- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062162999
感想・レビュー・書評
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乙武さんの初めての小説とのこと。
どこまでが経験の範囲で、どこまでが脚色なのか、よくわからなかったが、感動させられる場面がいくつもありました。どの章もいい。特に「ナンバーワンになりたくて」に感動した。
本当にこういう先生がいればいいな、と思う。この先生に出会ったから人生(観)が変わった子どももいるだろう。
ただ、最初28人の生徒というから、28人登場するのかと思ったけど、結局登場する生徒は8人程度(名前だけ登場する生徒はあと数名いたけど)。小説でわかりやすくするために仕方ないのかもしれないけど、結局、目立つ子に目がいくものなのかな、と思い、そこだけ残念だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
p80
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乙武氏は「五体不満足」を読んでから、かなりその人柄が好きになりました。
障害をマイナスにとらえるのではなく、自分の持っている特徴なんだと前向きに考えて、特注車いすも周りの子供たちに自慢していた子供時代の話を読んで、誰にでもできることじゃないなと尊敬すらしています。
そんな乙武氏の小説「だいじょうぶ3組」は、乙武氏が小学校の教員をしていたころのエピソードをもとに描かれた小説です。
先生の名前は違うけれど、設定は完ぺきに乙武氏が教師になって小学5年生を担任するというものでした。
新任教師として、いろいろな場面に出会って戸惑う様子を読んで、先生って大変ね~と思いました。
子供の問題も解決しなくてはならないし、他の教師との兼ね合いもあるし、父兄とのかかわりもあるし。
そんな中で、教師として自分に何ができるのかをウンウンと考え、時には答えが出せずに周りの人の助言に助けられ、よい方向へと持っていこうと努力する様子がとても熱くていいなと思いました。
子供たちのハートを熱くさせるのが上手です!
特に私が印象に残ったのは運動会のシーンです。
最近は「みんなで手をつないで笑ってゴール」みたいな、順位付けしない運動会が多いらしいですが、私は反対!!
乙武氏も反対派でした。
必ずしも1位を取ることが大事とは思いませんが、最初から情熱を燃やさずに「別に適当にしとけばいいや」と思ってしまうのは悲しいことだし、運動会の意味が半減してしまうとも思います。
一生懸命に練習をして、本番は緊張して望んで、そしてうまくいかずに悲しい思いをする。
それでいいじゃないですか!
そういう体験の中で子供は心が成長すると思うからです。
運動会の徒競争で全員が1位を取ったら先生が丸坊主になるという約束をして、全員がそれぞれ猛練習をし、本番最後の走者が走り…
読んだ時、自分の運動会の経験を思い出して号泣してしまいました。
彼らは運動会を通して、とても大切なことを学んだと思います。
先生、すごいなぁ。
「世界にひとつだけの花」の歌詞の話も出てきましたがこれも同感。
♪ナンバーワンにならなくてもいい、もともと特別なオンリーワン♪
という歌詞は、猛烈に頑張ったけれど、うまくいかなくてしょんぼりしている大人がしみじみ聞くのはいいと思います。
でも発展途上の子供がこの考えを基盤に持っていたら、全然向上できないと思うのです。
私は熱い気持ちを持つ子供がいいなぁ。と思います -
手足のない赤尾先生は先生なりに生徒を見守ってくれた。
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小学校の先生がこんなに生徒の事を考えているのかと思ったら、その頃に戻って先生にお礼がしたくなった。「普通」とは何かを考えさせられた本です。
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「五体不満足」の著者、乙武洋匡さんが、自分自身の小学校教師の体験を元に書いた小説。
両手両足のない新人教師赤尾慎之介は、5年3組の担当になり、「みんなが笑顔のクラス」を目指して、日々奮闘する。毎回、珍事件が起こるが、慎之介は、子どもたちと真剣に向き合い、一つずつ解決していくことで、信頼を得ていき、子どもたちも大きく成長していく。
「五体不満足」では、自身の小学校生活が描かれているが、山登りの遠足、泳ぎに挑戦する場面が、この小説では再現されている。
学年末の道徳の時間、慎之介は、金子みすずの詩「みんなちがってみんないい」を、子どもたちに読ませ、「私は〇〇だけど、〇〇だよ」という課題を与えることにより、自分たちの個性に気付かせる。「みんなちがってみんないい」を実感できること、それはすなわち「自己肯定感」を持てることであり、これが、乙武さんの前向き思考の原動力であろう。
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何回も泣いてしまった…
子どもたちのキラッキラッした表情が伝わってくる勢いのある話でした。何より、赤尾先生の自分を飾らない(というか、飾るところも表に出す)正直で誠実な子どもたちへの姿勢が感動的。自らの未熟さと向き合い、周りへの尊敬を持ちながら子どもたちと接する。そんな主人公にとても好感を持って読めました。
作者の乙武さんの“人間臭さ”が全面に出ており、読んでいて気持ちの良い、愛に包まれたお話でした。
文章力も、教室の様子や子どもたちの一喜一憂をうまく表現していると思います。
あえて苦言を呈させていただくと、ストーリーはどこにでもある「学校もの」であること。そのどこにでもある学校ものに対して、乙武さんなりのオリジナリティが加わるのか?と期待したけど、そこも無難に収まった気がします。
それでも余りあるくらいに読後の満足感。それは単に、乙武さんの誠実さと、「だいじょうぶだよ」と心の底から伝えたい言葉がしっかりと話の中に組み込まれているからだろう。 -
予想の範疇をでなかった。
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2010/12/19
乙武洋匡さんが杉並区の小学校で3年間、
教員として過ごした実体験を元に書き上げた私小説。
自分も通勤途中、校門に立つ乙武さんの笑顔に癒された記憶があります。
「ナンバーワンになりたい」という章に最もぐっときた。
何かを望んで努力しても、必ず結果が出るわけではない。
挫折を繰り返し軌道修正しながら、
それでも、進み続けるための闘争心、使命感、
もしくは町山智裕流「でもやるんだよ」精神。
そのようなものを、改めて胸に留めることができた。
ちなみに、かなり泣けるので外では読めない。 -
生徒達に全力で向き合っている先生の話しです。
真面目すぎず、くだけすぎずの、この先生に好感を抱きます。
非常に勉強になる本でした。