あやまち

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 93
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062123433

作品紹介・あらすじ

男と女、とり返しのつかない瞬間!プレ「引きこもり」の女性が恋した男には秘密が。ファンタジー大賞受賞者初の書下ろし恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 恋が始まる瞬間は、ひとそれぞれでしょうけど、この物語の恋が始まる瞬間も、読む人によって違うんじゃないかと思います。



    帯 ”本物の恋はきっと、言葉を交わす前に始まるだ。相手が近くに立ったとき、顔も見ることなく、気配だけで、もうとらわれているのだ。頭で理解するのは、ずっと後だとしても。(本文より)”



    いやー、恥ずかしい話ですが、今わたし、某お笑い芸人さんにはまってしまって、大げさにいうと恋に近い懐かしい感じでいます。



    うれしいですね、この年齢になると。



    で、表面(てれび画面のこと)上だけで、楽しめればいいので、ほんっとに楽な恋しさです。



    この本を読んで、ちょっぴり切なさも呼び起こされました。

  • 現代の話だけど、昭和テイスト。
    主人公が白黒はっきりしない性格でなので、ぼんやりとストーリーが展開する。

  • 回文彼女の話かと思ったら
    不思議な彼の方の話で
    あやまち・・・なの??

  • 一組の男女が出会い、距離を詰め、恋人になり、別れるまで・・・を主に女性の視点で描いた物語。世界はとても狭くて、男女のほかには女性のメール相手と尾行してくる謎の男ぐらい。
    出会い方はある意味ロマンチックなのに、男性の過去の「あやまち」が明らかになったことで女性は動揺し、なにか言うべきだったのに・・・という「あやまち」をおかして二度と会えなくなってしまう。
    気持ちの中になにか残ったか・・・というとそうでもない。でも終わり方には妙に納得した。一緒に逃げるのでもなく、しかるべきところへ行くのでもなく。愛を貫くなんて嘘くさい!と思うのが私にとっての現実。

  • 再読
    エスカレーターに乗らない事を信条にしている29歳のOLの希美
    地下鉄の階段で出会った男と彼を尾行していた顔に黒子のある男

  • 恋愛ミステリーと銘打ってる割に、「恋愛」部分でも「ミステリー」部分でも陳腐な印象が拭えなかった。全体的に内容が薄い。
    「恋愛」部分の結論については平凡の極み。
    私の好みの本ではなかったなぁ…。

  • 帰宅途中の電車のなかで偶然気づいたひそやかな追跡劇。その尾行者が、ようやく幸せをつかんだかに見えたわたしにつきまとうようになる。地下鉄の駅の階段を歩いてのぼる者同士として意識するようになり結ばれた恋人。彼はこの尾行者と何かつながりがあるのか……。切なさが胸に迫る長編恋愛ミステリー。

    彼女が何かの「あやまち」を犯したこと、それによって「彼」を失ったこと、同時に「彼」もまた「あやまち」を犯していたことが明らかにされる。

  • 地下鉄の地上に上る階段。。
    そこで出会った二人の物語
    どんな人かわからなかったり、不安な事があったりで、
    最後は、大切なものに気づくのが遅くて手放しちゃうんだけど、
    これも、縁かな。。

    サラサラ読めました。

  • 地下三階分の深さにある地下鉄の改札から地上出口まで、階段で上ることを日課にしている、平凡なOLが主人公。
    29歳、一人暮らし、恋人はおらず、自分でなくてもこなせる仕事に就いている。

    単調な毎日だったが、毎朝階段の途中で自分を追い越す男を意識するようになる。
    二人はひょんなことから言葉を交わすようになり、交際を始める。
    都会の隙間のラブストーリーのような展開ながら、
    主人公が謎の男に尾行されたり、恋人の不可解な点に気づいたり、後半からミステリ仕立て。

    主人公の恋人は何者なのか、尾行してくる男は誰で、目的は、というところが謎要素。
    ただミステリとしてはイマイチ、むしろ蛇足だったかも。
    もっと単純な出会いと別れモノにしても充分だったと思う。

    淡々と進む物語はゆったり水の中を漂っている気分になる。

  • 「かたぶつ」があまりに面白かったので、間違いないだろうと借りました。
    のですが。。。

    これは。。。悲しかった。。地下鉄から上がるこの表紙の風景が物語の要。


    ___地下から地上に出る階段を上がってると、ダイビングをしたこがないのだが、

    ダイビングをしている気分になる。。。。

    海の底から空に向かって上ってくような気分に。。。____




    そう言うとそう見えてくるから不思議だ。。。作者さんは良い感性を持ってるのだな。。

    読み終わったあと、思わずにはいられなかった。。。私だったら?私が主人公、のぞみの立場だったら?

    同じあやまちを犯してるのだろうか?

