文庫版 百器徒然袋 雨 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (754ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062751803

作品紹介・あらすじ

「推理はしないんです。彼は」。知人・大河内の奇妙な言葉にひかれて神保町の薔薇十字探偵社を訪れた「僕」。気がつけば依頼人の自分まで関口、益田、今川、伊佐間同様"名探偵"榎木津礼二郎の"下僕"となっていた…。京極堂をも巻き込んで展開するハチャメチャな妖怪三篇「鳴釜」「瓶長」「山颪」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • おびのりさんの狂骨の夢にコメントした時に、土瓶さんからご紹介頂いた一冊。

    短編だと思って読んでいなかったのか?
    短編には違いないが、ずっしりと厚みのある短編。
    いやもうこれ、一話ずつ、普通に文庫本なるだろ!っていうような厚み。

    というわけで、面白くないわけがない!
    しかもこの話、めちゃくちゃ読みやすい!
    今まで読んだ京極堂シリーズでも一番読みやすい(*^▽^*)

    そして、私の大好きな榎木津が大活躍!!
    もう毎回、毎回大爆笑(*^▽^*)

    特に最後の山嵐の話での、榎木津、京極堂の演技にはオオウケ。
    爆笑したかったが、会社の休み時間に読んでいた為、大笑いできないのがキツかった。
    本当はゲラゲラ笑いながら読みたかったのに!


    相変わらず榎木津がぶっ飛びすぎていて小気味良い(笑)

    あー楽しかった(*^▽^*)

    • bmakiさん
      土瓶さん

      榎木津はいないかぁ。。。。
      短編かぁ。でも連作かぁ。。。
      なら短編嫌いの私でも読めるかな???
      読む本が無くなったらチ...
      土瓶さん

      榎木津はいないかぁ。。。。
      短編かぁ。でも連作かぁ。。。
      なら短編嫌いの私でも読めるかな???
      読む本が無くなったらチャレンジしてみますね(*^▽^*)
      2023/11/13
    • ちぃさん
      おはようございます。
      きのうはコメントをいただき、ありがとうございました。
      わたしは今、百器徒然袋の風を読んでいるんですが、こちらも榎木津さ...
      おはようございます。
      きのうはコメントをいただき、ありがとうございました。
      わたしは今、百器徒然袋の風を読んでいるんですが、こちらも榎木津さんが活躍するらしく、楽しみです。
      新作の「鵼の碑」に出てくる人物も登場しています。
      2023/12/11
    • bmakiさん
      ちぃさん

      おはようございます。コメントありがとうございますm(_ _)m

      昨日、鵼の碑の方で、ちょうど土瓶さんに風を紹介頂いたと...
      ちぃさん

      おはようございます。コメントありがとうございますm(_ _)m

      昨日、鵼の碑の方で、ちょうど土瓶さんに風を紹介頂いたところでした!
      家に今積読本がたくさんあるので、もう少し軽めの本で休憩したら読んでみますね!

      京極先生、兎に角気合い入れないと私の頭のレベルでは難しくて(-。-;
      レベルはとてもついていけませんが、それでも超絶面白いですけど(笑)
      2023/12/11
  • 再読。

    ずっともう一度読みたかったのに、書名がわからずに悶々としていたのに読んでみたら!

    とくに「瓶長」は結構インパクトが強く印象に残っていた話。大人になってから読むと印象に残る部分も変わっていて新たな発見も多かった。

    榎木津が仕切ると事件がスカッと纏まる。榎木津と京極堂はぶつぶつと愚痴を言いながらも「一味」を巻き込み解決に導く。個性の強い一味だけれど誰もが抗いがたい魅力を持っている。

