ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062748681

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹流恋愛小説。

  • 村上春樹を読もう読もう詐欺しててようやく読んだ。
    もっと陰湿で硬いものをイメージしてたが意外とポップなリズムだし読みやすい。
    今後どうなるのか、下巻が楽しみ。

  •  椎名林檎と村上春樹のおかげで、セックスにありつけた男性は多い。男に対して、こういう理由でペニスを許しても良いというモデルを色々と提示してくれたからだ。
     にしても。
     読みにくい。めちゃくちゃ読みにくかった。読み始めた時、小林秀雄の本居宣長を読んでいる時と、全く同じ感覚だった。
     ある混乱があった。
     この、読んでいる本は、果たして純文学なのだろうか、それとも単なる大衆エロ文学なのか、だ。これは、小林秀雄を読んでいて、僕が読んでいるのはオカルト本だろうか、それとも一流の哲学書だろうか、どちらにしろ、宣長その人を読んでいる気分にはまるでなれない。あのリズム良い宣長の文章とはまるで違う、句読点の多い、葦の群生するぬかるんだ土のようなもの。
     それと同じく、このノルウェイの森も、「どういう風に読んだらいいのか」が迷ってしまう。これは安保闘争とかそういう政治運動の季節へのアンチなのか、オタクっぽい人をげらげら笑う高等遊民の差別小説なのか、出てくる女がみんなどいつもこいつも男が「こんな風にやれる都合のいい女がいたらええな」と思いそうな結構ベタな女が出てくる週刊誌のポルノ小説なのか。読んでいる方が激しく混乱して、実に読みにくいのである。
     ノルウェイの森に出てくる女は、みんな酒に強すぎるし、金の心配もない。後日、自殺したり勝手に去っていくし、主人公の思い出のなかで良い感じに生かされていく。
     もう村上春樹は東京で過ごしていた頃、女が本当に嫌いになって、女性嫌悪で皮肉で書いてるんじゃないかと思うほどだ。
     あと、ノルウェイの森という曲を聞いてみたが、ここではじめて、冬目景の「イエスタデイをうたって」が、もしかしてノルウェイの森へのアンサーではないかと思い始めた。自殺した男の影を背負う処女シナコ。処女ハル。写真を撮るリクオ。たまに出てくる美大生たち。どうしてもノルウェイの森っぽい感じがするのだ。ただし、セックスのないノルウェイの森。ネクストノルウェイの森のような気がしてならないが、いまはそれを詳しく語れる自信はない。
     ノルウェイの森から、憂鬱成分を除くと、セックスアンドザシティになる。そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。やれやれ、僕にとってそれはどうでもいいことだった。

  • 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』が社会現象になった時に、初めて村上春樹の作品を読み、他にも読んでみたいと思い、購入していた本書。積ん読状態だったが、先日読了した『読んだら忘れない読書術』でも紹介されていたのをきっかけに、読んでみました。

    村上春樹の作品は難しいというイメージがありましたが、読み始めると、リズムがあり読みやすく、情景描写や表現が巧く、そのストーリーと世界観に引き込まれ、一気に読了しました。

    早く下巻を読みたいので、このくらいにしておきます。

  • 冒頭から物語に引き込まれ、あっという間に読み終えた。
    第一章の最後、
    「何故なら直子は僕のことを愛してさえいなかったからだ。」
    このフレーズが頭の片隅から離れず、読み進めていてもよぎってしまう。
    彼女は彼を利用としているというよりは、彼が彼女に利用されたがっている?
    共依存のような関係なのかしら。
    淡々と物語は続く。少しずつ這い上がっているというよりは、深い闇に落ちていくかのようなそんな雰囲気。
    どのように彼女は消えてしまうのか。
    想像を膨らませながら。
    ビートルズのノルウェイの森を聴きながら、村上春樹の美しい表現と文章がやはり好き。

