血の裁き(上) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778480

作品紹介・あらすじ

セルビア民兵組織元リーダーの生体肝移植を成功させた外科医ハモンドは、リーダーの娘に脅され、やむなく組織の会計係の行方を追う。

感想・レビュー・書評

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  • ゴダートらしく、ハラハラさせる展開だが、ある程度は予想がつく。

  •  高額の報酬のひかれて、肝移植手術をした患者は、テロリストのリーダーだった。

     読後、<善意の行方>って言葉が自然に浮かんできた。
     思えば、ゴダードの最初は「蒼穹の彼方に」で、あれも結局のところ<善意の行方>がテーマだった。
     
     テロリストの命を救ったことで、主人公は脅され困難に巻き込まれる。
     そう、どこにいってもなんだかんだと、彼はやっかいに巻き込まれて更なる困難に対面する。
     が、「蒼穹の彼方に」と絶対的に違うのは、彼はこの困難の所以を知っていることだ。
     
     知っていても、振り払えない運命に、人はどう対面するのか。
     
     決してヒーロータイプではない主人公が、むしろ人が良すぎてさらに困難を招き入れる彼は、人の不屈の魂を象徴しているように思う。
     うん。人は、必要であればとことん強くなれるのだ。
     そういう柔軟性をもっているのだ。

     にしても、高額の報酬にひかれて、とはいえ、多分彼は患者がテロリストでのちに自分を窮地に陥れるとわかっていても、患者を助けるだろう。「蒼穹の彼方に」の主人公も、自分の行いゆえにこうなったと知っても、原因になった行動をやはりするのだろう。

     <善意>が<善意>のままで終われない、人の矛盾と改めてゴダードは対峙するつもりなのだろう。
     うん、ゴダードは次のステージに進むつもりらしい。

  • レビューは下巻にて。

  • ゴダードの新作は医師が主人公。
    相変わらず二転三転するプロットと、次々と現れる新たな敵に目が離せない。

    最早、講談社しか邦訳を出してくれないので贅沢は言えないが、前作同様、この厚みなら1冊に纏めて欲しかった……。

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著者プロフィール

1954年英国ハンプシャー生まれ。ケンブリッジ大学で歴史を学ぶ。公務員生活を経て、’86年のデビュー作『千尋の闇』が絶賛され、以後、作品を次々と世に問うベストセラー作家に。『隠し絵の囚人』(講談社文庫)でMWA賞ペーパーバック部門最優秀賞を受賞。他の著作に、『還らざる日々』『血の裁き』『欺きの家』(すべて講談社文庫)など。

「2017年 『宿命の地(下) 1919年三部作 3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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