- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062151306
感想・レビュー・書評
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本多作品は、「仕掛け」とか「ギミック」が面白いと思うんだけど、こういう引っ掛けみたいのはどうかと・・・
途中違和感が出てきて、ラストはそうでしたかと・・・
わざわざこんなギミックにしなくてもいいのにと思いました。
「I LOVE YOU」の中の「Sidewalk Talk」は、とても好きです。
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続けさまに毒物中毒で3人が自殺する。それを追う週刊誌記者。1年後にまだ死にたかったら眠るように死ねるご褒美をあげる、そう言われまち続けた女。二人の視点から物語は語られる。ミステリーでありながら、安易に「死」を選ばないでと語りかけている。一年「生きる時間」を延ばしてみて何かを見つけて欲しいと。自殺した女の「死」の理由を捜していた記者が「もし彼女とすれ違ったとき、声をかけていたら。こんにちはのあともう一言はなしかけていたら」と思う優しさが好きだ。ホスピスの院長がいうように人はいつか死ぬ。死に囲まれ死を見つめ続ける人から見れば、何故生きていくことができるのに急いで死ななければならないのだろうと思うのは当然だろう。人生に絶望し死を望みながら、一年をその日のために生きることにした女が最後にたどり着いた答え。「死んでもいいと死にたいでは違う」と気づいた彼女。「死」がもたらすものは生の苦しみからの解放ではなかった。「死」によって誰かを救えるなら死ねる。だんだん変わっていく彼女を励ましたい気分になる。
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『チェーン・ポイズン』
-本多孝好-
○
自殺志願の女とその自殺の真相を探る雑誌編集者。
この2人の視点を交互に織り交ぜながら展開していく。
女視点の方がその流れに入っていきやすく、読んでいて楽しめた。
オチが全く検討がつかず、何度か最初のページを読み返す。
自殺した著者と同じ名前だと描かれ、その後に苗字が同じ女が登場すれば誰しもそれが物語の軸となる「女」だと思うはず。
スーツだからと言って男とは限らない。
思い込みによってまんまと騙された。 -
誤解を恐れずにいうと、久しぶりに巧い小説を読んだなという気分。
前もって内容を知らずに読んだのだけれど、おそらくこれはミステリーなんでしょう。
後半になるに従ってミステリー色が強まるけれど、それまでの過程での話がうまい。
ミステリーとしてではなくて、「死」に焦がれる30代半ば過ぎの女性の1年の話としてとても引き込まれた。
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すばらしい!
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物語の設定や、話しの進み具合など、やっぱ面白いなぁ〜と思っていたが、
後半に差し掛かるにつれて「おや?」と思うところが出てきた。
結果的に☆3つが妥当な感じになってしまったことが惜しい。
物語の構成の時点でしくじってしまったか?
いまいち主人公の内側というか熱量が弱かったかなぁ〜。
次回作に期待!!
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1月22日
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読み応えのある作品。うまく騙されてしまいました。本多さんの新境地でしょう。今後、どのような作品を産み出すのか楽しみです。
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36歳。独身。これといったキャリアもなく、地味なOLとして毎日退屈な仕事をこなし、時に怒られ、先の見える単調な人生にうんざりしながらも生きている。
ネットのブログでも、無関心や悪意にさらされ、疲労し「もう死にたい」と呟いた彼女に、「一年間だけ生きたら、ご褒美に眠るように楽に死ねる薬をあげる」と囁いた者がいた。
残り一年だけなら生きられるかもしれない。楽に死ぬことだけを希望にして、仕事を辞め、彼女は暇つぶしにボランティアをしながら自分の命日までのカウントダウンをはじめる。
一方、自分がインタビューした著名人ふたりの服毒自殺に不可解なつながりを感じた<無責任でいい加減でナイーブな週刊誌記者>は、3人目の謎の服毒自殺者である女の過去を追う。
生真面目で、要領が悪く、その要領の悪さが逆に周囲を苛立たせていたひとりの地味なOL。
彼女はどこで毒薬を手に入れたのか。なぜ死を選んだのか。
ふたりの視点が互い違いに語られる。
後半の、腹をくくった彼女の心の動きがいい。惹きつけられる。生きることの意味なんていうと大げさだけれど、考えさせられる。
本多孝好の、言葉の選び方が好きだな、と思った。すとんと胸に沁みる。
そしてラスト、ああ、こうきたか、と唸らされた。なるほど、うまい。 -
読みやすくて一気に読めた&まぁまぁ楽しめた。最後のちょっとしたどんでん返しは、うーん、こんな偶然って??って出来過ぎ感が否めなかったけど。
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今年12月に100周年を迎える講談社が、文芸書、児童書、ノンフィクション、学芸書を中心にした「書き下ろし100冊」の刊行をスタートし、その第一弾が2008年11月に発売された「チェーン・ポイズン」と「元職員」(吉田修一)。この本は、高校の図書紹介のチラシのようなものに載っていて、「誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。簡単に想像できる定年までの生活は、絶望的な未来そのものだった。」というコピーが魅力的でした。
内容はこのコピーのようなイメージはあまり内容からは感じられません。むしろ、構成から、不気味な謎がひたひたと漂う感じがあるので、どこかで騙されないようにと、構えるような読み方になりましたが・・・う〜〜ん、参りました!
