最後の命 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 126
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767026

感想・レビュー・書評

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  • 人の悪意を主題とする作家だが、今回は悪というよりももっと命にフォーカスしてる印象です。ああ、タイトルがそうか。

    酷いトラウマから命と性の価値観をえぐり出す。キッツいと言えばまあそうだが、それでも読者を離さない引力があるのは何なんでしょう。

    他の作品以上に五感に迫り来るものがあります。数ある作品の中でこれが映画化されるのもなんとなく頷ける。

    聴覚にくるのは、眼下の踏切やジャズのレコードだったり。

    嗅覚は、あの現場が放つ異臭、その体験をかき消したいかのように「私」が吸い続ける煙草。

    性体験や雨に打たれる「私」からは、濃密な体感覚が。

    五感に響くディテール描写に、一気に引きずり込まれる。
    「私」が今まさに鉄棒を降り下ろさんとする時の畳み掛けるような描写には、身体の火照りを感じた。体温が1度くらい上がったんじゃないかっていう。


    ミステリー色も、少し謎を残しつつみたいな絶妙なバランス。「去年の冬~」みたいにあんまりトリッキー過ぎるのより、これくらいのほうがいい。

    これは中村作品のベスト3に入る。俺ランキング。

  • 東北は意外と暖かかったw

    ってな事で、中村文則の『最後の命』

    MKT文庫より

    いや、中村文則さんはホント凄いね。

    こんなに人間の内面を曝け出すと言うか、描写出来るというか……。

    幼い時の恐怖体験によって人生の影響が変わるのか、いや元々潜在的に潜んだ本性が制御が効かずに爆発的に出て来るのか……。

    飯食いながら読んでると吐き気が襲って来ました

    これよく映像化出来たね。

    生まれながらの悪人なんてのは居ないんじゃないかな。

    生きていく環境と体験によって人間は何人にもなっていくんじゃないかと感じた内容じゃった。

    2019年15冊目

  • このような犯罪の動機、トラウマを知りたくて本を読むのが1つの理由だ。それをこの小説で読む事が出来て扉が1つ開いた。 物語の中にすっと入り込んで、傷付き、えぐられるような感情になる。
    物語であるのに、中村氏の描く主人公たちには、少しでも光が見えて欲しいといつも思う。
    中村氏の作品は半分くらい読んでいるが、1、2位を争う大好きな作品になった。

  • 辛くてしんどくてもう読みたくないけど
    あとがきよんでパッと目が覚めてまた読みたくなる
    中村さんループ

  • なかなかセンシティブな題材だった。
    読み進めるうちに、主題がぼんやり見え始め読み終えた今もまだ、モヤの中…

    佐藤康智氏の解説で、唸る。
    私はまだまだだなぁ。笑

  • The中村文則。決して読み終わって良い気にならない。ある意味天才。

  • 最後に会ってから七年。ある事件がきっかけで疎遠になっていた幼馴染みの冴木。彼から「お前に会っておきたい」と唐突に連絡が入った。しかしその直後、私の部屋で一人の女が死んでいるのが発見される。疑われる私。部屋から検出される指紋。それは「指名手配中の容疑者」である。冴木のものだと告げられ―。

  • どうしてこの作者はこれほどまでに暗い話ばかり描くのだろう。苦悩のスパイラルから抜け出せずに、もがいて足掻いて落ちてゆく主人公の描写がたまらなかった。すらすら読めるけれど気持ちはよくない。術中に嵌っている。

  • うーんって感じ。 まずストーリーが全く面白くない。 最初から最後まで、主人公の心の葛藤が述べられているだけで話の展開がない。 自分自身を防衛するために自問自答し、色んな言い訳(理由)を考えて生きていくなんて誰しもあること。それこそそれを行動として表に出てくるかがどうかが人間としての忘れてはいけない理性。 そういったことをこの作家はどの作品でも書いている気がする。 ダメとは思わないが、なんでもかんでもそれでは息が詰まる。

  • 過去があったとしても、重要なのは、その後の過程さ。そこに問題があるんだ

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著者プロフィール

一九七七年愛知県生まれ。福島大学卒。二〇〇二年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。〇四年『遮光』で野間文芸新人賞、〇五年『土の中の子供』で芥川賞、一〇年『掏ス摸リ』で大江健三郎賞受賞など。作品は各国で翻訳され、一四年に米文学賞デイビッド・グディス賞を受賞。他の著書に『去年の冬、きみと別れ』『教団X』などがある。

「2022年 『逃亡者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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