交流のしくみ 三相交流からパワーエレクトロニクスまで (ブルーバックス)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062579636

作品紹介・あらすじ

「インバータ」という言葉を聞いたことがありますか?
 最近のエアコンや冷蔵庫・洗濯機などの家電製品では、「インバータ」を謳っているものがほとんどです。これら家庭用の電気製品は、インバータの登場によって飛躍的に性能が向上し、省エネルギーを実現しました。私たちの生活の中に当たり前にあるインバータですが、では「インバータ」とはどんな技術でしょうか?
 1900年代後半に確立されたパワーエレクトロニクスは、一般家庭や工場、鉄道車両など、交流を広範な分野により効率的に活用する技術で、送電に有利なために採用されていた交流の利用に大きな変革をもたらしました。インバータはそのパワーエレクトロニクスの柱となる中心的な技術です。
 本書は電気とはなにか、直流と交流の違いからはじめて、単相交流、三相交流、交流モーターなど交流技術、さらにインバータを中心にしたパワーエレクトロニクスを、多くの図版を使い、初心者にも分かりやすく解説します。

感想・レビュー・書評

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  • 全くの専門外の方には、やや難しめ。ただ、じっくり文章を見ながら図解を眺めれば着いてこれなくはない。分かる所だけ読んでも、それなりに視野が広がる。

    例えば、電流と電子の話。電流の向きは電子の流れの向きと逆方向。これは電子がマイナスの電荷を持つことが発見される前に、プラスの電荷の移動を電流と決めてしまったことに由来する。電流の大きさとはある断面を1秒間に通過する電荷の量、つまり電子の数である。電流は、電位差(電圧)に比例して変化する。

    交流電流とは導線の中を流れる電流の向きが絶えず入れ替わる電流。この交流電流を負荷に供給する電源が交流電源。電源から電流を供給させる装置を負荷と呼ぶ。直流から交流に変換する回路や装置をインバータと呼ぶ。交流モーターに使われる最も多いパワーエレクトロニクス。温度に応じて回転数を制御するエアコンや冷蔵庫などの誘導モーターも交流モーター。

    ネオジム磁石という強力な磁石の発明によりモーターが更に進化。ネオジム磁石により小型化ができ、更にIGBTとコンピューターで高度な制御が可能に。

  • 541-M
    閲覧新書

  • ブルーバックスだからといって侮るなかれ。
    私は機械系の技術者ですが、非常にわかりやすく、かつ本質的な意味合いが理解できる良書だと思います。

    こういった工学書は数式の羅列になりがちですが、この本は数式的なことはおいておいて、まず何が起きているのかというイメージを理解させ、その後仕組みを説明するというアプローチです。

    また著者もメーカーの第一線で活躍していたこともあり、実用に足る助言もよくあります。

    電気の概論が知りたいなあと思ったら読むことをオススメする本です。

  • 電気製品が好きで、なにか電気製品を買おうとするときはカタログで性能比較をしてしまう。カタログに「インバータ」や「交流モーター」という文字を見ることが増えており、そういう観点からの興味のツボに本書はぴったりだった。
    電気と磁気の関係、誘導起電力や静電誘導など、かなり基礎的な原理の話から説き起こしていくので、理科が苦手な人には少々つらいかもしれないが、こういう基本部分から三相交流とか、家庭で200Vの機器を使う際に使う三線式交流の仕組み、さらには直流を交流に変えるインバータまで、幅広く平易に解説されていて、大変面白かった。

  • 電気に関する知識はそれほどなく、インダクターやコンデンサーについて学生時代に習った気がするというレベルだが、そんな私にも分かりやすく学びの多い書籍だった。
    電圧や電流についての基礎的な内容から始まり、インダクターやコンデンサーの原理やインピーダンスとは何か、更には交流の種類や用途、発電原理といった幅広い内容が書かれている。図を豊富に使用して説明しているので非常に分かりやすかった。
    後半は近年急速に発展しているパワーエレクトロニクスについて記されている。パワーエレクトロニクスという言葉は聞いたことがあったが、それがどういうものを指すのかは知らなかった。本書を読むことでその大枠は理解できたと思う。
    最終章では直流送電に触れており、将来的な直流送電の広がりの可能性も知ることができた。

  • 意外と交流モーターが優勢になったのは最近だった(20世紀末)。パワーエレクトロニクス技術(スイッチングの高速オンオフ)によって交流の周波数が自由に制御できるようになった。回転数の制御が容易にできるようになった。
    IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)もネオジム磁石も20世紀末。
    パワエレによって直流、交流が容易に変換できるようになったことが、これからの電気の未来をつくっていく。

  • ※スマホ・読上版です!
    【電子ブックへのリンク先】
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000057401
    ※学外から利用する場合は、以下のアドレスからご覧ください。(要ログイン)
    https://www.lib.hokudai.ac.jp/remote-access/?url=https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000057401

  • 交流のしくみというタイトルで割と新しいブルーバックスの本が出ていたので図書館で借りてみたが、なかなかわかりやすい本だった。電気に関してまじめに勉強したのは高校の時ぐらいで、その後大学では適当にしか勉強していなかったのだが、そんなレベルの人間でも最後まで読める内容だった。直流のメリット、交流のメリットがそれぞれあり、それらを変換するパワーエレクトロニクスのおかげで、機械は小型化し、制御もやりやすくなったということがわかる本だった。あとインバータで使うPWM制御は、デジタルアナログ変換でも使われている。

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著者プロフィール

【監修】
森本 雅之(モリモトラボ 代表)

「2022年 『モータの熱対策』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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