スロウハイツの神様(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062765572

感想・レビュー・書評

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  • 高校生の時に夢中になって読んだ、思い出の一冊。散りばめられた伏線がたった一つの願いに向かってどんどん収束していく爽快感と感動がたまらない。これは間違いなく、「彼女」のための物語だった。個人的には、同著「ぼくのメジャースプーン」が負の純愛物語だとすれば、こちらは正の、最強の純愛ストーリーだと思う。

  • コンビニ展開のないはずのブランドケーキ。
    伏線の紐がひとつひとつ解けるごとに登場人物がどんどん愛しく思えてくるし、心理描写が本当に丁寧で、まるで回想映像を見ているかのような気分になります。強い環の、強さの根本にあるもの。
    心がキュッと締め付けられて、自然と溢れるような涙を流したのは久しぶり。上巻の印象とうって変わって、優しさと切なさと前向きな気持ちが残る一冊でした。最後のふたりが、幸せになれますように。

  • 登場人物が多くてどう伏線回収できるのかと思ったが、流石。今後、それぞれのクリエーターが自分のペースでスロウライフをおくり、愛を育てて欲しいと感じた。 

    自分の周りの人たちの影響を受けて今の自分がいる。
    そんな自分はいろいろな人に支えてもらっている。誰かの支えになっているとうれしい。これからは今以上にそんなことを意識して過ごそうと感じた。

  • 【2023年137冊目】
    一言で言うと、すごく良かった。途中何度も涙ぐみそうになり、堪えながらページをめくりました。一気読みでした。

    上巻では何か含みおかれている事実があるなと思っていたくらいですが、下巻では物事が明らかになるにつれ、謎が謎を呼ぶ感じで、一体真実はどこにあるのかなんて思いながら、それぞれの登場人物たちに寄り添うような気持ちで読みました。

    黒木さん、策士だったなぁ〜。好きになれない人かもと思ったけど、そうでもなかった。ホールケーキを一緒に食べるのは優しい。

    加々美莉々亜は、この物語の中でどんな役割の人物なのか、途中まで測りかねていましたが、真相がわかった時にはかなりすっきりしました。好きになれないままで、良かった。

    スーと正義が別れてしまったの、すごく残念だった。なんでかわからないけど、きっと他の住民たちが残念がっている気持ちに私もすごく同意できてしまうなと思ったからかもしれません。

    環と公輝が、「愛」なんて一言では言い表せない関係性で、最終章はずっと鼻がツンとしてました。ずるい。互いの存在が互いの支えになってるなんて、素敵を通り越して恐ろしささえ感じてしまうくらい。

    二十代のうちに読みたかったな〜と思ったりする一冊でした。

  • かなり前に読んだことがあって、今回2回目ですが、前回よりも面白く読みました
    田舎の駅の待合室に座っている姉妹、遠くから温かい目で見守る彼、そのシーンがとても印象的です
    いつまでもその先をずっと読んでいたい本です

  • 切なく、もどかしく、悲しいでも温かくて泣けてくる。変わってほしくなかった、スロウハイツの住人。
    変わらずいつまでも一緒に暮らしていくのはやはり無理で。
    恋人、友達、仕事関係といろんな愛のカタチがあり、簡単には表せない。
    この長編だから伝わるラスト。
    こうちゃんと環が大好き。

  • オーディブルで

    上巻の方がわくわくしたかなー?
    下巻、ロマンティックーな話にまとまった。


    オーディブルだから、サンタが彼だということはその時点でわかってしまった。そうすると、芋蔓式に本もテレビも、ああそうか、と察しがつく。
    いちばんの不思議は、駅待合所での会話を不審がられず一定期間聞き続けられたこと。そうとうな忍びの能力だ。

  • 自分の作ったものが届く瞬間の喜びと辛さを擬似体験できた作品で、とても面白かった。互いに秘密を抱えながら、他人のことを思い合うのは、素晴らしく、美しかった。言葉にできればいいのにと思いながらも、言葉にしたら陳腐だしというジレンマに陥って、モヤモヤするところもあった。自分でも何かを作ってみたいと感じる作品だった。