    考えると分からない。いいかげんな事は言えない。彼は救ってほしかったのだろう。。


    でもそれはすべてを捨てること。。親も兄弟も友達も。。自分自身でさえも。
    う〜ん。。。それほどまでに人は人のことを好きになれるのだろうか。。

    ただ、言えることは彼と彼女の感性は似てた。同じように地下鉄を海にたとえた彼。。。。



    こんな似てる人と出会えることは彼女が言う確率で言うとすごいことだと思う。だとしたら。。。だとしたら。。彼の手をとっても良かったんじゃないか。。

    なんて。。。いいかげんな事は言えないと言ったばかりなのに。。。

    絶対もう一回、何年かしてまた読みたい本です。何年か後、その時はどう思うのか知りたいです。

  • 出会い、恋をし、そして恋を失う。
    お互いに好きでありながら、彼の過去のあやまちに何も言えなかった。
    去っていく彼を引きとめる事も出来なかった。

    出会いから、恋をしている間の描写がほんわかと心にしみる。
    「彼の物語」はちょっと違和感が残るが、
    作中何度か描かれる、彼女が感じる地下鉄駅の階段を上る際に抱く感覚が好きだ。

    「ゆっくりと、四角い青空をめざして上昇する。
    前方に水泡のようにきらめく希望の存在をほのかに予感しながら。」

  • 恋に落ちるのは一瞬だけど、永遠にするには女は現実的過ぎるってことか。
    草食動物は視野が広いという、説には共感。
    でも、だから臆病、草食男子って名称が出来る前の小説だけど、言いえて妙。

  • 裏切られても、あざむかれても、いつまでもだまされつづける喜びの神経回路が、からだの中にはあるのかもしれない。
    そうだとしたらこの神経回路は、あやまちを犯さずには生きていけない人間への、神様からの贈り物なのだろう。

    哀しい最後だったけど、突然に「いままで」を変えてしまうことは
    できないものだと思う。綺麗じゃない分虚構すぎない。そんな風に感じました。

    沢村凛さん、すきだな。

  • のぞみは地下鉄で必ずエスカレーターを使わず階段を登る。ある日同じように階段を登る男と知り合い、恋に落ちるがその男には秘密があった。
     同じように階段を上る二人がお互いを気にし、言葉を交わすようになり、恋人同士になる。二人の幸せがずっと続けばいいと思ったけど、彼には秘密があった。尾行していた男から告げられた、彼の過去。昔彼は昔婚約者だった女性を、故意ではないにしても殺していた。.のぞみはそれを聞いたとき、何も言えず、彼は去っていった。彼のあやまちと、彼女のあやまちが重なり合って悲しい結果となってしまった。あのときのぞみが一言でも何かを言っていれば、未来は変わっていた。彼は一緒に逃げることを望んだのに、それは叶わず、愛し合ってるはずの二人は別れてしまう。
     物語中にこんな言葉が出てくる。『本物の恋はきっと、言葉を交わす前に始まるのだ。相手が近くに立ったとき、顔も見ることなく、気配だけで、もうとらわれているのだ。頭が理解するのは、ずっと後だとしても』

  • 文章がわかりやすくて、読みやすい。普通の感性を持ち合わせている作家さんだな、と。後半になるにつれ、急激に切なさが増していく。「ある程度幸せな時」とのコントラストがさらに切ない。タイトルからドロドロな感じを想像してたけど、くどくなくてよかった。彼の過去と主人公の現在、2つの「あやまち」は本当に「あやまち」だったのか…。

  • カバーに魅かれて読んだ。主人公は30前の未婚OL。地下鉄から地上までエスカレーターを使わずに階段でのぼる。水みたいな恋愛小説。表現とかが綺麗でよかった。冒頭とかメールのやりとりの下りとかが好き。あとは確率論の話がとても素敵だった。
    2009/9/27

  • ううむ、そういうオチかー。

  •  面白かったです。

  • な?

    な?

    偶然は必然だって前から言ってんだろー


    意味わからん人これ読んでみて。

  •  読み始めたときは、またかとちょっとげんなりした。
     『anego』→江國作品と続けて読んでいたので、「三十前後の独身女性恋人なし。仕事は生活のためにしているだけで生き甲斐ではなく、他に生き甲斐といえるほどの熱いものもない」という主人公には、そろそろ飽きていた。こういう状況にある女性の考えることは、書く作者が違って表現に用いられる言葉が違っても、結局はだいたい同じことなので、続けて読むと飽きてしまう。
     けれど、これは『anego』とは違って感情ではなく出来事の方を追いかけても読める本だったので、途中からはすいすい読めた。先に読んでいたものより、恋愛模様はずっとさわやかで温かく、主人公の屈折度も低いので、読んでいて疲れないし。

     タイトルの「あやまち」の中味はラストまでわからないが、その謎を追い求めるミステリというわけではない。「あやまち」を抱えた青年と主人公の恋模様と、恋人と自分の「あやまち」に対する主人公の態度を書いている。

     anegoに比べると主人公が前向きに積極的なので、読後感も悪くはないけれど、プロローグでラストが読めてしまうのはこの本にとってどうなのかなと思った。主人公の恋がどうなるのか、まったくわからない方が楽しんで読めたんじゃないかと思う。あと、主人公の親友「ケラッチ」の正体には意表をつかれた。主人公に対する認識がちょっと変わった。

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著者プロフィール

1963年広島県生まれ。鳥取大学農学部卒業。91年に日本ファンタジーノベル大賞に応募した『リフレイン』が最終候補となり、作家デビュー。98年、『ヤンのいた島』で第10回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。骨太な人間ドラマで魅せるファンタジーや、日常のひだを的確に切り取るミステリーなど、様々な世界を展開している。その他の著作に『瞳の中の大河』『黄金の王 白銀の王』『あやまち』『タソガレ』『ディーセント・ワーク・ガーディアン』『猫が足りない』「ソナンと空人」シリーズなど多数。

「2023年 『旅する通り雨』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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