませんでした。視点を変えてその後を示唆するところなど私は好きです。微妙にわからなかったところもありますが私だけかな。女のドロドロしたイヤミスは苦手ですがこれはまた違うイヤミスですね。続編が出ているのでそちらも読んでみたいです。

  • イヤミス、と言っていい作品。そこそこの年月にわたって苦しめられる感じがなんとも。登場人物を取り囲むまがまがしさというかどんよりした感じとか、好みは分かれるだろう。個人的にはそんなに得意ではないんだけども、こういう作品は意外と多い。なるべく出会わないようにしたい。

    が、評価は別。しっかり作り込んである気がする。

  • どこかで見たトリックではあるものの話しは面白かった

  • 久しぶりにこんなに後味の悪い話を読んだ。
    人間が怖いタイプのホラーミステリー。

  • 妻と一人娘と、平凡ながら幸せで満ち足りた生活を送る主人公。しかし、ある晩妻が取り出して見せた小学校の卒業アルバムを見て、封印した過去の記憶が蘇る。北海道M市の通称「餓死町」で、義父の暴力とクラスメイトからのいじめに耐え、原因不明の難病に罹った双子の弟の看病をする凄惨な生活を送っていた。

    前評判通りの後味の悪いイヤミスだった。ミステリ的にはそう大した驚きはなく、黒幕は最初から怪しかったし、どんでん返しも双子が出てくるミステリと言えばお約束のところ。しかしそれ以上に人間の恐ろしさを描いたホラー作品として面白かった。

    あの男ももちろんゲスだが、一番怖いのは妻の洋子じゃなかろうか。結局、彼女の本心としてはどっちだったのだろう?こんなことのために自分の人生を犠牲にして……そういう風にマインドコントロールして育てられたから疑問を持たなかったのだろうか。

    ラストの、烏のキョウダイの目線で書かれた真相はなかなか凝っていて面白い。

  • この間読んだ『オールスイリ』に紹介されてたもの。本格ミステリーとホラーを合わせたもの、というので楽しみにしてたけど、あんまり本格ミステリっぽくはないような。非常に後味の悪い作品だ。つーか、グロい。皮膚病関係ってどうしてこんなに気持ち悪く感じるのか。それよりも義父の恐ろしさ。いや、それよりも妻・洋子の方がグロいか。親の復讐のために結婚までするか?しかし洋子の本心はどっちなわけ?子供は?義父と一緒に笑ってたってほんとなの?主人公の被害妄想??しかし、いつの世も犯されて子ども産まされて、女はなんてかわいそうなんだ。そんな子をよく産む気になるな。最後のキョウダイを看ている、ってのは誰のことなんだ?なんかすっきりしないわー。

  • ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作ということで読んでみました。ミステリーとホラーの融合でおどろおどろしいです。

  • ある意味定石の展開。
    どんでん返しという意味でなら、弱い。
    文章も、それほど書き慣れていないのでしょうか?小説としては物足りない。

    が、中盤の鬼畜な展開には引き込まれました。
    あの勢いで、終盤も本当の意味でどんでん返しをかましてくれたら、もっと高評価だったかと。
    普通でした。残念。
    でも少年期のヒリヒリした残酷な展開は素晴らしかった。それだけに、ラストに期待し過ぎてしまった。

    ステロイド全身投与……?
    治癒力が強烈な分、後遺症も酷いはす。そんな簡単にキレイになりますか。たまたま彼は幸運だった?
    どうなんでしょう。ちゃんと取材しての描写なのですかね。

  • ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作(3回)

  • すっかり嵌まりこみ、気付けば1時間半ほどで読み終えていた。
    ラストが面白い。
    グロい描写があって読後感が悪い小説が好きな人は満足出来る筈。

  • イヤミスであり、上質の仕掛けを配して二転三転のどんでん返しがある意味胸糞悪い。
    しかしミステリーとしては傑作かな。

  • 第3回福山ミステリー文学新人賞優秀作!
    双子のキョウダイが、内容を面白くさせてますね。夜中から読み始めたのですが、200ページですぐ読めると思ったのですが、2段に書かれてるのでボリュームはあった。ホラーとミステリーで、ハラハラ怖いやら気になるやらで、とうとう朝方近くまで読みきりました。興奮してすぐには寝付かれなかった。怖かったけど、面白かった。

  • 第3回福山ミステリー文学新人賞優秀作だそうですけど、とにかく日本語が下手。島田荘司がこれを選んだというのが何とも解せません。いわゆる「どんでん返し」に関しても双子という設定なら誰にでも考えつくレベルで全然「返し」になってないし、原因不明の難病がステロイドの大量投与で完治するなどと言う展開もご都合主義が過ぎてあきれます。

  • 私の好きな島田荘司さんが選考員になっている
     「ばらのまち福山ミステリー文学賞」で
     「第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作」(長いな)
     を取った、
    キョウダイ (講談社ノベルス) by嶋戸悠祐さん

    最初に言っておきます、面白いです!!

