- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062202442
感想・レビュー・書評
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謎解きミステリーであったり 胸を焦がすようなラブロマンスであったりするのだけど、
本作の本質はやっぱりあやめの成長!
これは成長物語
久美子を追いかけて歴史の淵に入りゆき
フランスの地に降り立つ、その過程で
いろんな出会いと発見があって
その果てに 自己課題を克服する哲学に触れるっていう
ロードムービー的要素がとても強い 元気になれる作品、
最終頁を繰った後には爽やか気分になれてとてもよかった
それにしても、構成や文体がとてもユニーク!
三人称の語りが独特で、その語り手って誰?!って時々思案してしまった
書き手が語り手である、って捉えて読み進めたのだけど、
まるで ウッディ・アレンが第4の壁を越えて観客に語りかけるようで ちょっと奇妙な感じがした
アンドレと久美子の戦前と
あやめと一良の現代が
交互して物語が進むので、パラレルワールド作品に近しい深みがあり、
この2つの世界が収斂して着地するとどうなる?!と
ひき込まれるような構成もお見事!
あやめと一良のデコボコ・コンビも漫才のようでとても面白く、全体として大満足な佳作だった詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フランスの飛行家アンドレ・ジャピーと、彼を看護した久美子の燃え上がるようなロマンスに酔っているあやめと、二人の関係に疑問を持っているような時計屋のおじさん一良のやりとりがおもしろい。
やがて彼らは、ニワトリの懐中時計に導かれるようにパリへ。
そこで、あやめがフローレンスに語った妄想話は
"作り物こそ真実をみせる"ものだった。
これはあやめと一良の再生の物語でもあるのかな。
本来、空に溶け込む青色であるシムーン機を赤く塗りかえたアンドレは、ジャピー家の中でも浮いた存在だったのかも…-
オリオン座を眺めながらの夜間飛行で二人はどんなことに想いを馳せるんだろう、、てなことが想像されて後味まで情緒的なイイ作品でした。オリオン座を眺めながらの夜間飛行で二人はどんなことに想いを馳せるんだろう、、てなことが想像されて後味まで情緒的なイイ作品でした。2017/02/25
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実在した、というので「アンドレ・ジャピー」でググってみたら、病院のベッドの上で看護婦に囲まれた画像まで出てきた。その絵からこんな美しく切ない妄想話を作り上げる著者に完全に脱帽。個人的には、時計屋のオヤジの心持ちにも大いに興味深く読めました。
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・見解の違うあやめと一良のやりとり
・アンドレと久美子のセツナイ恋愛
・終盤での謎解きとハッピーエンド(だよね?)
一冊で三度おいしい...・見解の違うあやめと一良のやりとり
・アンドレと久美子のセツナイ恋愛
・終盤での謎解きとハッピーエンド(だよね?)
一冊で三度おいしい小説でしたっ!!2017/02/17 -
2017/02/26
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国籍や状況は違っても、これに類するような悲恋が、たぶん戦時中にはたくさんあったのではないだろうか。
時代が変わっても、人を愛する心、求める心、切なさは、いつも同じだ。