星が吸う水 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774796

感想・レビュー・書評

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  • 村田沙耶香ワールド全開

  • 今回はとくに性に対して強くかかれていました。
    主人公の考え方は中々共感することが少ないですが、それでも読むことをやめれないから中毒性が強いです。

    2つの話とも愛があってする行為ではなく
    ただ単に自分のものを抜きたいからする行為。それが辞められない、だけどそれが自分の普通だから他の人に理解できなくても別に構わないんだと思った。


  • 「星が吸う水」
    性や恋愛への考え方の違う3人が、お互いがお互いをそれぞれの方法で思いやりながら、分かって欲しくてすれ違う。30代女性3人の友情物語のような。分かってもらいたくて、近づこうとすればする程、分からない相手は遠ざかっていく。それぐらい違うなら、多少ムキになってでもぶち壊すなにかが必要なんだろうなぁ、なんて思う友情的な?ラストが村田さんの作品の中では新鮮にも感じた。わざわざ作ったオーダーメイドの性の形を隠さなくてはならないのには、私も納得できない。

    「ガマズミ航海」
    性行為じゃない肉体関係をしたい。それってなんなの?と思う反面、気持ちは分からんでもないとも思う。セックスをすれば深い関係になっただとか、煩わしいと思う。結局のところ、性行為じゃない肉体関係=ガマズミを実際にするのは難しそうだけれど、そういうものを必要とする人ってきっと増えてきてるんじゃないかなぁ、なんてのは空想だろうか。

    村田さんの書く「死」には生の熱がすごく詰まっているのに、性はなんだかいつも中立というか無機質というか。あまり熱っぽさを感じない。これだけ「性」を押し出した作品だからこそ、村田さんの他の作品ほどの狂気や熱量を感じなかったのかなぁ。

  • はじめと比べるとかなり腕を上げた人なんだな

  •  
     私たちは性欲=性行為(セックス)と愛(親密性)を否応なく結びつけてしまう。愛がなければ性行為をしてはいけないし,性行為をするならば愛がなければいけない,と。それこそが「本物」であり,それ以外は存在しないと考えてしまう。

     でも,果たして,そうなのであろうか。「本物」とは「偽物」があるから存在しうる。いや,「偽物」を「本物」だとみなすから「偽物」が存在するし,その意味で「本物」も存在する。たとえば,グッチの鞄の模造品を「グッチの鞄」とみなすから,「偽物」と「本物」があるように,性行為without愛を性行為with愛とみなすから,性行為without愛が偽物,性行為with愛が本物になる。本来は異なるものをあるモノと同じとみなすから,本物と偽物が生まれる。

     それらは本来異なるものである。ただ,似ているだけである。グッチの鞄であれば,細く見ると,似ている部分と似ていない部分が目に見えるので,それらが本来異なるモノであることがわかる。しかし,性行為with愛と性行為without愛では,目に見える部分(性行為)が似ていて,目に見えない部分(愛)が似ていない。だからそれらは切り分けがつかない。ここに両者の難しさがある。

     それらが本来異なることを知るためには,目に見えるようにするしかない。あるいは,身をもって体験するしかない。でも,どうやって?それがまた難しい。この点がそれらの切り離しがたさをさらに難しくしている。目に見えない部分が似ていないという難しさに加えて,目に見えるようにする,あるいは,体験することの難しさという二重の困難。

     本書はこの二重の困難に正面から向き合う。性欲と愛の分かちがたさという自明のつながりを改めて問い直す。あるいは,人と人との親密なつながりについて,親密とは何かについて。あるいは,性欲について,愛について。

     「本物」とはいったい何なのだろう。
     

  • 物語に出てくる人々それぞれの性について共感できる部分が大きかった。

  • どちらも男女の性の非対称性に疑問を持つ女が主人公

    『星が吸う水』
    性とは男が興奮して女が受け入れるものだという規範を見せられすぎたせいで、主体的に性を求める自己を正しく表現出来ずにもがく主人公
    鶴子ほど捌けてないにしてもわかる、わかるよ〜おかしいよね、非対称だよね、って共感して読んでたら友達の梓から「綺麗事だ」と突き放される
    梓も正しいからやってるわけじゃない、生き抜くためにやってると。それもわかるのだけど、でも…
    志保が不完全燃焼な気がするなあ。


    『ガマズミ航海』
    男女のセックス描写を読んで悲しくて涙が流れたのは初めてだわ。肉の袋という表現がとても生々しく残酷で真実だ。そして男も肉の棒であると感じる時もある。セックスは2人でやるもの。

    美紀子も梓もタイプは違うけど2人ともまじめに「女」をやっているのだと思う

  • 面倒くさいね。

  • 村田沙耶香の性の捉え方に 毎度真剣に向き合ってみようと思うが今回もなかなか難しかった

    性行為じゃない肉体関係があったら うまく生きられるのだろうか。。?

    価値観がグラグラさせられるし 人体の不思議の追求のようだなと思う

    でも それだけじゃない人間心理だったり 女性としての性のあり方がリアルで 伝わる人には伝わるんだなと納得する

  • この作家は、はじめて読んだが、なかなかに面白い。女性がこんな風に思うのだな、と言うより性別を超えている、ザ・村田沙耶香という感じ。クセがつよいんじゃ、か。

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著者プロフィール

村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年千葉県生れ。玉川大学文学部卒業。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。その他の作品に『殺人出産』、『消滅世界』、『地球星人』、『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。

「2021年 『変半身(かわりみ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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