ロンバルディア遠景

著者 :
  • 講談社
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062155489

作品紹介・あらすじ

詩誌『エウロペ』の編集者で詩人、井崎修一。類い稀な美貌と傲岸さを併せ持つ少年詩人、月原篤。篤の作品投稿をきっかけに二人は出逢い、互いに奇妙な愛憎を抱きながらも、次第に打ち解け合っていく。やがて篤は「世界の果て」を求めて、単身イタリアへ旅立つ。遙か異邦の地より、井崎に届けられる篤の私信。しかし、一年ののち、彼は一通の手紙を最後に消息を絶ってしまうのだった。若き詩人が異国で見出した「世界の果て」とは、果たして何だったのか。井崎は篤の残した詩と私信から、彼の生の軌跡を「小説」に刻もうと試みるが-。

感想・レビュー・書評

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  • 諏訪さんの作品はどれも着眼点や発想が興味深い。
    そして、テーマを効果的に表現するために構成や手法に拘っているところも凄いと思う。
    かなり変わってはいるけれど、もっと評価されても良い作家さんだと思う。

    今回は「皮膚と心」
    同じテーマの他の作家の文章なども出てくる。
    人を目に見える形に成す肉体というものについて、外面と内面について。

    それから夥しさが齎す気持ち悪さについて。
    気持ちの悪い漢字についての記述。
    まず「田」があって、それよりも気持ち悪いのが「回」さらに「凡」「丹」最終的に「母」という文字に行き着く。母との関係という側面もありつつ、文字としても影響を与える。
    一文字ではなんてことないけど1ページにぎっしり「母」が埋め尽くされると、確かに気持ち悪い。1ページに同じ漢字を並べるという酔狂なところが諏訪さんらしくていい。

    他の作品もそうだけど、ちょっとおかしいところ(哲学絡みのこじれ感とかヤバいというか気狂い感というか)が唯一無二で、私は結構好き。

    '' そもそも、内面なんて、外面の裏側でしかないのではなかろうか。本当は、種や仕掛けなんてどこにもありはしない。でも人は、隠すことで自分の本性を美しくほのめかす。たとえ隠すものがなくても、ほのめかすことならできる。ほのめかし方次第で、人は自分をどんなカリスマに仕立てることさえも不可能でなはない。
     日本という国の、あらゆる美徳が、この操作によってかたちづくられていることを、僕は知っている。'' (p261より抜粋)

    エグい性器や性癖についての部分は流し読みしました。

  • うわー、これ、すごくすごくすごく好き。
    読んでてとても気持ちいい。言葉選びとタイミングが秀逸。
    作者さんは文字から視覚的な快・不快を感じられる人なんだろうなーと思った。視覚的な気持ちよさ・気持ちわるさが絶妙に散りばめられてて読んでて面白かった。読む音も気持ちいい。
    浅学なもので知らない言葉が多くて、スマホ片手に調べながら読まなきゃだったけど、そこも含めて楽しかった。惜しむらくは、私が詩について全く知識がなくて、出てくる偉人も詩の引用も全然意味が分からなかったとこだな…。詩自体に興味がないから、ひとりひとりの作品までおさえて読むまではできなかった。引用されてる詩よりも、篤の書いた詩が好きだった。処女作の『爪』ですっかり惹き付けられたもんな…。
    読書でこんなにテンションがあがったの、ほんといつぶりだろう。読み始めてから今日まで充実した数日間を過ごせました。
    あと読み終わってから最初の別れの手紙を読み返そうと思って、表紙まで戻って、初めて顔に気が付いた。何度も何度も目にした表紙なのに、全然気が付かなかった。
    諏訪哲史さんの本初めて読んだんだけど、これは他の作品も読んでみなきゃかな…。

  • 綺麗なタイトルからもっと悠遠な作品を想像していたw
    爪、皮膚、と作中の奇怪女陰娼館は繋がりが見出せずなんでこんな露悪エロス?グロナンセンス描写がいるんか首を傾げた、ラストに関してもフェティシズム?とは関係ないのか
    書く人は名前だけでもフィクション的という部分だけ現実と入れ子になったシュルレアリスム的笑いだと思いました

  • 年若い美貌の少年詩人に惹かれた編集者の男…彼への愛欲と彼の狂おしい詩才はどこへ向かうのか…???詩と性を巡る幻想奇譚。

  • この感想を書くのは難しいなあ。

  • エロい!

  • こんなに性器に名称があるのかともはや圧巻である!これは作者楽しんでいるな、とすら思える。

  • 夢のようなエロスの世界。
    現実的な場面もあるのにどこか浮世離れしていて
    そこに引き込まれる。

  • うーん・・・
    不思議な感じに陥った。
    アツシはなんか好きなんだけどなー

  • 性器=排泄器官でない生物っている?

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著者プロフィール

諏訪 哲史(すわ・てつし):1969年、愛知県生まれ。作家。國學院大學文学部で種村季弘に学ぶ。「アサッテの人」で群像新人文学賞・芥川賞を受賞。『種村季弘傑作撰Ⅰ・Ⅱ』(国書刊行会)を編む。

「2024年 『種村季弘コレクション 驚異の函』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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