彼の女たち (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062772433

作品紹介・あらすじ

奇跡のジョイント小説
嶽本→角田→唯野→井上→江國
人気作家がバトンタッチして物語を紡ぐ!

忘れたくても忘れられない18年前のあの夏。女たちは、パンクバンド「ガーゼ・スキン・ノイローゼ」のボーカリスト、Jに出会い、人生が変わった。風俗嬢、太った女子高生、父を探す17歳、偽高校生、秘密を抱えるOL。復活ライブで明らかになる女たちの姿を、5人の作家が見事に描き出す。(『JOY!』改題)

幻のように消えた一発屋ロッカー・J。彼に翻弄された女たちの姿が、5人の感性によって見事に浮かび上がる!
嶽本野ばら ライブハウスの大音響を愛するクレバーな風俗嬢
角田光代 「最下層」にいる、必死に痩せようとする女子高生
唯野未歩子 パパと再会すればママが女性に戻れると信じる17歳
井上荒野 ぺらぺらのセーラー服を手放せなかった偽高校生
江國香織 弟と密接すぎる関係にあったOL

感想・レビュー・書評

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  • 作者それぞれの味があって面白かった。

    個人的には角田さんの編が、泥臭いと言うか、ベタベタと言うか、とても生々しくて一番良かった。

    でも、これだけの書き手がいて、それぞれ少しづつリンクする連続短編を作れること、その技術に素直に感動した。

  • バブルの頃の、パンクロッカーJOYをめぐる5人の女性たちの話を5人の作家(嶽本野ばら・角田光代・唯野未歩子・井上荒野・江國香織)がかいた競作です。

    これを読もうと思ったのは、唯野未歩子さんの小説が気になり、まず短編から読んでみたいと思ったのがきっかけなんですが、唯野さんのも面白かったですけど、やっぱり、昔からファンの角田さんと江國さんが、かなり対称的な主人公ですが、面白かったです。

    角田さんのノンコの話は、すごく生活感が出ていて、ノンコがイタいというレビューも何件かみかけましたが、私は、ノンコは自分では楽園にいると信じているから、他人からみた現実と違っていても、精神的に、一番満足して、幸せなんじゃないかと思いました。

    江國さんのお話は、一番JOYの人間的なところが出ている気がしましたが、ストーリーとしては角田さんと真逆なかんじで、冷たくて異国のような雰囲気がよかったです。

  • ‪めちゃめちゃめちゃ面白かった。私がバンギャだからかもしれないけど。
    イタいところも含めてJがかなり魅力的、に思えたのはJに惹かれて狂わされた女の子を通してJのことを見たからなのか。Jのバンドマン時代を知らない百ちゃんから見た縄田さんもかなり魅力的だったな、くたびれててわけわかんないけどたまにとても信用できて落ち着く感覚、わかる好き。あと野ばらちゃんの章も気に入った。
    そして最後の5人の対談も楽しそうで好きだった。楽しんで書いて下さってありがとう、の気持ち。ピエロより道化師、わかる!

  • またまたとんでもなくつまらない本を読んじまった…

  • 短編連作を五人の作家がリレー方式で受け継いで著している。本書の最後に五人の対談が掲載されているが、五人で綿密な話し合いの上で作り上げた連作だということがわかる。
    実験的であり、それぞれの作家の特徴もちゃんと表現されている面白い作品に仕上がっている。
    中心人物であるパンクロッカーの「J」を彼を取り巻く女性によって表現していく。直接的に「J」著したした文章や部分は皆無と言っていいが、周りの女性達によって過去、現在の姿が浮き上がってくる。その人物像は矛盾がなく、一人の人間として読者に伝わってくる。
    なかなか面白い企画の作品だと思った。  

  • "正真正銘の十代の娘たち、まだ何も知らない、自分たちはもう何でも知っていると思っているに違いないけれど本当は何も知らない娘たち"
    "誰だって、生きられるようにしか生きられないのだ"
    井上荒野

  • 5/10.
    コンセプトとしては良かったです。時が去れ、人は老け、時代は流れ。切なさを感じた。

  • 野ばらちゃんが書いていたのに釣られて購入。野ばら節全開で良かった。他の作家陣も錚々たるメンバー。
    一人の男の人を通して彼女たちの心の中が語られる。ファンだと言いつつ、ジェイさんの事を好きな人は実はいないようで…。
    個人的には後書きの、みんなの対談が面白かった。ああ、こんな人なのねと人柄が伺えて、皆さま楽しそうでした。実際、書いてて楽しかったんじゃないかな。

  • 角田さん、井上さんの名前で手にした作品。
    他の3人の作家さんは初めてだったけれど、どれもこれも入り込んで楽しめました。
    1人のミュージシャンを介した5人の女性を、それぞれ作家さんが描いているんだけど、全く違和感を感じることなく繋がっており読み進められたことが驚きでした。
    本当に面白かった~!

  • 豪華5名の作家によるアンソロジー。リレー形式というのか、一人のパンクミュージシャン「J」を取り巻く5名の女性をそれぞれの作家が描くことで、彼と彼女たちの関係を徐々に明かしていくという形の作品。
    5名の作家が書いているのに、不思議と各章のつながりに違和感はない。面白かった。

    80年代のグルーピー精神とか、パンクミュージシャンとか、そういったものに好き嫌いがあると思うので、読む人それぞれかなぁ、とは思うのだけど…

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    忘れたくても忘れられない18年前のあの夏。女たちは、パンクバンド「ガーゼ・スキン・ノイローゼ」のボーカリスト、Jに出会い、人生が変わった。風俗嬢、太った女子高生、父を探す17歳、偽高校生、秘密を抱えるOL。復活ライブで明らかになる女たちの姿を、5人の作家が見事に描き出す。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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