漱石の妻 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062775687

作品紹介・あらすじ

文豪・夏目漱石の妻は本当に悪妻だったのか? 心に病を抱えた漱石との戦場のような夫婦生活が、妻・鏡子の視点から描かれる。

感想・レビュー・書評

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  • お互いに気持ちがあっても
    どこかのポイントでボタンをかけ違ってしまって
    素直な気持ちが伝わらなくなるなら 本当に関係性は難しい。 漱石の妻は悪妻であったという通説も、こうして視点を変えて切り取ると、誰もが知る日本の誇る文豪としての伝記ではなく 不幸な生い立ちを乗り越えきれない男と、苦労知らずで育って夫を理解できない妻が、それでもなんとか夫を理解して包み込もうと奮闘する不器用な者同士の切ない夫婦関係として胸に迫った。

  • 悪妻と謳われた夏目漱石の妻、夏目鏡子の物語。
    読んで、初めに思ったことは、ふたりとも子供だったのだなと言うこと。
    だが、時が経ちふたりとも徐々に寄り添うように成長していく。
    漱石は、神経病や胃潰瘍などで妻や子供たちに手を上げたことも数知れずあるらしい。
    だが、修善寺で倒れて無意識のうちに『妻は?』と、鏡子を探した所に妻への思いが表れていたのではないか。
    互いにぶつかり合いながらも心の底では惹かれあっていたのだと思う。

  • 鏡子さんが可愛い。

    お嬢さんとして育てられた、幸せになるべき子が、蹴倒され、引き摺られしている姿が辛すぎる。
    初めて、寅彦に恨み言を覚えてしまった作品(笑)

    しかし、漱石も壮絶だったなー。
    修善寺の大患シーンは、きっと作者が想いを込めて書いたんだろう、外で読んでいたのに泣きそうになった。
    凄まじい描写の中に、鏡子が救われるたった一言が漏れ出て、その一言をずっとずっと反芻している鏡子が、やっぱり可愛いと思うのだ。

    自分が憎み慕う相手ばかりがどんどん脚光を浴び、その裏で肩身の狭い思いをし続けた彼女が、それでも終わらせてはなるまい、と堪えた。
    そんな姿は、誰がなんと言おうと、妻なのだと思う。

  • ハセヒロさんの漱石と尾野真千子の妻、NHKのレベルの高い画、全部素晴らしい。大河ドラマのような濃厚なドラマでした。

  • 『漱石の妻』 鳥越碧著 : 文庫 : 本よみうり堂 : YOMIURI ONLINE
    http://www.yomiuri.co.jp/book/bunko/20130828-OYT8T00425.htm

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    「・鏡子の目から描く、戦場そのものだった夫婦生活。
    それでも別れなかった二人の心の機微。
    文豪の妻はなぜ悪妻と呼ばれたのか

    悪妻として知られる夏目漱石の妻・鏡子。潔癖症の漱石と、おおらかで大雑把な鏡子の夫婦生活は、船出から食い違い、英国留学を経て重度の神経症を患った漱石との暮らしは大波に揺れる。鏡子はなぜ悪妻と呼ばれたのか? 二人はどうして別れなかったのか? 余人には窺い知れない夫婦の絆を妻の視点で描く。

    どれが自分たち夫婦の真実であったのだろうか。
    自分にとっては真実であったとしても、金之助には果して真実であったかどうか。夫婦の真実など、この世には存在しないものなのかもしれない。夫婦とは何なのだろう。もっとも近くにいて、もっとも遠い存在なのか。――<本文より>」

  • 恥ずかしながら、この本見かけるまで漱石の妻=悪妻説を知らず。
    漱石を妻の視点から描いており大変興味そそられた。漱石の名作の妻からの見え方等成る程新鮮。「妻は?」の下りでは涙した。
    この本によると漱石はスーパーDV。精神の病かつ胃の病かつ他の持病、これらの病気が事実なだけでも、執筆を支えつつ6人の子を育て上げる妻は並大抵の苦労ではないのでは。
    ただ悪妻説も根強いらしく、「道草」では精神の病持ちが鏡子というような書き方がされているし、どういう所為を切り取っての悪妻説なのか、そちらも読んでみたくなった。

  • 時間があれば。

  • 男の嫉妬はタチが悪いということか?女性の集団がどうなのか今一つ判然としませんが、野郎の集まりはともすれば濃厚な関係が成立しますからな。
    どう見ても悪妻とは思えんのですけれど鏡子さんは、逆にちょっと可愛らしい感じを受けるからなおさらに。

  • H28/2/13

  • 鏡子さんが悪妻だろうが、そうでなかろうが、好きです、漱石先生!新聞に掲載される小説をわくわくしながら読む、その時代に生まれるべくして生まれた大作家。行ってみたいなあ、その時代に。

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著者プロフィール

1944年、福岡県北九州市生まれ。
同志社女子大学英文科卒業。商社勤務ののち、90年、尾形光琳の生涯を描いた「雁金屋草紙」で第一回時代小説大賞を受賞。
主な作品に、「あがの夕話」「後朝」「萌がさね」「想ひ草」「蔦かづら」「一葉」「漱石の妻」などがある。
また、近著の「兄いもうと」では、妹・律の視点から正岡子規の壮絶な生涯を描き切り、子規の解釈にも一石を投じた。

「2014年 『花筏 谷崎潤一郎・松子 たゆたう記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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