1年後に死のうと決意した一人のOLのその1年間の推移と、生きていくことに望みを失った別々の3人が服毒自殺をしたことに違和感を持つ記者の謎ときが交錯する形で形成されています。会社を辞めたOLはひょんなことからボランティアに参加することになり、そこで少しずつ生きがいを見つけていくのだけど、、、。
この作品の冒頭に「二十歳の原点」(高野悦子)が登場します。私もかなり昔に読んだ本ですが、今のここに登場するのはちょっと違和感があったけど、死そのものを見つめるということと、主人公とこの作者の高野悦子が同じ名前ということで重要なのかもしれませんね。でも、ここで感じた違和感を大切しておけばよかった(笑)
正月早々にだまされました(^^;
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本多さんの新作ということで、即購入してしまったのですが、今までの作品に比べると、少し異質かもしれません。
物語は、1年後に自殺することを決め、死を待つことだけが希望の女性と、3人の自殺の真相を解明しようとする雑誌記者・・・二人の視点から語られ、進んで行きます。
その中で、女性が希望を見つけていく姿が描かれ、事件の真相が語られることになります。
読んでいて、ページの残りが少なくなってきた時に、「どうやってまとめるのだろう?」と思いましたが、最後の最後にどんでん返しが待っていました。
鋭い人(あるいは、そういう視点で読み始めた人)ならば、わかるのかもしれませんが、読者の思い込みをうまく利用した結末だと思います。
帯に書かれた「驚愕のミステリー」というのは大げさなような気がしますが、「新境地を開いた」という点は同意できます。 -
最後の展開は全く想像できなかった!!
ビックリです。
小説はこれでしばらく休憩といきましょう。
今度こそ。。? -
もう1回読みたい。
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講談社から直に買い、サイン本をゲットした。(にしても、今年はどれだけサイン本をゲットしてるんだ??)
最後にどんでん返し的なものがあるけれど、僕は余りそこを大きなポイントとは捉えていない。(確かにしっかり騙されたけれども。)
別にその騙しがこの物語の本質を支えるようなミステリーになっているかと考えるとその必要性をあまり感じなかった。ミステリーとして考えたら多分たいしたことはない。
では何が優れているのか。と言ったら、もう、それ以外のほぼ全て。本多さんは漢字の使い方が上手い。多分だからとてもリズミカルな文章が生まれてすらすら読める。が、それが軽い訳ではない。流れていくけれど胸が痛む場面がたくさんあった。
その中でも、おばさんパートが秀逸で、サトシとの絡みはとても心温まるものだった。弱いなりに戦おうってか。
『正義のミカタ』しか読んでいなくてなんつうか、ふわふわした小説を期待していただけに作風の違いに吃驚した、とても良い意味で。
こういう小説を読むとあぁ、本ってやっぱり良いよな。っておもう。映画とか、音楽とか、漫画も良いけどこの響く深さというのは読書でしか味わえない。よなと改めて感じた。
「高野章子の吐き出した息が、そこにあったたとえば窒素の一つの原子が、風に流されたり、他の人の肺に出入りしたりを繰り返したあと、いつか私の胸の中に入ったこともあったかもしれないという意味です。」(P.223)
「私はやっぱりこの世界の未来が愛しかった。」(p.244)
(2008.12.27)
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流石は本多孝好
良作でした -
頭が悪いのでちょっとこんがらがったけど、久し振りに続きが気になって一気に読む本に出会いました。
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生きることに絶望した女性の前に現れた人物。「1年待てば、楽に死ねるご褒美を差し上げます・・・」
いやはや、な〜る〜ほ〜ど〜〜ねぇ〜〜〜〜。
こうなるとは。面白かったです。
しかし理解力が落ちてきたかなー、ちょっと頭がこんがらがったよ(笑)
でも気持ちよかった。
こんな人生も・・・・・・・・いいかもね。 -
友達に薦められて読んだ本。第二段。12/7読破。
結構、私が今までに読んだ本との共通点が多いかも。
そんな感じ。
とりあえず、中盤あたりでちぐはぐしてきて。
あれ?と思う点がたくさんあった。
この人、こんな性格だっけか?
え、そんな順序だったかな?
それなりに自分でこじつけて解決しようと思ったけれど。
流石と言うべきか。結末。予想外の展開。
突き付けられました。
素直に読めた。12/7の日付中に読めた。
結構この人、好きかもしれない。 -
読了