  • 特殊な能力を持った容姿端麗頭脳明晰な榎木津探偵を主軸に描かれた薔薇十字探偵ワールド。

    とにかくくだけていて読みやすい。

    榎木津はもちろん、下僕ズを含めてそれぞれのキャラが満遍なく描かれ、誰に対してもクスッと笑いしか出ない。

    キャラが際立つスピンオフものは面白いなぁと改めて実感。
    そして「〇〇事件」と出てくるとやっぱり京極堂シリーズを読みたくなる。

    どの事件も榎木津が引っかき回しながらも、終わり良ければすべて良し。

    タイトルの「雨」も「晴」に変わりそうな爽快感と明るさが良かった。

  • 名探偵(?)榎木津礼二郎が取り仕切る事件3篇。ある視点からは非常に辛い出来事も、馬鹿馬鹿しいまでに破天荒な解決の最中に落とし込まれて愉快に昇華してしまっている。
    3篇共通の視点者は最後まで偽名やらなんやらで正しい呼び名がなかなか出てこないが、周囲のキャラクターが強烈なので問題がない。まったくの外野からは、榎木津を取り巻く面々はこう見えるんだなあ、と新鮮な気持ちを抱くとともに、近づくだけで巻き込まれる榎木津の求心力の末恐ろしさに震えた。
    中禅寺も几帳面に滑稽な計画に乗っかったりと、いつもと違った側面が見えて興味深い。年始から寝込んでいて中々活字が拾えなかったが、ゆっくり読み進めたりするのに(いつもの百鬼夜行より)ちょうど良かった……。あと体調不良で鬱々とした気分もある程度散らせたので、榎木津礼二郎様々である。

  • とにかく面白かった。
    京極作品では暗い印象が多いが、出演者が変わらずとも、仕切り役が変わるだけで随分と違う作品になるのだなぁと思いました。
    榎木津さんすげぇなあ。


    そうだ!  僕だ。お待ちかねの榎木津礼二郎だ!    「推理はしないんです。彼は」。知人・大河内の奇妙な言葉にひかれて神保町の薔薇十字探偵社を訪れた「僕」。気がつけば依頼人の自分まで関口、益田、今川、伊佐間同様“名探偵”榎木津礼二郎の“下僕”となっていた……。京極堂をも巻き込んで展開するハチャメチャな妖快3篇「鳴釜(なりかま)」「瓶長(かめおさ)」「山颪(やまおろし)」を収録。

  • 榎木津!榎木津!榎木津!気に入らないものは粉砕する!!名探偵榎木津礼二郎が大暴れする物語が3連発!!

    百鬼夜行シリーズはここまで超長編ばかりでしたが短編でも最高に面白いことがわかってしまい更なる沼にハマってしまいました。

    なんやかんやで百鬼夜行シリーズの主要人物は誰が主人公でもおかしくないくらいいいキャラクター揃いやわ。

    榎木津礼二郎は最高の探偵      ★★★★★
    短編でもお腹いっぱいになれる内容  ★★★★★
    飽きずに読み続けられるシリーズ物  ★★★★★

  • 榎木津炸裂!勧榎木津懲悪!!
    僕の名前が話ごとに適当に盛られ、読後になっても「で、主人公の名前なんだっけ?」ってなる。名前判明してるのに。
    読んでて楽しい、メインキャラ全員登場するし。
    分厚さの割にするする読める。なんだろう、このページ数と読みやすさの反比例感。めっちゃページ数多いのに、1日も経たずに読み切れる軽快さ。
    楽しかった!榎木津さん素敵!でもお近づきにはなりたくない!めっちゃご遠慮したい!!

  • 百鬼夜行シリーズのスピンオフ……になるのでしょうか。
    本編中では描かれなかった榎木津礼二郎率いる薔薇十字探偵社のお話。

    いや本編読んでる時に確かに益田くんが何か亀を見つけられなかったって落ち込んでたシーンあったなーとかぼんやり思っていたのですがこれか!これなのか!って感じでした。
    こんな解決されてしまったらそりゃあ落ち込んでしまうかもしれない……益田くんお気の毒に。

    それにしても登場人物はほぼほぼ同じなのに主役に据える人物が変わるだけでこんなにドタバタ劇になってしまうから驚き。
    まさか京極堂シリーズを読みながらこんなにゲラゲラ笑う日が来るとは。
    この本で扱ってる事件もそれなりに大きい事件のはずなのにまるでそんな感じがないのが不思議。
    読み終わって思い返してみてもやっぱり大きな事件……だったよね???

    まぁそれはともかく。
    京極堂あんなに普段から怒ってるのに悪ふざけには全力で乗っかっていくし、木場修は貴重なツッコミ要員であることが判明するし、関口先生を第三者の視点から見ることが出来るという珍しい体験も出来たりして非常に楽しいお話でした。

  • 京極夏彦の文章は音楽聴いてるみたいだ...