  • 後半は止まらず読んで、たくさんの優しさと愛情を知り泣いてしまいました。
    上下巻と長いけど絶対また読む機会があるだろうなって思う本でした。

  • 最終章の全部の場面で泣いていました。1人称視点で物語が進み、節によって語り手が変わるので、心理描写の叙述トリック的な要素がかなりあると思います。すべて知った状態でもう一度読みたいと思いました。

  • こんなに読み終わりたくない本って最高。

    一人ひとり、スロウハイツに住む人のキャラクターが大好き過ぎて、私も住みたくなった
    青春感動
    結局は愛、、最高だ

  • やられた!悔しい!
    という感じ。

    途中ザワついて、嫌な気持ちになり、なんならイライラしてしまう。
    そんな感情の描写に、もう読むのをやめようかなと何度も思った。
    そんな偶然あるかなと思うような出来事、伏線は終盤に回収されて、涙が出そうになった。
    最後はとても優しい気持ちに。

    諦めずに最後まで読んでよかった。

    著者による、感情のヒダの表現が見事なために、読み手の心が揺れ動かされる。私は、途中、内容に影響されて気持ちが沈みがちになるので、もう少し心が元気な時に、また別の作品を読んでみたいと思った。

  • 登場人物が好き。最後がとても良く、何度も読み返した。

  • 何年かぶりに再読。
    あぁ、やっぱり好きだ。
    コウちゃんも、環も、狩野もスーも正義も、黒木さんも莉々亜ちゃんも、みんななんて愛おしいんだろう。
    スロウハイツの住人は、みんな(黒木さん以外?)不器用なのにまっすぐで、ぶつかりながらもお互いを大切に思っていることがひしひしと伝わってきた。

    上巻の伏線を下巻でどんどん回収していって、そのどれもが切なかったり温かかったりする真実に繋がっていた。

  • 最高傑作かもしれません。
    スロウハイツの神様。登場人物が、少なくて覚えやすいとかキャラがわかりやすいとかで読みやすさはすごくありました。
    が、下巻に入って覚えた登場キャラクターの関係性とか過去話とかが上巻からの伏線的なものを回収していくのはとても楽しく見れたし、過去の話の回収はとても泣けました。
    辻村深月さんの作品好きだなと思いこの本で10冊目でしたが、最初に読むべき本だと言う事がはっきりわかるよい作品でした。
    文句なしの満点作品です‼️

  • 4.8点

    クリエイターを目指す青春物語か、まあまあかなって読み進めてたけど、最後の2.3章は鼻水啜りながらノンストップで読んでしまった。

    伏線ってミステリーのものかと思ってたけど、辻村深月さんの作品は全てが圧倒的な感動に繋がってる。たまらなく良いです。


    黒木の鼓動戦略は度が過ぎると思ったし、こーちゃんが救われないと思ったけど、そんなものを遥かに超える繋がりが…

  • 朝の情報番組で「伏線回収がすごい」と紹介されていたので、気になって購入して一気読み。確かに後半の怒涛の展開は見事で、ここも、あそこも、そういうことだったのかという事柄が盛りだくさんで、ページを捲る手が止まらなかった。
    ほんのり切なく甘い恋愛表現も辻村さんぽいなぁと思った。
    全体的に好きな感じだったけれど、個人的に、細かい気になることを言うと、
    ・一人称?三人称?主体が誰なのかすっと入ってこない文章がところどころあった
    ・チヨダブランドが、萌えキャラ、ヒーローアニメっぽい、残虐、でもすごく感動して中高生に人気、というその内容がいまいちイメージできなかった
    ・莉々亜と幹永舞のエピソードはちょっと無理があるんじゃないかと感じてしまった
    ので、評価は迷ったけれど星3で。

