新装版 ムーミン谷の夏まつり (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062769358

作品紹介・あらすじ

ジャスミンの香りにつつまれた六月の美しいムーミン谷をおそった火山の噴火。大水がおしよせてきて、ムーミン一家や動物たちは流され、ちょうど流れてきた劇場に移り住むことにした。ところが、劇場を知らないみんなが劇をはじめることになって…。国際アンデルセン大賞受賞作家の楽しいファンタジー。

感想・レビュー・書評

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  • 6月のある日、突然押し寄せた洪水で、ムーミン一家は住み慣れた家から避難しなければならなくなりました。
    近くに流れてきた大きな建物を新しい住まいにしたのですが、実はこれ、劇場の舞台だったのです。
    避難の途中で出会ったミーサとホムサ、劇場に隠れていたエンマなど、新たな登場人物たちが加わり、賑やかに物語が進みます。

    ムーミンを読んでいると、登場人物たちのマイペースさがうらやましくなるときがあります。
    各々がふるまいたいようにふるまっていて、それを周りもそのまま受け入れている感じ。
    のびのびしていいんだよ、と言われている気がして、読後にちょっとすっきりした気持ちになりました。

    ムーミンとスノークのおじょうさんの会話がかわいすぎて悶絶してしまいました。
    退屈していたスノークのおじょうさんは「わたしがすごくきれいで、あんたがわたしをさらってしまうというあそびをしない?」とムーミンを誘います。
    でも、考え事をしていたムーミンはあまり乗り気ではなく、やんわり断ってしまうのですが、しょんぼりしたスノークのおじょうさんにあわててかけた言葉がこちら。
    「きみがすごくきれいだ、なんてことは、あそびにしなくていいんだよ。きみは、いまだって、ちゃんときれいなんだもの。ぼく、たいていきみをさらっちゃうよ。あしただけどさ。」
    …なんだか読んでるこっちが照れちゃいます。

  • 読了した4冊では1番好き!
    好きだったのに1番印象が強いのが、ムーミンとスノークのおじょうさんの2人が家族と離ればれになった時、ムーミンママが「ああ、かわいそうな小さい子どもたち!わたしのかわいいムーミンぼうや!ひとりだけ、木の上に残されて!」って言っていて、ムーミンの心配ばかりでおじょうさんをガン無視してたこと笑
    いやおじょうさんもいるよー!可哀想だよー!って思ってしまった笑笑
    ムーミンママ定期的に酷い!
    大洪水でムーミン谷が埋もれてしまい、木に捕まってなんとか生きながらえてる谷の住人に向かって、ベランダからおはよう!と声をかける所、いやいや被災中でそんな笑顔でおはよう言えるか!ってツッコミしたくなる
    人の不幸を気にせず我を通すムーミン一家、ある意味この家族らしいと言えば家族らしいかな?
    そしてスナフキンは24人の子どもたちのパパになる!
    子育てに四苦八苦しているスナフキンを想像するともうなんか愛おしいというかおかしいと言うか…そこも結構好きな描写
    ブラックジョークではないけれど、みんな誰かしらをディスってるのが現実的に考えたらうわぁーって思うけどムーミンの世界だとクスッとしてしまう

  • アニメとはまた異なったメンバー。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
    演目・ライオンの花よめたち〜血の繋がり〜
    一幕劇 ムーミンパパ作
    出演・ムーミンママ、ムーミンパパ
    ミムラねえさん、ミーサとホムサ
    歌・エンマ

    入場料
    たべられるものなら、なんでもよろしい。

    風や雨がなければ、今晩、日がしずむときにはじめ、子どもがねるころに、おわる予定。
    場所は、もみの木湾のまん中。
    へムルたちがかしボート屋をします。

    劇場主
    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    スナフキンが公園から逃がした子供たちは、大半は劇場の役者に。役者にむいていない子供は、フィリフヨンカの養子に。
    ずっと悲劇のヒロインぶった身勝手な発言の多いミーサと、なぜか一緒にいるホムサはその後も劇場へ。ミーサは一生かわいそうな劇をできるし、ホムサは舞台監督になれる。
    ムーミンママが、木の上で寝ることにしたムーミンとスノークのおじょうさんのために、朝食を用意して木の枝に下げておいたのもさすがだし、そのサンドイッチの包み紙に書かれた文字にもほっこりした。「チーズ」、「バターだけ」、「上等のソーセージ」、「おはよう これは、パパからのです(カニの缶詰で、ムーミンパパが春から残しておいたもの)」p103

