水は海に向かって流れる(2) (KCデラックス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065179086

作品紹介・あらすじ

「俺がいなければ、この人の肩が濡れることはなかったのに」

高校への進学を機に、おじさんの家に居候することになった直達。
だが最寄の駅に迎えにきたのは見知らぬ大人の女性のさん。

案内された家の住人は26歳OLの榊さんと
なぜかマンガ家になっていたおじさんの他にも
女装の占い師、メガネの大学教授と
いずれも曲者揃いの様子。

ここに高校1年生の直達を加えた男女5人での
一つ屋根の下、奇妙な共同生活が始まったのだが、
直達と榊さんとの間には思いもよらぬ因縁が……。

久しぶりに始動した田島列島が自然体で描くのは
家族のもとを離れて始まる、家族の物語。


「この人がいちばん怒っているのは自分自身になのかもしれない」 10年前、父が榊さんの母とW不倫の関係にあった。事実を知った直達はどうすべきか悩むが、一方の榊さんは余計な波風が立つことを嫌い何もなかったことにしたいと望む。事情を知るのは同級生の泉谷さんと同居人の教授、ニゲミチ先生、そして直達の父。静かな緊張感の中で共同生活を送る直達と榊さんの二人は次第に10年前の事件、そして今の自分に向き合い始める。

感想・レビュー・書評

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  • 純情な高校生、なに考えているのかよくわからないけど魅力的な歳上の女性、或いは漫画家のおじさん、ハーフっぽい占い師、たまに帰ってくる教授、その人たちが一つ屋根の下でルームシェアして生活する。青年漫画、高橋留美子『めぞん一刻』以来、鉄板の設定である。

    という風に展開するのは、平成で終わったのだろうか(もしかして昭和で?)、歳上の女性は実は高校生の父親のダブル不倫相手の娘であり、高校生は早々とその秘密を知り、更には女性は父親と鉢合わせ、或いは次々と隠れた関係が「突き合わされる」。結構ドラマチック、でもかなり日常系(キャラも)。でもまだ第二巻。うーむ展開がようわからん。非日常系日常マンガ?これが令和の日常系下宿ものか?

    一応、2020年「このマンガがすごいオトコ編第4位」ということで読ませてもらった。面白くないわけじゃなく、退屈せずに読ませてもらったんだけど、おじさんはようわからん。

  • 知識があると気付ける小ネタも、話の合間に挟まれていてなんだか楽しい。気づけたときには気持ちもスッキリする。
    この物語も登場人物達がいろんな事実や気持ちに気付きながら話が進んで行く。
    気付いているつもりで気付けてなくて、気付けた時に最もスッキリ出来るのは自分の心なのかもしれないなぁ。

  • 3巻まで読んだけれど、消化しきれないので読み返す。再読の度に新たな発見のある本に出会えることは、うれしい。

    たとえば、泉谷さんの「今グレてるのは 誰に甘えてるの?」という直達への問いかけ。答えはやっぱり榊さんだろう。1巻では「俺よりひどい目に遭った榊さんがマトモに生きてる以上 俺がグレるワケにいかない」と言ってたのに、今度は「榊さんがマトモに生きてない以上 俺がまともに生きなきゃなんない理由はないよ」とか呟いてるのだから。

    榊さんが「マトモに生きてない」ことに気づき始めた2巻の直達は、榊さんの荷物を「半分持つ」ために、不器用ながらも榊さんにわがままを言い出すようになる。つまり、今までいい子だった直達が、榊さんには甘えられるようになる。

    素敵だなと思ったのは、マトモではなくても一生懸命生きてきた榊さんが、そんな直達を完全には突き放さなかったこと。完全に突き放してたら、飲み屋に誘ったり、「怒って大丈夫だよ」と励ましたり、ついには一緒に早朝から遠出したりはしない。この積み重ねの結果として、3巻では榊さんにも大きな転機が訪れる。直達も、榊さんにもっと本音を言えるようになる。