  • 好き。スロウハイツに住みたい。

  • 最終章は読む価値あり。
    それまでの冗長な話が吹き飛ぶ。

  • これを読んで懐かしい、若いなぁって思うくらいには歳を重ねたんだなと気づいた。

    このお話は、脚本家や映画監督の卵、漫画家の卵などが一つのアパートで暮らしてお互い刺激し合って生活するお話。

    人の手によって作られるお話や、作品は、自分が尊敬してる人の影響を受け、作られていたり、その人に追いつきたい!って気持ちが原動力になっていたり。

    やっぱり、人を動かすのは人で、自分たちは人に影響し合って生きてるっていう当たり前のことを愛おしく感じられる本。

  • 上巻で散漫に進むストーリーにこれはどう収拾するんだと思ってたら、後半で怒涛の伏線回収。この本はあんまりあんまりかなあと思ってたので、急な種明かしに胸熱でした。とはいえこんな話ってあるかなあ、こんな人たちっているのかなぁという気持ちも。
    いずれにせよ、スロウハイツの住人たちよ、幸せに成長してな!というラストです。
    ストーリーになんら関連性はないけど、凍りのくじらの芦沢さんぽい人が登場してます。

  • 何度も読んで涙した作品。 

    本当に本当に大好きなのだけれど、
    読みすぎて以前のように泣けなくなってしまった。。。

    それでも、私の心の中にはいつもコウちゃんとスロウハイツの仲間たちがいます。

  • ーいつまでも同じではいられない。だけど変わらない思いもある。

    〈あらすじ〉
    売れっ子の脚本家赤羽環を筆頭に、作家のチヨダ・コーキ、漫画家の卵たち、映画監督の卵、画家の卵たちが共同生活を送るスロウハイツ。お互いを刺激し合い、創作活動を行なっていたスロウハイツに、新しい住民がやってきた……。

    〈感想〉
    最初は思った以上に作品に入り込めず、ページが進みませんでしたが、下巻のラストで感動でいっぱいになりました。
    それぞれの住人の目線で1章ずつ区切られているので、最後全部が見えた時の素晴らしさはたまらなかったです。
    あの時の話はこのためにあったのだなあと、感動でした。全ての物の見方が変わってきます。
    最後にタイトルがまた秀逸だなぁと思って、鳥肌が立ちました。 

    (上下巻同じ感想です)

  • 上巻読了の時点では「この本、読む価値あるのか?」としか思わなかったのが偽らざる感想だった。しかし果たして下巻読了した今、そのような思いは完全に払拭された。それぞれの場面は上巻のあの時のあの場面になるほどこうしてつながっていくのかというパズルのピースがはめ込まれていくようなストーリー構成は今時珍しくもなくむしろ定番とさえ言えると思うが、それでも充分な読み応えと満足感を与えてくれた辻村先生に感服するばかりだ。
    ひとつだけ批判をお許し頂けるなら、高揚感はやはり上巻の時点でもある程度は欲しかったと言いたい。文量をもう少し削ぎ落としてスリム化すればより身の引き締まる思いで読み進めることができたのではないかと思う。

  • 一番好きな本。

  • めっちゃ面白かった。
    上巻で助走をつけといての、下巻の終盤にかけての怒涛の伏線回収。すごいとしか言いようがない。
    読んでて自然と微笑んでしまい、また別のシーンでは鳥肌が立つ。
    暖かくて素敵な愛の物語。
    何度でも読みたくなる最高の物語やった

  • あー、読み終わってしまったぁぁぁ。
    続きが気になる一方で、終わってほしくない気持ちもあり。 
    最終章、読んでちょっとビックリした。
    そうだったの?と。
    続きが読みたい作品。

  • 下巻で全てがピッタリつながって、「おおーー!」となりました。

  • 上巻に散りばめられた伏線を
    見事に回収していきました。

    というか、読んでいるときには
    伏線とは全く感じなかったそのセリフや
    その描写が脳裏に刷り込まれていて、
    うわー、そうゆうことだったのかー
    と、大納得の大満足でした。

    若くして、ある意味達観してるというか、
    またある意味で欠陥だらけで、
    そんなそれぞれの心情に、心が擦り切れそうに
    なったけれども。

    やっぱりハッピーエンドが一番だと、
    改めて感じました。

  • この作品が、私が初めて読んだ辻村先生の作品でした。最後に向けて、次々に伏線回収があり、読み終わった瞬間にまた上巻の最初から読み直してしまいしました。最初は気にも止めなかったセリフも全部繋がっていて、本当に素敵な作品でした。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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