     あらすじ(背表紙のあらすじを更に要約しました)

    「 主人公「私」は、妻と娘に恵まれ、幸せな日々を送っていた。
     が、妻が持ち出した小学校時代のアルバムが人生を狂わせ始める。
     それは過去を封印した私に取って存在してはならぬものだったからだ。
     その日から、過去に追い詰められた私は、過去と対峙することを決意する。
     当時の過去とは…… 」

     ってな感じです。

     ホラーとミステリーの融合的な事書いてありますが、
     ホラーらしきホラーは一箇所くらいで、後は、人間の狂気に根付くホラーですかね。
     
     読んでは、エグくて本を閉じて床に置き、
     その直後にやはり気になって本を再び手に取る
     みたいな事を繰り返しまして、何だかんだで二日で読み終えました。

     ストーリーが面白いので、序盤を超えたら一気読み出来ます。
     私がそうでしたから。

     ただね~、問題は、伏線とかはしっかり貼ってあるんですが、
     もろバレ何ですよね。
     ある程度ミステリーという類の本を触れてる人からすると、
     犯人(?)的な存在には気付きます。
     
     「〇〇は〇に〇〇ての〇〇みたいな〇〇だからな~、〇〇とこれ〇〇は……」
     みたいなセリフは「あー」って思ってしまった。

     木を隠すなら森の中って言います。
     犯人を隠すなら人間の中に放り込めば良いんです
     が、この本は荒地に一本だけ木が生えてる感じなんで、
     もろに怪しいんですよね。

     しかし、実は「〇が実は、〇の〇だった」ってのは、
     やり過ぎじゃないか?
     って思ったり……。

     小学生にあそこまで出来るのか?
     と思ったり。

     ラストが上手く、比喩を使って、
     〇が〇を〇したのが書かれてますが、
     何故あのように書いたのかを是非聞いてみたいですね~。

     ストーリーの作り方が上手かったので、
     伏線の隠し方がもっと上手くなったら、
     ☆5もあった!!
     ので、次回作に、これからが更に楽しみになった作家さんになりました。

     読んだ人がいたら、一緒に語りましょうぜ!!
     誰かと語り合いたくなる作品ですので、オススメです。

  • 私は妻と娘に恵まれ、幸せな日々を送っていた。
    が、ある日妻に届いた手紙。そして妻が持ち出した私の小学校時代のアルバム。
    それらが日常を狂わせ始める。
    なぜならそのアルバムは存在しないはずだった。自身で焼き捨てたのだから・・・。
    恐ろしい幻影に襲われ、精神的に追い詰められた私は過酷すぎる過去と対峙することに―。

    第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀賞受賞作品。
    今作は講談社ノベルスからの出版ですか。ちょっと驚き。
    そしてこれはまた、いままでの受賞作品たちとはかなり違ったテイストで。
    ホラー寄り、というか。全てが論理的に解明されるわけではありません。
    でもそんなことはどうでもよくなるくらい、描かれている人間が怖ろしかったです・・・。

    不穏な空気を漂わせてはいますが、いちおう幸せな家庭を築いていた冒頭から一変、小学校時代の回想になるのですが、これがもう。
    DV・虐待・奇病・イジメ・一家心中と不幸てんこ盛り。
    いかにもな一人称で、絶対に何かしかけてある、と思いながら読み始めたのですが、吹っ飛んでしまいました。
    そして回想後、現代に戻ってからのクライマックスがまた・・・。
    いやぁ、強烈。まれにみる読後感の悪さで、かなり印象に残ると思われます。

    それにしてもこの第3回の受賞作品たちって、どれもかなり鬼畜ですが、たまたま?
    なんというか、現代の世相が反映されているのかなぁ。。。
    でも本当に豊作な回だったのですね。
    どの作品も面白く読ませていただきましたし、どの作家さんにもがんばってほしいな。

  • 予備知識なしでスラっと読んだら面白かった

    <あらすじ>

    ある日
    妻・洋子のもとに 北海道の親戚から一通の手紙が届く。

    思いつめた表情で手紙を広げていた洋子
    私は妻に隠れてその手紙を読んでみる。

    「―はじまりを告げるもの
    それがまもなくお前の元に届きます
    吉報を待ちます」

    と意味不明の文章が書かれてあった。


    しばらくして
    洋子のもとに今度は荷物が届く。

    その荷物を見て呆然と佇み血の気が引いた洋子
    私が中身を聞いても教えてくれず、、、何故か急に
    私の卒業アルバムを取り出してくる。

    【北海道M市立大和小学校卒業アルバム】

    それは私が過去を封印するために燃やしたはずのアルバムだった。
    私はそのアルバムを見てしまいイヤな過去を思い出してしまう。


    小学生時代 双子の弟≪キョウダイ≫との生活を、、、

    父の死、母の再婚、義父のDV、母の入院、そして義父と共にM市に引っ越し
    止まない義父のDV、弟は病に倒れ、学校ではイジメを受ける、、、
    まさに悲惨な生活だった。

    そんな中、寝たきりとなった弟はある計画を思いつく。
    それは義父と私たち≪キョウダイ≫でないと成立しない悪の計画だった!


    そして今、、、私は妻にすべてを打ち明け、、、そして真実を知る

  • どこに企みが秘められているのかなかなか分からない、ホラーっぽい雰囲気のミステリ。謎めいた導入部から始まり、悪辣な男の恐るべき犯行や少年の悲哀の物語、そして行き着く先はいったいどうなってしまうのか。
    結果的には、これは壮絶な「復讐」の物語でした。でもまさかこんな真相だとは思わなかったなあ。あまりにあまりな計画に、絶句するしかありませんでした。

  • 2011/08/16読了

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著者プロフィール

1977年北海道旭川市生まれ。北海学園大学卒。2010年に『キョウダイ』が島田荘司選 第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作となり、デビュー。他に『セカンドタウン』(講談社ノベルス)『裏家電』(講談社)などがある。

「2023年 『漂流都市』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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