大統領のクリスマス・ツリー (講談社文庫 さ 62-1)

著者 :
  • 講談社
3.50
  • (35)
  • (51)
  • (92)
  • (13)
  • (5)
本棚登録 : 399
感想 : 67
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062634137

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 愛とか恋とかは曖昧すぎて、どうしてこうなったのか理由なんてないし、きっかけだって誰にも本人にも気付けない。だから悲しくはないけど寂しい。鷺沢さんらしいラブストーリーでした。

  • 香子のハルによって培われた強さ、やさしさが最後に2人の関係を終わらせる結果に至ってしまってるのがまた切ない。あんなに好きなのでなんで終わってしまうんだろう。前しか見ない人の本質、そこからはずされてしまうことがこんなに悲しいなんて想像してなかった。作品以外に解説も良かった。「このままのこの時を書く。」その短い時に至るまでこんなに素敵に書けるものなんだ。

  • この本を読むと、大好きな人がいる生活を当たり前にしてはいけないなと思う。
    大切な人をもっと大切にしよう。
    失う前に。

  • 読始:2009,3,12
    読了:2009,3,13


    特に何かが感動的というわけでもないのに流産のくだりでは思わず涙が出そうになった

    強[つよ]い心と強[こわ]い心は違うのだ。

    この小説で最も印象に残った一節の一つ。
    心に傷をつくって、その傷口をふさぐことだけに腐心すれば、心はたぶん強[こわ]くなる。


    物語の核心をつく一節なら

    「あなたはあたしのクリスマス・ツリーだったのよ」

    がくるだろう。恋愛に至る過程や恋愛中の幸福感を描くのではなく別れの切なさを描いた作品といえようか

    巻末解説を俵万智さんが書かれているが、読んでて私も同じことを感じた


    どんな風に愛するかより、どんな風に別れるかというところに、その人の性格というか本質が出る


    うーん、至言だ…


    この小説、山場があるわけではない
    だがじんわりと心に残るものがある
    鷺沢さん4作品目にして初ヒットな感じ
    読後のなんともいえない雰囲気?がたまらない

    ★4

  • 12月のこの時期的に、
    読むなら今かなと思って。

    何故別れなきゃならないのだろう。
    一緒に歩いてきた軌跡より、
    新しい未来を作る相手を選択するというのか。
    不条理な切なさが残った。
    この別れは美しいと言えるのだろうが、
    最後に醜いいさかいをしないことが美徳とも思えない。

  • 一度開くと最後まで読みきってしまう。
    一行ごとに一本ずつ色の違う糸が通っていき、一枚の布を織り上げていくように、話を描く。

    治貴はほんとうにそれを望んでいたのか?
    読み返して、そう思った。

    (本文より)
    綺麗だな。自分で言うのもなんだが、ほんとうにそう思った。


    がむしゃらに働いて、緊張と一過性と信んじてる若いとき特有のむこうみずな程の自信が顔と体にあふれていると
    そういうものが自分を綺麗に見せている、と鏡の中を見て、香子が呟く。
    ずーっと忘れられないシーン。そう思えるほど、「暮らす」ことに一生懸命だったのに。

  • 小学生くらいで読んだ気がする。  
    ひたすら悲しくて悲しくて悲しい。  
    悲しい気持ちになった。
      でもなんか忘れてないんだね。
      もう一度読んだら変わるかな?

  • むかーしに読んだ本。
    おい!そんな結末かよ!って思った記憶がある。
    でも結末までは良かった気もする。キレイな感じだった気がする。

  • 最近はどちらかと言えばリアルな感じの小説ばかり読んでいたので、こういう話は久しぶりでよかった。
    主人公が出会いから振り返ってる、苦しい結末に終わりそうな雰囲気がなんともいえなかった。
    確かに、女にとって恋はクリスマスツリーみたいなとこあるよね。
    うっすら涙が浮んだ一作。

  • とてもすらすらと読めました。微笑み、「頑張れ」と応援し、「良かった」と安心した所へ、最後の結末。
    こんな事があって良いのでしょうか。そう思うのは私が私自身が強くない、強(コワ)いだけの人間だからでしょうか。いつか冷静に読み返せる強い人間になりたいです。でも、心にはとても残ったいい話です。映画にもなっているらしいので、機会があれば見てみたいです。

著者プロフィール

鷺沢萠(1968.6.20-2004.4.11)
作家。上智大学外国語学部ロシア語科中退。1987年、「川べりの道」で文學界新人賞を当時最年少で受賞。92年「駆ける少年」で泉鏡花賞を受賞。他の著書に『少年たちの終わらない夜』『葉桜の日』『大統領のクリスマス・ツリー』『君はこの国を好きか』『過ぐる川、烟る橋』『さいはての二人』『ウェルカム・ホーム!』など。

「2018年 『帰れぬ人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鷺沢萠の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×