    完璧なソナタ形式ではないかもしれないが、
    提示される第一主題、繰り返される主題、そこに表れる第二主題、展開部、第一主題と第二主題の融合、結尾部。こんな構成に感じる。

    今作は破天荒な探偵、榎木津礼二郎を中心に話が進む。「鳴釜 薔薇十字探偵の憂鬱」「瓶長 薔薇十字探偵の鬱憤」「山颪 薔薇十字探偵の憤慨」の3話集録。

    30代半ばになっても子供みたいな榎木津のめちゃくちゃ加減も面白いし、それに振り回される下僕達も気の毒だけどおかしい。百鬼夜行シリーズのスピンオフに当たる作品なわけだが、今作は笑うポイントが多い。シリーズ本編とは違う馬鹿馬鹿しい、杜撰にも見える作戦を決行する。杜撰にしか見えないのだが結局解決まで導いてしまうのがまたおかしい。しかもスカッとする解決の仕方なのでなおポイントが高い。

    京極さんの文章や構成にますますハマる...

  • 「鳴釜」のみ雑誌掲載時に既読。京極作品のメフィスト掲載に興味を惹かれ(多分これが初めてだったのでは)、他の連載陣の倍を超える文量に「短編でもこれかよ!w」と呆れつつ拝読したのを憶えている。焦がした釜を洗う京極堂、物語早々に歩き回る京極堂、結構な重さらしい本を持ち歩く京極堂と、本編では天下無双の憑き物落としも薔薇十字団を率いる〈神〉の前では些か調子が狂う模様。最後の最後に漸く本名が明かされる〈いつかの何とか云う人=僕〉は関口よりも冷ややかな視点で、それ故ツッコミに容赦が無く各話の喜劇的風味を一層強めている。

  • 【収録作品】鳴釜 薔薇十字探偵の憂鬱/瓶長 薔薇十字探偵の鬱憤/山颪 薔薇十字探偵の憤慨

    ノベルス版で読了。
    荒唐無稽な榎木津の本領発揮で、ひたすら楽しい。

  • 榎木津が場を仕切る短編集
    京極堂が嫌々付き合わされているように見えて
    ノリノリで悪ふざけを楽しんでます
    本編では見せない笑顔やら爆笑やら冗談やら
    楽しそうです

    河川敷砂利彦と下金さん、
    近藤の大根には笑いました。
    この方は関口に通づる
    いじられの才能がありそうです。

    最後はもうめちゃくちゃなんだけど
    丸く(?)おさまります。

    スピンオフ系はあまり読まないんですが
    鵺の碑を読み終わり、ロスが激しいので
    手を出してしまいました。
    もっと早く読めば良かった

  • 久しぶりに再読。
    公式なのに二次創作のような、本編より楽しそうな中禅寺さんが見られます。
    文章自体は淡々としてるのに、(笑)も『!?』も、大げさなツッコミもないのに笑ってしまう。榎木津の破天荒に振り回される下僕たち……なんやかや榎木津と同じ人種の京極堂。巻き込まれる関くん。学生時代の彼らを見ているようで微笑ましい。
    視点が「新たなる関くん」ともいえる主人公だからまたいいのかもしれない。巻き込まれ体質の主人公から見た(けどそこまで深入りはしない程度)破天荒な『榎木津一味』。読者がまるで京極堂の世界に入り込んだように読める。二次創作で言うところの夢小説のよう(笑)いつもは関くん視点だから気づかないけど、第三者から見たら関くんも相当ですよ。
    作者、上手いなぁ。。

    微妙に本シリーズと絡んだ会話もあるので、読んだ後だと「そうそうw」ってまた楽しめるし、読んでなければ読んでないでも主人公の彼の気分(事件を知らない)で読めるのでどちらでも構わないかなと。

    榎木津スキーの私にはなかなか神本な1冊。
    さて次はもう1冊を読むか……邪魅を再読するかー

  •  もー、この本大好きです。何回目かわからないくらいの再読です。4、5回目かと思われます。でも何度読んでも楽しいのが京極さんの作品です。
     やっぱり榎さんはかっこいいですし、魅力的です。最初はこの神様目的で百鬼夜行シリーズ読んでいたなとしみじみ思いました。榎さんの人気が高いのもわかる気がします。
     でも、今1番大好きな関口くん。作品の中で登場人物が話題にあげるたびにワクワクして仕方ないです。
     そして最後の山嵐のお話で待ちに待った関口くんご本人が登場。通勤の電車で読んでいたのですが、ドキドキが止まらなかったです。なんでこんなに好きなのかってくらい大好きです。
     この勢いで次は陰摩羅鬼読みます。

  • 変人だろうが躁病だろうが、うちは榎さんが好き笑

  • 榎木津礼二郎が主人公の百鬼夜行シリーズの番外編のような作品。
    中編3つの構成で、短くも読み応えがあった。
    榎木津の暴れっぷりが痛快愉快、
    百鬼夜行シリーズ本編に登場した人物も大活躍でとても面白かったです!

