人形式モナリザ Shape of Things Human (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062735858

感想・レビュー・書評

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  • 続けて再読。

    本を読んでいると多々感じる事だけれど、人間ってすごく怖い。
    今回みたいに何かを盲信し過ぎて、精神鑑定が必要なくらいこわれてしまう、こうなるともうどんなに論理的な説明や事実を突きつけてもその人に事実が見えることはなくなってしまう。
    こんな時、どうしたらいいんだろう?っていつも答えが出ない問題に突き当たる。今回もまた、答えは見つけることはできなかった。

  • 面白かった。
    森ミステリィらしさ満載。紅子が弱さを見せる。人形をテーマに最後まで駆け抜けるお話でした。

  • 哲学的な…人間てなんなの?と考えさせられる話です。勿論なんの結論も出ませんが、確固たる自分を疑いたくなる錯覚に襲われます。そしてイツメン4も巻き込まれる人形館の惨劇…明らかになる真相と共にある人物の素性も明らかになっていき…面白いです

  • 麻里亜のセリフ
    「お義母さま」
    に真実が全て盛り込まれてる。
    麻里亜は本当に人形でしかないということか。切ない

    また別の問題で、タイトルは最初からそのものを指してたのだなあ

    今後の紅子をとりまく関係の変化、または過去のことが書かれていくのが楽しみ

  • 既読

  • 【あらすじ】
    蓼科に建つ私設博物館「人形の館」に常設されたステージで衆人環視の中、「乙女文楽」演者が謎の死を遂げた。二年前に不可解な死に方をした悪魔崇拝者。その未亡人が語る「神の白い手」。美しい避暑地で起こった白昼夢のような事件に瀬在丸紅子と保呂草潤平ら阿漕荘の面々が対峙する。大人気Vシリーズ第2弾。
    【感想】
    ミステリーに出てくる人形というと、どうしても怖いものを連想してしまう。実際のそれはどうなのかはわからないが、日本の人形は美しさの裏に不気味さを持ち合わせているような気がしてならない。そんな人形に関連した事件が起きたものだから、すごくゾクゾクした。そして、悪魔という言葉が出てきた時点でもう、ホラー小説みたいだと思った。でも、ちゃんとトリックはいろんなところに隠されていて、ビクビクしながらもワクワクさせてくれた。この物語を通して、人の何かを崇拝する思いの強さ、そして何かが何かを翻弄するその力の強さ、そしてその両者の怖さを、すごく感じた。

  • Vシリーズ第2弾
    神様と人間と人形とモナリザとそこらへんのお話。
    トリックは単純というかああそういう感じだったのね、みたいに思ってたけど最後の最後でしてやられました。
    けっきょく私たちはみんな神様の人形なのかもしれませんね。

  • 『失われることは、悪いことではないのだ。
    削り取られて、そこに形が現れることだってある。
    万が一にでも、美しい形が生まれることがあれば、尚更だろう。
    その希望こそが、生きる動機ではないか。』

    「はい、少しでも価値のあるものは全部持っていかれてしまいましたの ー だけど、本当に価値のあるものは、誰も気づきませんでしたわ」

    『落ち着け。
    私は、瀬在丸紅子だ。
    何をそんなに怒っている?
    戦う相手は誰だ?』

    『そうか、大人になってもやっぱり、誰かが誰かを泣かしているんだ、と彼は思った。』

    『人間ってどうして倒れないのだろう、と思う。
    倒れやすい形なのに。
    一番不安定な形なのに。
    人間だけが立っている。』

    「玉蜀黍って、美味しい、美味しくない以前に、あまりにも食べにくいと思わない?」
    「もっとずっと食べにくいもの、いっぱいあるやないですか」
    「ええ、みたらし団子とかね」

    「誰が私を騙そうとしているの? ー あ…、ごめんなさい」
    「哲学的な独り言だったね ー 紅子さんを騙そうとしているのは、紅子さんですよ」

    「これは、一般論だけどね。最も困難な問題。最も複雑そうに見える問題を最初に解決すること。もしも、本気で問題を解決したいのなら、それが最も近道。どうしても、簡単な問題に逃避してしまうの。小さな問題を解決しても、それは前進には寄与しないことが多い。」

    「でも、どんな理由があっても…人を殺す行為自体は許されへんのとちがいます?」
    「そうかしら? ー 誰がそれを決めた? どうしていけないのかしら? 良いこと? 悪いこと?」
    「悪いことに決まっている」
    「人を殺したら、罰せられる。そのルールがすべてです。それ以外には、何一つ有効なものはありません ー それ以外に、私たちには共通の認識はない。だからこそ、それだけを定めた。つまり、値段を決めるみたいに、交換レートを定めただけなの。良いことか、悪いことか、それさえもまだ人間はわかっていない。ただ、ひとまず、殺人は懲役何年かと交換される、というルール、交換レートが決まっているだけです」

    「そう ー それを忘れないで。言葉だけのことなの。全部そうなんです。言葉で理由をつけて、どんなふうにでも変えてしまえるの。言葉こそが、 悪魔であり、 神であり、 私達の罪でもある。でも、そこにしか、真理はないのよ」

    「どうします? ー 警部に僕のことを話しますか?」
    「話すと言ったら?」
    「ここでキスして、さようならです」
    「それは嫌だ」
    「キスが? それとも、さようならが?」

    『二人は短い接吻をした。
    宇宙の歴史に比較すれば、すべてが短い。』

    「すいません ー 紅子さん、貴女、ずいぶん私のイメージと違う方のようだわ」
    「そうそう人から簡単にイメージされるほど、私、シンプルにできてないのよ」

  • 第五章がとても気に入った。
    森先生の知的で理系で哲学的な言葉選びが本当に好き。

  • 二人乗りの自転車に乗るペアルックの若者たち(二人の愛を他人に見せないと確かめられない)。

  • トリックとか犯人とかがどうでもよくなってくるくらい、ミステリーそっちのけで登場人物の会話の隅々や考え方やキャラが好き。

    紅子、いいなあ。大好き。
    保呂草はまだ掴めないけど、今回もやられた!そうくるのかー、って思いました。

    大人の恋愛関係も、気になるところ。
    林、どんだけ素敵なんだ?

