- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062920575
感想・レビュー・書評
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津浪と人間の章では、昭和の三陸沖津波のことをとりあげ、人間が喉元過ぎれば忘れてしまう生き物であることに警鐘をならしている。ほんの七十年前に書かれた文章である。今回も教訓は活きなかったのである。
後書きは失敗学の畑村洋太郎さん。東日本大震災でも調査に活躍した。畑村氏も寺寅も、責任追求より原因究明と言い続けているのだが、どうも、一般の人たちの(エンジニアの職についている人たちも含めて)理解を得ることができていないようだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
各社から寺田虎彦の同類のエッセイ類を集めた本がいくつか出版されているが、畑村先生の解説と併せて読めるといった点で、本書が一番ではないか。
東日本大震災のことを後世にいかに伝えていくかということを考えた時、収録されている「津波と人間」をテキストとして子どもたちに伝え考えさせるということをしてはどうだろうか。
畑村先生の『未曽有と想定外』(講談社現代新書)と併せて、是非読んでほしい一冊である。 -
火事教育…防災教育に繋がる。
天災と国防…p15…これほど大事な神経や血管であるから天然の設計に成る動物体内ではこれらの器官が実に巧妙な仕掛けで注意深く保護されているのであるが、一国の神経であり血管である送電線は野天に吹きさらしで風や雪がちょっとばかりつよく触れればすぐに切断するのである。市民の栄養を供給する水道はちょっとした地震で断絶するのである。…それで、文明が進むほど天災による損害の程度も累進する傾向があるという事実を十分に自覚して、そして平生からそれに対する防御策を講じなければならないはずであるのに、それがいっこうにできていないのはどういうわけであるか。…しかし昔の人間は過去の経験を大切に保存し蓄積してその教えにたよることがはなはだ忠実であった。過去の地震や風害に堪えたような場所にのみ集落を保存し、時の試練に堪えたような建築様式のみを墨守して来た。それだからそうした経験に従って造られたものは関東震災でも多くは助かっているのである。 -
解説の畑村氏の文章も、ボリューム内容ともによい。