  • 何十回も読み返している。コミックスも揃えた。

  • かるウい!(←榎さん風に)
    読みやすく、爽やか?で、勧善懲悪。いや、歓榎木津懲悪!
    京極堂が唆されたり、大笑いしたり、ふざけたりするのを見られるのが良いね。
    第三者から見た関口くんの描写も面白い。やっぱりウロンなのだなあ。
    過去の登場人物を何人も出してくれるのも嬉しくて、サービス回かな?という気分です。

  • [鳴釜 薔薇十字探偵の憂鬱]
     このシリーズは本編とは違ってコミカルな作りになっている。京極堂がよく笑うし、よく動く。だが特質すべきは、シリアスな本編でも、コミカルな本作でも榎木津は同じだということだ。いつも通り暴れて、なんだが事件は解決している。それは周りのおかげも多いのだが、その下僕たちに一人加わり、その一人に本作の語り部である本島がいる。
     そして、このエピソードでは、その本島が持ってきた事件で、親戚に不貞を働いた男たちを懲らしめたいという話だ。懲らしめるといっても、榎木津と京極堂が組んでことを起こすのでなかなかエグい。最後は榎木津が暴れて終わる。
     それと、犯人の婚約者の女性が気っ風がある人なので、また登場してほしいなと思う。
    [瓶長 薔薇十字探偵の鬱憤]
     榎木津の父が瓶がいるという依頼。そして亀も消えてしまったという。子も子なら親も親ということだ。
     亀はどこだというのはついでで、本題は瓶を探してくれという。そこで下僕たちが瓶を探しに右往左往する。
     瓶屋敷という瓶が大量にある屋敷に有象無象が集まりわちゃわちゃする。いつも通り、都合よく全てが関わっている。
     最後は榎木津が暴れて終わる。
    [山颪 薔薇十字探偵の憤慨]
     鉄鼠の檻の常信和尚が京極堂を訪ねてきて旧友の様子がおかしい、電話で家族に聞くと死んでいると言う。その場所は寺だが、高級料亭となっていて数々の大物が足しげく通う名店のようだ。
     榎木津は、これまた父の関係で動物探しが広まって、財政界の大物から動物を探してくれと依頼が来た。その動物は山颪。
     これも榎木津の受けた以来と、常信和尚の依頼が合わさって、その料亭での事件を京極堂と榎木津が解決する。自分たちが埋めた死体がある場所で、育てた大根を知らずのうちに食べさせるというのはやり方がエグくて面白い。
     最後は榎木津が暴れて終わる。

    • karasu10281028さん
      もなかさん>
      コメントありがとうございます。
      今作はコミカルで漫画的でしたね。コミカライズもされてましたが、非常に合っていました。
      もなかさん>
      コメントありがとうございます。
      今作はコミカルで漫画的でしたね。コミカライズもされてましたが、非常に合っていました。
      2019/11/06
  • 京極堂さんの長編シリーズの合間にあった(という設定で)榎木津さんの薔薇十字探偵社がメインの中編集。

    ただ、この作者さんのお話は前の話を知っていないとイマイチわかりにくいところがあり、この本も別にいきなりこれを読んでもそれなりには楽しめるだろうけれど、やっぱり今までの京極堂長編シリーズを読んできた読者さん向けなんだよね。

    我が家的には京極堂長編シリーズは『狂骨の夢』がピークで、その後の『塗仏~』とか長すぎてグダグダだったし、どれもこれくらいの長さだといいのに…と思えた3篇が収録された1冊でした。

    まぁ、都合の良すぎることが多いけれど、それはそれで…(笑)
    それなりに味のあるキャラクターたちは、本当にたいしたものだと思いますし…。

  • 姪を有力者の息子に強姦されたが泣き寝入りを余儀なくされ,困り果てた挙句紹介された探偵社・薔薇十字探偵.そこで出会った自称名探偵,榎木津礼二郎は,調査も推理もしない変人探偵だった.「僕」はいつの間にか名探偵の下僕となり,ハチャメチャな事件に巻き込まれる.

