- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062764056
感想・レビュー・書評
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全1巻
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まっすぐな親分肌の?客のような造形の趙匡胤。劉智温の政権が短命に終わり、郭威、柴栄の後周政権で戦に強い武将として頭角を表し、最後は、禅定によって、宋を打ち立てるまでを描く。ちらりと姿を見せた、政治の役割は弱者を助けること、君主が死に王朝が滅んでも、天地はそこにあり、人は生き続ける、主君ではなく民のために政治を行う、という馮道の造形に心惹かれる。五朝八姓十一君に仕えた宰相についてはもう少し知りたく思った。そして、柴栄の「時代を変えるのは、予の果断さであって、宰相の慎重さではない」と言う力強さ。「今回の敗戦の責は、すべて予にある」と認める潔さ、王たるものなかなか自らの過ちを認めない中で、印象に残る。
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普通に面白かった。この作者は初めて読んだけど、1976年生まれで私より若いのか。
そりゃ、40代の歴史小説作家と考えるとおかしくもないし、私が年をとっただけなのだけど、感慨深くはある。
変な言い方だけど、若いのに何だというぐらいにケレンがない。王道の歴史小説である。また、趙匡胤というのがそれに向いている。
最初しばらく、明の太祖朱元璋と勘違いしていて、「こんないい生まれだったっけ? 好漢の朱元璋?」と思った私は無知である。
それがあったので、趙匡胤のまっとうさと、そのまっとうさをストレートに書いているこの小説に、感心と、「結局この人暗黒面に堕ちなかった」という、不思議な失望があった。作者と趙匡胤には迷惑な話である。 -
【作品紹介】
栄華を誇った大唐帝国が滅びて四十年、天下はまだ再統一の兆しすらない。脆弱な王朝のひとつ、後漢の将軍・趙弘殷の嫡子、趙匡胤は無実の罪で繋がれた牢獄から脱出し、義兄弟のちぎりを結んだ鄭恩と共に、都の開封をあとにした。宋を建国した趙匡胤のダイナミックな生涯を瑞々しく描いた中国歴史長編小説。 -
宋を建てた人。
どんな人生を過ごしたのか。どんな人だったのか。
あまり伝記を見たことがないから謎だった。
読んでみると、主人公ののんびりした感じが伝わってきた。
こんなのんびりと政権交代が起こったのか、ちょっと疑問があるけど。 -
唐が滅び,五代十国時代,後周の初代皇帝となった郭威の養子である紫栄(後周の2代皇帝)に認められ,一時期は紫栄と敵同士であった趙匡胤であるが,その人柄に惚れ,臣従することになる。紫栄が崩御した後,紫栄の息子が第3代皇帝となるが,才覚がなく,これでは紫栄の夢であり実現間近の中国統一も本当に夢に終わると思い,趙匡胤は禅譲を迫り,宋を建国する。趙匡胤は武勇や人徳には秀でたものがあったが,戦略と言う観点からは,やはり,後周時代に紫栄から与えられた臣下の趙普や趙匡胤の弟で宋の2代皇帝となる趙匡義(匡が皇帝と同じであるため改め,趙光義)の補佐があったことが大きい。特に趙普については多くは語られていないが,皇帝ともなりうる才覚があったように感じたが,そこは,人徳では及ばないと感じたのか,皇帝より宰相の方が自分にはあっていると感じたのか,皇帝の地位は望まなかったようである。本書は,趙匡胤が皇帝になるまでを主に記述し,その後は簡単に書かれて終わっている。
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宋の太祖、趙匡胤の一生を描く歴史小説。 唐が滅びた後、四分五裂し、北方の遼からの圧迫も受ける五代十国時代。中原の国、後唐で青年時代を迎えた趙匡胤は、学問嫌いで腕っ節のたつ好漢だった。 無実の罪で捉えられた匡胤は、牢番の好意で国を抜けだし、義兄弟の鄭恩と共に旅に出る。運命を変える出会い、後周の将軍としての活躍、やがて運命は彼を時代の中心に押し出してゆく。
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もう少し、宋帝国最大のミステリー、太祖から太宗へのリレーについて筆を裂いて欲しかった気もします。こんなに素直に、腹黒いところ、きな臭いところがなく歴史が流れたとは思えないのですが……