  • まだこの大人たちが好きになれない。

  • 良い!

    1作目でまんまと騙され、もう推測せず無心で読んだ。

    紫子と練無のコンビの和に入りたいと強く願うw

  • 再読です。
    今回の事件は、夏の長野で起きる。
    起きるのは、事件だけではない。

    祖父江七夏と紅子との初対面があり、七夏はまだ強気な面を出せずに後退する、なんていう今では見られない行動をとっている。
    が、そのあとには火花バチバチの殴りあいも・・・。
    この瞬間には、立ち会いたくないなぁ(個人的に)

    林は、前回機千瑛も言っていたように澄ましてはいるが、なかなかに食えない男である。
    この事件の間に、両方といちゃこいているわけで、機千瑛が知ったら激怒でしょう^^;
    紅子の、林のためならへっくんも殺せるなんて発言、ちょっとドキリ。
    四季に相通じる物がある気がする。

    そんな紅子は、保呂草と・・・。
    さよならよりもそっちを選んだわけなので、秋野のときとは違い、嫌いではないよう。

    で事件ですが、前回同様マトリクスですよ。
    カラフルな人形たちのビットです。
    この素敵を内緒にした紅子さん。
    保呂草もすぐに気づくでしょうが、遊園地のときのちょっとした仕返しが無邪気です。

    殺人については、誰が誰を騙しているのか。
    思い込ませる事への逃避ですね。
    そうすることが、その本人には正しいのでしょう。
    正義なんて、その人側だけの問題ですから。

  • 再読。未だ全部の謎を消化しきれてない。

  • たしか、短編集とのつながりで読んでみたくなった気がする。
    そしておもしろかった記憶が。
    中古で買ったんだっけな?新品だったっけな?

  • 人形と人形師。
    社会と個人。
    天使と悪魔。
    モナリザ。
    詩的な文体。
    小説としてスマートでいながら多くの示唆を含んでいるように思えます。
    誰が私を騙そうとしているの

  • Vシリーズ2作目。相変わらずサクっと読めます。
    登場人物が人間じゃないみたいな不思議な感じがして、叙事的な感じがしたりします。
    苦手な人はすごく苦手な気がする。

  • 奇抜な論理構成に加え、キャラクタによる牽引力でぐいぐい引っ張ってくれる森博嗣Vシリーズの2作目である。
    衆人環視の中で殺害される乙女文楽の師匠のお話。
    見事なまでに全ての仕掛けに引っかかった気がする。比較的簡単だと評判のトリックですら、私は完全にお手上げであった(笑)ゆえに満点。大に小に驚きっぱなしだったので。

    Vシリーズは、犯人の行動論理が非常に面白い。「動機」と必ずしも一致しないその「論理」が全編を鮮やかに彩ってくれている。
    人形と神(悪魔)に関する講義が大変興味深かった。


    S&Mには見られなかった前妻と現愛人の修羅場なんて展開もある。段々と興味の本筋がミステリィそのものから乖離してきている気もするが、私にとっては瑣末な事である。

    「どうして、一度捨てたおもちゃを、また拾おうとなさるの?私、てっきり落ちているものだとばかり思った」
    「一割差し上げるわ」
    ・・・・・お見事。

  • 最後はぞわぞわする。保呂草さんと秋野さんはやっぱり似たもの同士ですね。

  • Vシリーズ第2弾。小鳥遊練無がアルバイトをしている蓼科のペンションへ遊びに行く3人。
    博物館・人形の館のステージで乙女文楽の上演中に演者が謎の死を遂げる。モナリザの人形の謎も絡んで・・・最後、ゾクゾックっときました。
    まだ保呂草さんの人物像がイマイチつかめず。

  • Vシリーズ2作目。
    ぞくぞくしました。読書して酩酊感。
    文章に酔ったのか、空気に酔ったのか。

  • 森博嗣のVシリーズ第二作目。

  • 紅子さんってカッコいいよなぁ〜ラストが印象的な一冊です。

  • <内容>
    衆人環視の中ステージ上で謎の死
    乙女文楽演者の死と2年前の悪魔を崇拝する青年の死に関連は?
    蓼科に建つ私設博物館「人形の館」に常設されたステージで衆人環視の中、「乙女文楽」演者が謎の死を遂げた。2年前に不可解な死に方をした悪魔崇拝者。その未亡人が語る「神の白い手」。美しい避暑地で起こった白昼夢のような事件に瀬在丸紅子と保呂草潤平ら阿漕荘の面々が対峙する。大人気Vシリーズ第2弾。

  • お前か!!!!
    みたいな。だってそうおもわざるを得ないよ。好きだけどよくわかんない人だよ…保呂草さん…。

  • Shape of Things Human
    〜(^・ェ・)へ (((○

  • やっぱり森博嗣はおもしろい。強い人、危険な人が好きなら最後の展開はどきどきしながら読めると思います。登場人物みんな好きだ畜生!(笑)

著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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