  • 上下の感想まとめて。
    初めて村上春樹作品を読めた!今までなんとなく敬遠していたから、まさか自分が夢中で村上春樹を読めるとは思ってなかった。村上春樹って、小難しい文体で、衒学的で、セックスの話がめちゃくちゃ出てきて、洒落臭いというイメージしかなかったけど(そのイメージは7割くらい正解していた)こんなにも内向的感情に寄り添ってくれる作家とは知らなかった。
    今風にいうところの「生きづらい」人の世間との隔たりや、世間でまともそうに暮らしている人を「まともじゃない」と感じる感性、自分が孤独である時の世界の見え方、人と人との関わり合い、人の死と向き合った時の心の動きなんかがすごく鮮明に描かれていて、何度も「私はこの時の気持ちを知ってる」と思って涙した。面白い、という表現は少し違うのかもしれないけど、夢中で一気に読めた。
    それとは別に、相手と心が通じ合ったと感じた時に結局セックスしてしまう(この話の場合はである)人間という生き物を本当に気持ち悪く思った。相手の心の深いところに触れて、自分もそれを開示して、相手とより深くつながったような感じがして、すごく嬉しくていい気持ちになっていた時に、最終的に寝てしまったら、相手の心の開示も、自分の心の開示も、全部そこに行き着くための下心由来の行動だったんじゃないかと思ってしまいそうで怖くなる。私にとっては、直子やレイコさんとのセックスより、行きずりの女の子と寝ることの方がよっぽど誠実に感じる。その動機が性欲や寂しさなのがはっきりしていて、自分に正直だからだ。もちろん愛のあるセックスがあるのは理解しているし、この作品内での直子やレイコさんとのセックスが愛や情といった感情から生まれたものであるのもわかる。しかし私なら、そういう時にこそ行為に持ち込んでなあなあになりたくない。だっておたがいに性対象じゃない同性同士でも深くわかり合って言いようのない嬉しさに打ち震えることはあると思うけど、その後、情が昂って変な気分になったりはほとんどの場合しないだろう。人間は理性を持って、文明の中で生きているのに男女という区分けが必要なのか?と問いたくなる。世間では理性的に生きることが要求されて、それなのに本能はセックスを求めているせいで、高度なコミュニケーションの後でも結局最後には動物になってしまうというのが、私は本当に悲しいのだ。ただしこれは私の理想上の話であって、私自身そんなに高潔かと言えばそうでもないし、セックスは好きだ。ただ、人間社会の中で本当に性欲は邪魔な存在だと感じる。無知なのであまりよく知らないけど多分プラトンもこういうふうに考えたんじゃないか?私は哲学者なのかもしれない。
    そうは言ったもののこれは現実世界のリアルで、村上春樹にどうこう思っているわけではない。ノルウェイの森には胸を打たれたりじんわり心に響く場面がたくさんあって、様々な歪みを感じながらも自らを理解し、表現しようとする登場人物たちに好感を抱いた。わたしはもっと村上春樹を読むべきだと思った。
    時代背景もあればそもそも20年前の作品なので馴染まない表現もあれど、すごく読みやすかったのは意外だった。今後他の作品にも手が出しやすい。
    ところでノルウェイの森に出てくるジャズなんかを聴きながらこの本を読むのはとてつもなく気持ちがよかった。これは私が村上春樹に抱いていた「洒落臭い」というイメージそのものの行為である。

  • 村上春樹を読まないで生きてきたので、代表作を読むかと思ったのですが、なかなか難しい
    まだ早かったかもしれないなとつくづく思いました。
    後半をまだ読んでいないので全体的な感想をかけないのですが、個人的に緑さんの考え方が結構好きだなと思いました。
    ただ直子がどうしても感情移入できず・・・
    好印象を持つキャラクターはなにかしら同じ考えを少しでも持つキャラが多いのですが
    直子だけはどうしてもなにも共感できませんでした。
    それぐらい病んでいるということなのでしょうが・・・。
    性描写が多かったのですが、表現はすごくよかったです。直球な書き方をしているので、主人公的には愛というよりかは・・・という感じが伝わってきてよかったです。

  • 小説なんて時間の無駄じゃね?という考えを変えさせてくれた小説
    春樹を読んでるとジムジャームッシュを思いだす
    時間を生産に使うのではなく、ただ過ごすために使う
    そんな思いにさせてくれる

    あとこれまじ成人してある程度思想固まってから見て良かった、小さい時に見てたら影響されちゃう

  • 昔読んだときには沸かない情感が溢れて仕方がない。
    失ったもの、取り戻せないもの、生きていく中で抱える痛みやもどかしさが増えるごとに、この小説の魅力がわかる気がする。

    こんなによかったっけ??
    村上春樹が好きになれなかった二十代前半。
    あのときから随分月日が経って、たくさんの人と関わって、ここに描かれた人々の気持ちに寄り添えるようになって、淡々と描かれた彼らの空洞的なものにとても惹かれるようになった。