  • 百鬼夜行シリーズを全部読もうと思い、買ったのはいいが長い間積んでおいた作品の一つ。
    とあるコーヒー屋さんの娘さんと、京極さんの話になり、「そういえばまだ読んでいない作品があったな」と思い読み始めた。読み始めると、意外とすぐに読み終わってしまった(阿部寛さんが解説で、「ところが、ひとたびページをめくればストリーにグイグイ引き込まれてゆく・・・・・・(このことは京極作品のファンのならみなさん経験ずみのことでしょう)。737~738頁。」と書いているようにスルスルと読んでしまった)。
    次読む作品は、百器徒袋ー風(書いているこの時にはもう読んでいるのだが)。

  • 榎木津が大好きな身としてはうれしい一冊だが、しかしストーリーという観点からいうといまひとつの感が否めない。とにかく榎木津を描くことを目的とするのであればもっと徹底してほしいし、物語としての面白さを求めるのであればもう少し捻りがほしい、といったところ。

  • ★4.0
    再読。「そうだ!僕だ。お待ちかねの榎木津礼二郎だ!」。ハチャメチャ探偵・榎木津をメインに据えた、スピンオフ的な位置づけの1冊。とにかく榎さんの暴走が面白くて、彼の一挙手一投足に笑いが止まらない。そして、お馴染みの主要なキャラクターたちが、全3編に余すところなく登場する。中でも、何度も話題に上りつつ、満を持して登場した関口が印象的。また、語り部となる“僕”の名前すら明かされないのも楽しい。「瓶長」「山颪」は「陰摩羅鬼の瑕」の後日譚になるけれど、事件の詳細には触れていないので先に読んでも楽しめる。

  • おもうがまま大暴れする榎木津さんに再会したくなり、本書を手に取る。結果、内容をすっかり忘れているシリーズ本編が読みたくてたまらなくなってしまった! うう、手元にないのに……と泣き崩れつつ、榎さんの奇矯ぶりや京極堂の弁舌を堪能。いとしの関口さんの登場を心待ちにさいごまで名前の出てこない主人公の狼狽え、飲み下したのちの順応を楽しんだ。「鳴釜」での揺らがない京極堂の発言と、榎さんの怒っている人間に「怒ってるんだろ?」と聞けるこころ。きっと初めて読んだときも眩しくおもったことだろう。榎さんの馬鹿ぶり、まったく神!

  • お~もしれ~。大好きな榎さん主役ってやっぱいい!この分厚さにも拘わらず、すいすい読めたわ。
    しかし榎さんの自信家っぷりはうらやましい!自分を神と言えるなんて…ステキ過ぎる。下僕志願の、この語り手の気持ちもわかるわ~。

  • 久々の読み返し。
    このシリーズが一番手軽に面白い。
    多々良先生が少女歌劇好きであることに気付いた。

  • ひえ~、最後の最後の最後に「僕」の名前が明かされる。それも名字だけ。前後巻を勘違いして『風』を先読みしたので名前を知っていたけど、『雨』では知らされないのかと思った。「薔薇十字探偵団」一味の揃い踏み、百鬼夜行シリーズファン垂涎の一冊である。中禅寺を一味に加えては叱られそうだが、本編作品では「京極堂」一味の統領であっても、『百器徒然袋』では榎木津の配下に甘んじてもらうしかない。でもって『塗仏の宴』後に再起を案じた関口くん、お帰りなさい。本島と並ぶと中禅寺がにやけ、あの益田からさえ「二大スタアの共演」と揶揄される。分かるよ。徹頭徹尾おかしくて、通勤バスの中で読めば地獄の辛さだ。

  • 百鬼夜行シリーズの短編集。
    暗い事件もありますが、それらを榎さんが全て吹っ飛ばす明るく楽しい勧善懲悪な探偵活劇かな?
    榎さんの活躍を物陰からきゃーきゃー眺めていたいタイプです。
    特に好きなのは最後の山颪。京極堂もノリノリです。

  • (2015/05/23読了)

    エノさんが主役の三編から成る作品。兎に角面白かった。登場と共に、下僕どもに罵詈雑言を浴びせかけるところは、声を出して笑ってしまう。京極堂も珍しく一緒になって無茶をして楽しんでいるところもいい。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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