  • この巻からいつの間にかいなくなったキャラが色々。
    でも、ムーミンにおじょうさん、スナフキン、ミィ、パパ、ママと、ムーミンといえば、のキャラが勢ぞろいしてる気がする。

    ミーサを見て、不満ばっか言いすぎないように、なるべくハッピーなことを言うようにしようと思った。

  • ムーミン谷は平和なところと漠然と思っていたが、思いのほか厄災が多いのだなあと感じました。とんでもない大災害だと思うが、ファミリーのやさしさと強さで明るくしたたかに乗り切っていくんですね。
    スナフキンが「おじさん」と呼ばれるのに衝撃をおぼえました。永遠のお兄さんのように思っていたけれど、確かに、小さな子どもたちから見るとおじさんなのだろうな。ムーミントロールには永遠のお兄さんだとしても。
    ムーミンパパはいつも通りのスーパーマン。ダ・ヴィンチ以上の天才だと思います。
    ムーミントロールはいつでも優しく雄々しく、彼のそばにいればきっと何があっても大丈夫って思えそうです。けっこう甘えん坊なんだけど、ムーミンママの優しさとぴったり呼応してますね。
    ムーミンママの家族を思う気持ちがいつでも胸に優しくしみてきます。
    今日は素敵な本を読み終えました。

  • ①あっ!スナフキンが成長している(絵も)。
    ただのいたずらっ子ではなく、
    自由を求める旅人感が大幅アップ。
    ②ムーミントロールがスノークのおじょうさんに
    ベタ惚れなのがわかりやすいが、
    機嫌を取るのにも長けていて「あんたやる男だね~」。
    ③やっぱりムーミンママは安心安定の大黒柱。
    ④これまでよりフリとオチ、伏線の回収がハッキリ。

    (スニフちゃん休憩の中)クセのある仲間が
    次から次へとわいてでてくるし、
    天災からの不思議な冒険は取り残された二人、
    漂流する一人、残された人は劇場デビューと
    着地点が見えない。
    でも、最後には「そうなるとわかっていたよ」
    と言わせられる様な、幸せな結末を皆が迎えられ、
    めでたし、めでたし。

  • ミーがなにか動物の後ろ足に噛みついている挿し絵、ライオンに扮したビーバーの脚だった!

    アニメによく出てきてたフィリフヨンカさんとこの子供たちは、スナフキンが連れてきた子たちだったのねー

    緩急ついた楽しい話

    〇〇しなくっちゃ!と思ってる(べき論の)ひとが、ムーミンたちと話して気楽になっていくところもいい。

  • 洪水で水びたしになったときのムーミンママのセリフがすきです
    なんどでもまた読みたくなる本

  • 火山の噴火に津波、洪水、住んでいたお家を離れたり、家族と離れ離れになったりと普通だったら絶望してしまう場面でも皆マイペースに前向きに過ごすムーミン谷の人たちが好きです。


    一度はバラバラになった皆が元のムーミン屋敷に戻る流れも面白くて一気読みしました。あとスナフキンがまさか24人の子持ちになるとは予想外すぎて…意外と面倒見良くてほっこり。

  • 火山の噴火に洪水・津波。ムーミン谷を災害が襲い、郷里を離れることに。流れ着いた建物に住むことにしたがそこは劇場だった。劇を知らない者たちで作り上げる劇場とは。
    災害を経験しながらも楽しむことができる点がさすがだと思う。普段と違う景色を楽しみ、失ったものをもっと素敵なものに変えられると楽しむ。ムーミンママはお皿を洗わなくて良いと言う。大事なのは共に過ごす者たちが幸せであることなのだ。
    一方、1人旅をしているスナフキンは子供たちの面倒をみることに。子供は好きじゃない様子だけど面倒見が良いため、子供たちから信頼を得ている。
    「たいせつなのは、じぶんのしたいことを、じぶんで知ってるってこと」。私もスナフキンに教えられた。