    恋愛の形が大人で、あのころはわからなかったこともいろいろわかるようになった。

    小説そのものもとても良いのだけど、こうした自分の成長や変化を感じることができたのもよかった。

    ぼんやりしか覚えてないので、これからどうなったのだか、気になる。

  • 今まで読んだ村上春樹作品の中で、いちばん面白いと思った。100%リアリズム小説?として宣伝したかった(実際の宣伝は、100%恋愛小説だったかな)とwikipediaに書いてあったけど、ファンタジー入り混じる世界とは一線を画した現実世界の物語で、それがすごく新鮮だったんだと思う。村上春樹、こういう話も書くんだ、と思った。
    全体としては気だるくて、哀しい話なんだけど、生きることに真剣に向き合うという種類の生き生きとした躍動があって、ピチピチの魚みたいだった。なんで魚っぽいと思ったかというと、油断するとすぐに腐ってしまいそうな、そういう危ういピチピチに感じたからだ。
    読み終わった後、他の人の感想も知りたくなって、珍しくnoteで検索するなどした。そしたら、冒頭で「ノルウェイの森」を聞いたワタナベが苦しくなるシーンを、ワタナベが直子のことを理解できていなかったと、十数年越しに気づいたからだと解釈している人がいて、なるほどそうだったのかもしれない、と思った。理解しようと思うつもりでも、それが自分に精一杯できる努力でなし得た理解だとしても、相手にとっては全然100%じゃない。そういうことが、この世界には普通にたくさんあるのだ。
    私はまだ物語の細部しか追えていない。この本は手元に置いておこう。そんでまたいつか読み直して、今度は全体で何が見えてくるのか、受け止め直してみたいなと思った。

  • 下巻で僕と直子はどうなっていくのかがすごく気になる。
    この作品(村上春樹)の流れる時間というか空間というか、そういった雰囲気みたいなものはやっぱり好きだなあと思う。

  • 村上春樹 ノルウェーの森 文章が深い、面白い。一人の人間の陰の一面を表現するのが上手い。これ本屋大賞受賞した凪ゆうも同じだな。人間の深い気持ちを細かく言葉で描写してくれる。裏側の心が嫌いな人しか分からないかもな。

  • 内容が気になって再読。
    ワタナベ、直子、キヅキの3人の不思議な関係をベースに進んで行く人間模様。
    同じ寮に住む、同部屋の堅物突撃隊、寮のリーダー的存在孤高の天才永沢とその彼女ハツミ。
    直子のルームメイトのレイコ、そして同じ大学の天真爛漫な緑。
    いろんな気持ち、いろんな環境を抱えながら、それぞれが進む道、多くの哀しみ、複雑な人間模様、少し気持ちをが沈むこともあるがどんどん読み進められた。ノルウェイの森を聞きながら読みました。

  • 初 村上春樹
    今のところこじらせまくってる男女の現実逃避の話、みたいな印象しか受けぬ…下巻読んだら変わること願う

  • どう、なんだろう。どう、なるんだろう。二人の人生を見ている。一つの恋を読んでいる。それだけなんだけど、無駄と思える一文をもう一度読んだり、性描写し過ぎず次の展開になったり、読んでいる。ただ読むことに集中できる。二人を読んでいる。

  • 村上春樹の『ノルウェイの森』は恋愛小説と言われますが、わたしはそんな感じはしません。恋愛小説というには、この小説の中身は少し重たすぎるでしょうか。
    強いて言うならば、青春小説かもしれません。

    村上春樹の小説はキザすぎるとかナルシスト的などと言う人も多いですが、わたしは『ノルウェイの森』が好きです。読んでいて心が楽になることが多いです。

    主人公がノルウェイの森を聴いてひどく混乱する時。
    蛍を飛び立たせる時。
    サンタフェで夕陽を見ながらハツミさんを思い出す時。緑が去って、誰とも会話ができなくなる時。

    人生で孤独を感じながら、それでいて誰にも自分の感情を説明できないこと。
    そんな切ないことが少なくともありえるんだってことを、この小説を通じて共感できるからです。


    「蛍が消えてしまったあとでも、その光の軌跡は僕の中に長く留まっていた…
    僕はそんな闇の中に何度も手をのばしてみた。指は何にも触れなかった。その小さな光はいつも僕の指のほんの少し先にあった…」

  • 一つ一つの言葉が重く、意味が深いのでゆっくりと読ませて貰いました。こんな素敵な物語に出会えることは早々ないと思います。決して押しつけがましくなく、それでいて本当に人を愛すること、生きることをサラッとした言葉で描いてくれています。
    下巻の展開も楽しみです。

  • 正確に数えてるわけではないけどもう20回は読んでる。秋が深まるとどうしても手に取ってしまう。季節を背景にした心の描写が絶妙すぎる。読めば読むほど主人公の気持ちがわかるようになってきてたまらなく悲しくなるが、単なるセンチメンタリズムの枠に収まらない人間描写の深さがこの作品には溢れている。

  • 死ってなんだろう、、
    大切な人が亡くなった時見返したら
    感じ方も変わりそう

  • 再読
    前回初めて読んだのがいつだったのか覚えていない。
    僕は突撃隊の話が好きだな、ワタナベのいう通り彼の話を聞いていればみんなが幸せになれる気がする。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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