    この話の主旋律は、榊さんの止まった時計が動き出すプロセスなのだろうけれど、決して直達→榊さんという一方通行の関係だけが描かれているのではない。直達と榊さんとがお互いに相手を直視しようとするなかで、自分自身の心の置き場を得られるようになり、2人の関係性も変化していく。この過程に、心を打たれる。2人を見守る教授やニゲミチ先生も温かい。そして、胸ぐらをつかんでしまうくらい直達のことを想う泉谷さんの直向きさも、初読時より一層眩しく感じられた。

  • どは恫喝のど(笑)

  • 緩やか〜な雰囲気で、でも話は割と深刻で....
    くだらないボケがとっても好き。
    1巻で言うと教授が海外から帰ってきて寿司じゃなくて肉買ってきた榊さんが国産だし...って言うところとか、2巻で言うと探偵が来るということは死人が出る、みんな動機あるってとことか....

    楓ちゃん、顔が良くて色んな男に告白されてるみたいな設定だから性格悪くて高飛車な感じなんかなって思ってたけど、とっても健気で一途で不器用で可愛いので幸せになって欲しい。

    【追記 10/22】
    3巻まで読了した。アプリの中に3巻がないのでここに追記という形で書く。
    まず読み終えた感想として、最後の最後にハッピエンドでよかったなと思ったし、綺麗にまとまってた気がする。強いて言うなら最後の1年後という設定がちょっと雑かなってところと、雑にしちゃったせいで榊さんと直達くんの関係をその空白期間に知ってたであろう楓ちゃんの「フラれたの?」に違和感がある。
    大人になってしまった自分にとってボーイミーツガールは少々苦しい部分もあったが、緩い作画、緩い雰囲気の登場人物それに対する割とシリアスな物語展開が上手くまとまっていたし、くだらないボケで行間がおかしくなることもなく、スムーズにことが進んでいって非常に読みやすかった。
    2巻を読んだ時点で楓ちゃんが報われてほしいな、と思っていたのに、最後の榊さんの「頭冷めてて欲しかったな、私の」のところとか「カボチャ重いから持ってきて」のところとか、私これまで恋愛してきませんでしたよさんができるような芸当なのか...となったし、とても愛おしく感じた....。ずるいよ榊さん。。
    大抵漫画って一回読んだらまあいいやってなって友達と話してて忘れたな、また読んでみるか...となるんだけど、初めてまた最初から読み直したいと思った。最高の人生にしようぜ。また絶対読みます。

  • 「子供はわかってあげない」の田島列島の最新作。1−2巻読了。叔父の住むシェアハウスに下宿することになった直達。しかしそこに住むOL榊さんの母は、直達の父とかつて、W不倫駆け落ちしたという過去があった…と。それを知る者、あとから知る者、本人は悪くないと思いつつ、割り切れない思いを抱く者。それを知り、自分も半分肩代わりしたいと思う者。直達に心を寄せる者。さまざまな思い渦巻く人間模様。田島列島のテイストが好きすぎて、続きが気になりすぎる。

  • 直達くん素直でいい子なんだけどそれ故に空回りしたり傷つけちゃったり。榊さんのトラウマ解消がメインなんだとしたら次の巻で終わっても不思議ではない雰囲気になってきた。
    ここで門司兄(姉と呼ぶべきなんだろうけど本編「兄」で通してたしな……)登場はファンサービスかしら。

  • 水に流せない過去の出来事のわだかまりをどうしたら良いのか、自分の感情ときちんと向き合おうと、淡々としながらも悩み、格闘している姿に、とても共感が持てる。

  • 怒ってるとか、自罰的になってるとか、諦めているとか、
    言葉に還元できないのが人間だと思うし、
    榊さんやこの漫画の登場人物にはそう感じるから
    人間臭くて面白いんだろうな。

  • 脚本が素晴らしい。
    セリフ回し、ほんとすき。

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著者プロフィール

2008年に新人賞受賞作『ごあいさつ』でデビュー。2014年に開始した連載デビュー作『子供がわかってあげない』は実写映画化もされる人気作となる。2020年に『田島列島短編集ごあいさつ』『水は海に向かって流れる』が評価され第24回手塚治虫文化賞新生賞を受賞。『水は海に向かって流れる』は2023年6月に実写映画の公開も予定。現在「モーニング・ツー」にて『みちかとまり』を連載中。

「2023年 『みちかとまり(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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