  • 盛り上がるところ、ゆったりしたところ、静かなところ、緊張感のあるところ…などがくっきりと分かれていて、緩急ついた話の構成にとても楽しませてもらった。スナフキンの警戒心や責任感の強さはアニメ以上によく表現されていて、今まで以上に好きになった。良くも悪くも某ヨクサルの育て方が出たのかなと思った。
    みんながそれぞれなんの悪意もなく自分の意思に従って好きなように行動しているところが、現実から切り離してくれるみたいでとても安心していた。本を読み終わって、今すごく幸せな気持ちなのでこのままいなくなりたい。
    ムーミンママの言動がいちいち心にきて泣きそうになった。実家に帰りたい。

  • ムーミンは子供のころから大好きです☆お話もですが、挿絵がイイ!大人も子供も楽しめます。 お話については、結構エグい言葉も出てきて、えっ⁈って思いました。スナフキンがぶち殺すとか言っちゃってるし(笑) でもやっぱり癒される物語です。ミーサとホムサは将来結婚するかしら(・ω<)☆

  •  物語の中で一番の盛り上がりは演劇の部分。他にも劇場や役者について人生と関連付けて語らえているところがある。個人的には、たくさんの選択肢の中からよりも、二択の方ががずっとまし、というセリフが興味深い。モノがあふれている日常で、本当に必要なものは何かを見失わないようにしたい。

  • 結構くせがある書き方なんだなぁと思う。

    翻訳ってのもあるんだろうけれど。

    国によって、日本語に訳しても、その国の考え方であったり、表現の仕方であったりというクセがある。

    多分フィンランドの作家さんは初めてだったから、ちょっと慣れないところがあったのだろうと思う。

    そういえば、「ヘイフラワーとキルトシュー」っぽい感じがあるかも。各自自由なことをしていてドタバタしながら、突拍子もないことが入り込んできて、まぁそれもいいじゃない、と大団円、みたいな。


    それって、とっても幸せなお話だなぁなんて、思う。


    意外だったのは、ミーサの存在。あんまりお話でこういう厄介な人、出てこないよね。

    それもいいじゃない、そんなのもアリよ、という懐の深さは、とてもいいなと思った。

  • 「すべての人間は劇の役者でもあり、観客でもある!」という考えに、究極の連帯と孤独を感じる。

  • スナフキンの一言

    「たいせつなのは、じぶんのしたいことを、じぶんで知ってるってことだよ」

    自分に聞いてみましょう。

  • 登場キャラクターのそれぞれが生き方、思想の軸を持っていて非常に魅力的。『たまには、じぶんの家を、下のゆかからじゃなく、天井からながめるべきだよ』『ここには、わけのわからないことがいっぱいあるわ。だけど、ほんとうは、なんでもじぶんのなれているとおりにあるんだと思うほうが、おかしいんじゃないのかしら?』『「べからず、べからず」と書いてあるたてふだなんか、全部ひきぬいてやるぞ!』

  • 洪水が起こって家が沈んでしまった一家は劇場に移り住む。
    ムーミンとスノークのお嬢さんは一家とはぐれ、
    ちびのミイは水に流されスナフキンと会う。

    一家は劇を上映するために準備をし、
    ムーミン達はフィリフヨンカと出会い、
    スナフキンは公園のたてふだを全部燃やし、
    ろうや番のへムルがその犯人を追う。
    彼らがみんな劇場に集まって・・・

    という、なんだかムーミンシリーズにしては珍しく
    伏線とその回収がとてもスムーズな印象。
    3組のストーリーが交互にすすんでいって、
    「シナリオをえらんでクポ」状態。

    スナフキンとミイ(実は異父きょうだい)のコンビが面白かったし、
    24人の森の子供達の面倒を意外とちゃんとみている
    スナフキンが微笑ましかった。

  • 洪水と劇場の物語。
    ムーミンバレーパークの舞台の一つなので訪れる前に読むと、楽しいかも。

  • 2023/10/3読了

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著者プロフィール

1914年、ヘルシンキ生まれ。画家・作家。父が彫刻家、母が画家という芸術家一家に育つ。1948年に出版した『たのしいムーミン一家』が世界中で評判に。66年、国際アンデルセン賞作家賞、84年にフィンランド国民文学賞を受賞。主な作品に、「ムーミン童話」シリーズ(全9巻)、『彫刻家の娘』『少女ソフィアの夏』(以上講談社)など。

「2023年 『MOOMIN ポストカードブック 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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