- Amazon.co.jp ・本 (1408ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062735353
感想・レビュー・書評
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まさに「蜘蛛の巣」。
理がわからない限り抜け出せない。
知らず知らずのうちに絡め取られ、迷い込む。全てが怪しく、全てが罠。
なんとも好い読後感だった。全ての獲物を食い散らした絡新婦の圧倒的な強かさと孤高さに感情を持っていかれた。
清々しい敗北感だった。
京極夏彦の描く女性はいい。
芯が強く、知的で、思慮深く、品がある。
今までの複数の事件との関わりもあり、懐かしむ気持ちもあった。
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ループする!!
一つの事実に複数の真実。蜘蛛の策略。それら全てが視えたときの快感。 -
再読。最後に関口君の視点から真犯人の姿が見えてくる様がとても恐ろしかった。
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京極堂では一番好きかもしれない。
春、満開の桜の下、黒と桜色の色彩が交錯するところから物語が始まる。
耽美や退廃とは違う張り詰めた美しさ。
黒と桜紅の色彩の対峙。
この最初の数ページで引き込まれます。 -
ホントこのシリーズ好きだ。
1300頁が苦痛じゃないのはひとえに作者の才能だわ。
同時期に別の場所で発生した目潰し魔の事件と女学校での呪殺事件。
いくつもの偶然や理が絡み合い、事件は混迷な様相を呈する。
後ろで糸を引く“絡新婦“とは誰なのか。
そして京極堂の憑物落としは今回もお見事でした。 -
12,3年ぶりに読破。ミステリーは再読の感動が薄いなんて、この小説からは一切感じない。
とりあえずここで呉さんが出てきて、現時点でのシリーズ最新作(番外編ではあるが)を読む準備は整ったのかな?だがせっかくだから塗仏以降も読んでから臨もうかと。
ところで本作は冒頭が最大のネタバレと言いますか、「よくわかんないけれど、裏で事件を操る黒幕がいるんだな」まですぐにわかってしまうのですね。
小説のご都合主義をネタにするときに「なんで都合よく探偵が現れて事件に巻き込まれてヒントが見つかるのに犠牲者が減らないのか」をあげつらい「それは裏で操っている人がいたからなのでしたー!!」なんて言ったりするわけですが、そのことを全くの論理破綻なく百鬼夜行シリーズにぶち込んだ結果が、怒濤の1300ページ越えですよ。発表後20年以上経ってより重要度を増すテーマ性も相まって、満足感がものすごい(だが、とてつもない悲劇だ)一冊でした。