- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062135542
作品紹介・あらすじ
生きたいと願った戦没画学生が遺した原風景
「無言館」につどう「青春」ホット・ライン
戦没画学生慰霊美術館「無言館」10年の歩み
●「青春美術館」へようこそ
●「無言館」の成人式
●「対話」――来館者ノートより
●未来へ
●「無言館」の青春
収蔵全画学生97人の作品と資料写真、多数収録!
六十年経った今も ちっとも乾いていない あなたの絵具は あなたが今も そこに生きていることを 私たちに教えてくれる 鮮やかな 生命の色だ――<「乾かぬ絵具」本文より>
感想・レビュー・書評
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かわいそう、かなしいというワードがどうしても戦争と関連するものにはついてきがちだけれど、ただただ青春の眩しさを絵という形に残していったその歩みに、羨ましい様な気持ちがある。
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「圧」のある本です。戦没画学生の遺作を展示する無言館の本。戦没者の絵、という先入観があるのも手伝ってか、掲載されている作品を眺めていると無性に悲しくなってきます。すごくうまかったり、色がきれいだったり、懐かしかったりする作品が載っていて、それから享年を見て、はっとするんです。
そういう「圧」のある本でした。
先入観といってしまうのは語弊があります。でも、そういう悲しさをあらかじめ印象づけてしまうくらい、読む、見ることでしか知れなくても大勢の人が亡くなったのは重たいんだろうなと思います。
一度行ってみたくなりました。 -
この本を偶然図書館で見つけて、数年ぶりに「無言館」の存在を思い出した。
そもそも存在を知ったきっかけは何だったろう?テレビのドキュメンタリー番組だったかな。その時は戦争の悲惨さをただ感じるばかりだった。もちろんこの本を読んでからもそれは変わらない。でも、一枚一枚の絵を改めて見つめると、温かな日常の風景や愛する家族を純粋に描くばかりで、そこには決して悲痛な感情や叫びは込められていない。素直に美しいものばかり。
私たちは重い過去ばかりを絵に背負わせ、それを眺めているだけなのかもしれない。だからこそ絵を眺めてどこか悲しい気持ちになるのだろう。
でも、本来それぞれが絵に込めた思いやメッセージはもっと違うところにある気がする。それが何なのかは分からないが、それは繊細で深く、もっと身近な場所にありそうな何かのような。ただ反戦の象徴として描かれたものでもなければ、悲劇を伝えるがためのものではない。もっと素直に絵と向き合えられれば、きっと温かな気持ちを彼らから貰えるものであると思う。
「無言館」是非一度は行ってみたいね。気負うこと無く、友達に逢いに行くような感覚で。 -
またあの絵達に会いに行きたくなりました。