その愛の程度 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065172476

作品紹介・あらすじ

結婚して、離婚して、新しい人に恋をして、
それでも「家族」は続いていく。

2019年本屋大賞2位『ひと』で話題の俊英がおくる、新しい家族の物語。

川遊びの最中、小学生の娘・菜月が友人の娘と溺れるのを見て、とっさに助けに飛び込んだ守彦。
必死の想いで引きあげた腕の中には、菜月ではなく友人の娘がいた。

「お父さんは菜月をたすけてくれなかったもん」

その言葉を最後に、口をきいてくれなくなった血の繋がらない娘。七歳年上の妻ともすれ違いはじめ―――。

困り果て、とりあえずの間と家を出る守彦だが、会社の後輩や、川遊びに来ていたシングルマザーとの何気ない会話の中で、娘と妻への本当の気持ちに気づかされていく。

いつもあと一歩が踏み出せない、不器用な守彦の出す答えが心にしみる、新しい家族の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 20240316

  • 今まで読んできた小野寺さんの本よりほっこり度少なめ。そんな都合よく行かないよね。
    でも、この人の本をもっと読みたいって思ってしまうんだなぁ。

  • 再婚相手の娘
    バツイチの女性

    色んな人から逃げられちゃう可哀想な主人公の話。
    ではないかな。笑

    真剣に相手と向き合わなくても良いときもある。
    そんなゆるっとした愛がほどよいときもある。
    でもちゃんと決断して行動しないといけないときもある。

    どんな愛の程度がベストかなんて分かんないんだよねぇ。
    色んな人生あるなぁって読んでてすごい面白かった。

    いい相手みつかるといいなー

  • 主人公がもう少し救われて欲しかったです。
    単純に言えば価値観が合わなかった事になるのでしょうが、元妻にも結衣さんにも振り回されて。
    特に結衣さんの復縁を選ぶと言う決断が、それまでの主人公の優しさを結果的に弄んだようで嫌でした。

  • 主人公の男性は悪い人ではないんだけど女性からするともう少し決断力と言葉で伝える表現力がほしいところ。
    スカしてないのにスカして見られるタイプなんだろうけど、だからこそ密に自分の気持ちを伝えたり相手の気持ちを聞いたりしてほしい。と自分も同じタイプだから自戒を込めて思ってしまう。
    みっともなくても理解が及ばなくてもいいから、とにかく言葉で伝え合ってさえいれば、彼は自然と違う道を歩んでいたのではと。

    対極にいるかのような後輩くんの思考・選択は全くもって理解できなかったがどこか憎めない。彼を好きになった主人公やくるみの気持ちがよく分かる。

    この作品は他の小野寺作品とは少し毛色が違って、動くより考えて考えて動けない、ひとりの中年男性にフューチャーした物語。個人的な好みとは違った。

  • この話の主人公は人に対して誠実でありながらも起用に立ち回れずというキャラクター。作者の小野寺史宜の作品である「ひと」や「まち」の主人公と共通している。しかし、本書の主人公は誠実なあまり行動に移せないもどかしさがあり、結果的に上手く立ち回れない。考えすぎて動けない主人公に対し、大丈夫かよと思いながらも行動を起こす後輩の対比が面白い。

  • 当たり前だけど行動力ある奴の方がモテるよね

    35歳既婚男性主人公が血の繋がっていない娘とのギクシャクをきっかけにちょっとだけ交流関係が広がって、結局行動しないために収束していくお話。いやもっと行動しろよ、陰キャかよ。陰キャにしてももうちょっと行動するぞ?と思わされるが、割と私自身も似た行動になっちゃっていそうで自戒させられる…。
    主人公の自己評価とは裏腹に主人公は顔が整っているのだと思う。それゆえに、モテるがゆえに、行動しなくても好都合になった経験があったゆえに、行動力が減少していったんじゃないだろうか、という主人公像の解釈ができる。モテて羨ましいぜ。
    もっと後輩の小池くんから人生のイロハを教えてもらおうぜ、主人公よ。

    結婚・離婚に興味ある人におすすめ

  • 「愛の程度」という作品でしたが、今一つピンとこなかった。どれも軽く感じてしまった。愛の形にも色々あるということなのかな?

  •  綺麗な終わり方。 
    『その愛の程度』って、素敵。 わたしも恋したくなる程、優しく素敵な物語でした。 ままならない、でも、明日への希望が・・・。 最後、"ふふふ"と、笑みが浮かんでいた。

     淡々と綴る優しい文章が素敵。 
    ドラマティックな酔いよりも、普通の男性の喜怒哀楽の素直な呟きが、なんだか魅力的。

    小野寺史宜さん、いいなぁー。

     主人公・豊永守彦は、結婚、離婚、新しい恋、後輩くんの結婚を通して、変わって行く。 恋して敗れての葛藤は、流されやすかった彼には、大きな成長。 応援したくなる。

     それに比べて、年上の妻の逞しさ、したたかさは圧巻。 会社の後輩くんの盲目の恋の勝利には、驚く。

     ○ちょっと余談だけど○
    主人公の会社の"蚊とり器が必ず蚊をしとめる"描写が面白くて読み入った。
    『本当に感心したからこそ、おれは蚊とり器を礼賛したのだ。』

    『礼賛』って・・・。 蚊とり器だよ。 うふふ。

  • 波が立つのも、日常のひとこま。いなしながら、たんたんと、多少食欲は落ちてもって考えると、マナブンは、もはやいやし(なんとっ!)

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著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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