宿命の地(下) 1919年三部作 3 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936637

作品紹介・あらすじ

一九一九年春、第一次大戦後のパリではじまった愛と憎しみの国際諜報戦は、スコットランド、ロンドン、マルセイユを経て、夏の日本へ。英・米・独・露のスパイに運命を翻弄されたマックスは、東京で亡父の真意を知り、謎に包まれた京都の古城に潜入、囚われ人を救出しようと試みる。
三部作、感動の完結篇。

感想・レビュー・書評

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  •  3部作の最後。

     舞台は日本へ。

     で、主人公がなかなか出てこない。本がこれだけの暑さがあるので、このままってことはないよね、って思って読んでるし、実際そうなのだけど、そこまで引っ張っていくのが上手い。
     そして、登場してきて…。
     いきなり、話が展開し始めるあたりも上手い。
     やっぱり、ゴダードは職人です。

     ただ、日本が舞台っていうのが、ちょっとね。
     多分、外国人の思う日本ってこういう感じなのね、って。もっとも、それゆえにものすごくエンターテイメントぽくなっていて、このまま映画化すればいいのにって感じになっている。
     うん。非常にビジュアル的だよね。

     キャラクターも、個々がわかりやすい。というか、王道。
     特に、マックスの王道っぷりがすごい。あと、サムの相棒っぷりも。

     で、最初、戦争に生き残ってちょっと燃え尽き症候群っぽかったマックスが、この3部作の中で、ちゃんと地に足がついた感じになっていくのがよかった。
     傷ついた心は、結局のところ自分でしか、自分で何かをのりこえなければ、癒せないってことなんだろう。

     面白かった!!

  • 最終章はまさに日本で「全員集合!」

    近代化の進みつつある都市部から、その影響が及んでいない地方まで、大正時代の本州各所の風景が情緒豊かに再現されている。こんなドラマチックな物語の締めが日本でいいの? と不安になったけど、前二作よりストーリー展開が単調になっているわけではない。スイスのレマン湖周辺がもうひとつの舞台に設定され、ここでも大胆な作戦行動が繰り広げられる。

    言葉の通じない異国で敵に気付かれぬよう行動を制限されるマックスたち。裏切りや謀略といったスパイ色が強かった前二作に比べて、本作品は「脱出」が大きなテーマ。持ち駒も協力者も少ない中で窮地に陥るという目の離せない展開を経て、ストーリーは波乱のクライマックスに突入する。

    終盤近くに挿入されたあるシーンが印象的。この壮大な物語を振り返って、親子の絆や受け継がれる気質、時代の流れが導いた運命的な出会いに感慨を覚えて、あー、やっぱりゴダード作品なんだなと痛感させられたのが嬉しかった。

  • 主人公のマックスの出生の秘密やサー・ヘンリー・マクステッドが本当にやりたかったことが明らかになる。それを知ることで、サー・ヘンリーやマクステッド夫人(ウィニフレッド)の隠されていた哀しみに触れられる。物語ではたくさんの死人が出る。この作品では、テロ行為に近い派手な殺し合いをするのではなく、スパイらしく闇や裏で静かな殺人が行われる。とても自分好みである。スパイは派手にやらかしてはいけない。静かに地味に確実に、そして弾数は少なく殺るのがいいのだ。それをシリーズ全体でスジを通したのが本三部作である。

  • 3部作の完結編。
    いや〜、面白かった。主人公の出生の秘密に関しては、割と早い段階で予想がついてしまうのだが、それでもスリリング。ゴダードは本当に上手いなぁ。そして続編もあるらしい……。

  • 人物が多過ぎるので、人物表がついていて本当によかった。
    人物もどんどん出て来て、場所もどんどん移動して、事件もどんどん起きて、アクションもどんどん繰り広げられ、人もどんどん…と、てんこ盛りの大サービス。

    今までのゴダードの重厚な歴史ミステリを期待して読むとちょっとしんどいかな。

  • ついに真相が明らかになる。
    予想もしなかった人の協力
    京都北部山中にある残骸城への潜入
    そしてクライマックスへ。

    話は次々と展開し、最後の最後まで形勢は逆転に次ぐ逆転。
    その後の話の展開の種も蒔かれる。

    舞台となる大正時代の日本の描写に違和感はない。イギリスの人は、この本で描かれた日本をどの様に感じたのだろうか?

  • スパイ大作戦inジャパン

  • 日本が舞台。海外の作家が、日本を舞台に作品を書くと言うのは珍しいですね。

    中々きちんと調べて書いているようです。厳密にみれば突っ込みどころはあるのかもしれませんが、それほど妙な日本には描かれていません。

    マックスの活躍は、この作品で終わりかと思いきや、実はこの後の作品にも出てくるそうです。確かに、そのあとにも物語が続きそうな雰囲気ですもんね。

  • 歴史ミステリの匠が描く三部作、終幕の舞台は日本! 亡父ヘンリーはなぜ命を賭してまで秘密情報を売ろうとしたのか。自らの生誕をめぐる隠された真実とは。答えを求めて、マックスは日本に向かうが―大正八年の東京、横浜、京都を舞台に描く、感動の完結篇!

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著者プロフィール

1954年英国ハンプシャー生まれ。ケンブリッジ大学で歴史を学ぶ。公務員生活を経て、’86年のデビュー作『千尋の闇』が絶賛され、以後、作品を次々と世に問うベストセラー作家に。『隠し絵の囚人』(講談社文庫)でMWA賞ペーパーバック部門最優秀賞を受賞。他の著作に、『還らざる日々』『血の裁き』『欺きの家』(すべて講談社文庫)など。

「2017年 『宿命の地(下) 1919年三部作 3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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