背中の記憶

著者 :
  • 講談社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062158961

感想・レビュー・書評

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  • 気取りがない。写真を見るかのように過去を懐かしく思った。

  • 装丁が服部一成さんで知っていた本。著書の両親にはジェンダーブレンドな性質があり、著書自身もそういう要素を引き継いでいるところがあって、それを厭わしく思ってもいたようだ。読み始めたときは「自分には合わないかも」と思ったけれど、長島さんはものごとの、見ないでいる方がほんとうは良かったかもしれない面にも躊躇せず踏み込んでいく書き手だった。

  • 長島有里枝さん、1973年生まれの写真家、家族とのヌード写真(父・母・本人・弟)をどこかで見た記憶があります。本人は坊主頭だったでしょうか。「背中の記憶」(2009.11)を読みました。エッセイで、初めての文章作品とか。4年を費やして完成、老作ですね。家族のこと、自分のこと、表現はとても丁寧で写実的です。でも文章表現は写真ほどのインパクトはなかったです。写真は、たった1枚でも、力強いメッセージを発信しますね!

  • 好きな写真家さんのエッセイ。ちょうど展示を観に行ったので、今だ!と思い読み始めました。
    子どもの頃のこと。家族のこと。
    なんて瑞々しい感性。
    SWISSの文章が印象に残っていてエッセイも気になっていたのだけど、こんなに素敵な文章を書ける方とは…写真家なのに、なのか、写真家だからこその感性の豊かさなのか。詳細によく覚えていすぎて、それも含めて驚き。
    “表現”を大事にしている人なんだなと改めて。
    あとがきの、“目線”という言葉や、写真の代わりにという話もすとんときた。

    母親のところがなんだか自分のうちのことみたいだったり、みどり先生がほんっとに許せなくて同業として気をつけようと思ったり、
    マーニーや子ども時代の団地でのことや、長女だからこそのこもごもや、楽しいのに寂しいという気持ちや。
    情景や気持ちの手触りがくっきりと迫る文章たち。
    生きている、みんな。一生懸命に。
    最終章の、必然と感動。
    前述の通り、あとがきもとてもとても良かったです。

  • あとがきを先に読んで本文を読み、また改めてあとがきを読みました。
    あとがきの感触が大きく変わりました。交感神経を揺さぶった状態で読むあとがきに涙しました。
    特に団地での思い出の描写は、自分も団地育ちなので、心を揺さぶられました。
    誰に見せるわけでもない自分史を書きたいと妙齢になってから思い始めたのですが、それは私が死んでから歳月重ねた後に、ほんの少しの人の琴線を触れ、砂のように消えてしまうのだろうなあと想像しました。
    小説/映画の「小さいおうち」のように、老後にそんなことを綴ってみたいと思いました。

    あまりに感動し過ぎたので、図書館で借りたけど、改めて購入します。

  • 子供の頃の話。自分の子供の頃の事も思い出したり。長島さんの写真をまだ見たことがないので見てみたい。

  • 写真家の長嶋有里恵が自分の家族や幼かった自分とその友達を、きめ細やかにつづる。

  • 目の前に浮かび上がってくるような風景描写が美しい。普段はフィクションしか読まないせいか、はじめは身の置き場というか、自分の家族のことを考えよと強いられるような居心地の悪さで読み方がよくわからなかったけど、自分と切り離して読んだら、とても素敵な誰かの物語だった。他人の人生はフィクションだなぁ。

  • 「マーニー」に心を鷲掴みされてしまった。

  • 言葉と文章の、家族のポートレート。

    写真では残せなかった事。
    言葉では残しておける事。

    何だか所々、涙が溢れる。
    自分の家族に、重ね合わせたり、重ねられなかったり。
    ちょっとだけ昔の事を思い出していた。

    すごくよかった。

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著者プロフィール

東京都生まれ。1993年、武蔵野美術大学在学中に「アーバナート#2」でパルコ賞受賞。1999年、カリフォルニア芸術大学ファインアート科写真専攻修了。2001 年、写真集『Pastime Paradise』(マドラ出版)で第26回木村伊兵衛写真賞受賞。2010年、短編集『背中の記憶』(講談社)で第26回講談社エッセイ賞受賞。2020年、第36回写真の町東川賞国内作家賞受賞。2015年、武蔵大学人文科学研究科前期博士課程修了。主な個展に「そしてひとつまみの皮肉と、愛を少々。」(東京都写真美術館、2017年)、「知らない言葉の花の名前 記憶にない風景 わたしの指には読めない本」(横浜市民ギャラリーあざみ野、2019年)など。日常で感じる違和感を手がかりに、他者や自分との関係性を掘り下げる作品を制作する。

「2022年 『ははとははの往復書簡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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