最澄と空海 日本仏教思想の誕生 (講談社選書メチエ)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062581455

作品紹介・あらすじ

804年。遣唐使船で、ともに超大国唐を目指した二学僧。運命は二人を、協力者からライバルへと変える。天台の「正統」理論を学び、日本仏教千年の礎を築いた最澄。勃興する「新思想」密教を学び、独創的な世界構造論を樹立した空海。二巨人が思索を重ねた「一念三千の哲学」「マンダラ理論」等を読み解き、「日本仏教」誕生の瞬間に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/469845

  • インド仏教と日本仏教の違いについて、その出発点を最澄と空海、自然をそのまま聖なるものととらえる土着の思想に求め、彼らの思想の特徴を論じている。空海に関する書物に触れる機会は多いが、最澄の思想について詳しく論じているものにははじめて触れたので新鮮だった。

  • 二人とも中国に留学して密教勉強したんだっけな、くらいで読んでたら思ったよりも仏教教理に突っ込んでたところも多くて、正直に言えばかなり読みづらかった。

    また、問題の立て方も分類そして対立項の整理というのを繰り返しておりかなり地味です。

    しかしながら、そうして抽出した日本仏教における初期のエートスは非常に魅力的である。以下に引用する。

    ”このような現代の精神状況は、しかし、われわれが「聖なるもの」を完全にあきらめねばならない、と告げているわけではない。世界を想像し、世界を超えた神の存在の弁証が困難となったとしても、そのようなかたちの神ではない「聖なるもの」の弁証は可能と思われる。仏教の伝統、とくに密教の伝統は「世界の聖化」の可能性を示すことによって、「聖なるもの」を弁償し続けてきた。”

    ここにあっては視点は宗教学の範疇からさらに遠くに届くまでになっているわけで、その点で著者に敬意を表したい。

  • おかざき真里「阿・吽」つながりで。/最澄は、その後の生涯でもわかるように、反体制的な野人ではない。伝統の重み、国家権力の強さなどに反発し続けたわけではない。p.73 奈良仏教に対する批判勢力として台頭する天台仏教もまた、国家の庇護のもとに生まれたのであった。p.76 最澄の僧のイメージは、一〇名もの僧によって大寺院の戒壇院で具足戒を受け、その戒を守ることにほとんどのエネルギーを費やす比丘ではなかった。心がまえ一つで山林を修行する者が彼の理想とする「僧」であった。p.92/空海は、「大日経」や「金剛頂経」にもとづく、確立された仏教密教を日本に導入したのである。p.168/空海は唐に渡る前から、二〇年も滞在する気はなかったのではないか。(略)というのは、空海はおそくとも唐に渡った二年目には多数の書籍などを買い求めているからだ。(略)もっとも、二〇年を経て空海が帰っていたならば、彼は日本では何もできなかったであろう。それを空海は知っていた。 p.173  「即身成仏義」は、彼の思想をもっとも簡潔に、しかも体系的に述べている書の一つである。p.210 空海の思想の核心は、世界がマンダラであり、かつ仏の身体であるということだ。p.256 /最澄は「現象世界は真実の相を示している」ととらえ、空海は「世界はマンダラというすがた(相)をとり、かつそれは仏の身体である」と考えた。p.262

  •  鎌倉仏教に多大な影響を与えた最澄(伝教大師)と空海(弘法大師)。同時代を生き、共に唐の国で学んだ二人は、仏教界に革命を起こす。空海はともかく、最澄がこれほど密教の影響を受けていた事実を私は知らなかった。

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著者プロフィール

国立民族学博物館名誉教授。比較宗教学、インド宗教思想史、仏教学。
1966年名古屋大学文学部大学院修士課程修了、1970 年ハーバード大学大学院Ph.D、1985年名大文学博士。1973年名古屋大学文学部助教授、1982年国立民族学博物館助教授併任、1989年名大および民博教授、1992 年総合研究大学院大学教授併任、愛知学院大学文学部国際学科教授を経て現職。
主著に『空の実践―ブッディスト・セオロジーⅣ』『ヨーガと浄土―ブッディスト・セオロジーⅤ』(講談社選書メチエ)、『ヒンドゥー神話の神々』(せりか書房) 、『ブッダから、ほとけへ 原点から読み解く日本の仏教思想』『聖なるものの「かたち」―ユーラシア文明を旅する』(岩波書店)、『弥勒の来た道』(NHK ブックス)、『仏教史 第1巻 仏教の源泉』『仏教史 第2巻 仏教の展開』(西日本出版社)など多数。

「2024年 『仏教学者、キリスト教徒の問いに答える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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