ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿 科学者たちの生活と仕事 (講談社学術文庫)

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  • 講談社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065191538

作品紹介・あらすじ

科学史に残るすべての発見は、科学者たちの営々たる努力の賜物といえます。
しかしその業績は知られても、彼らの人となりは、なかなか表に出てきません。

中でも16世紀から17世紀初頭、「科学者という職業」がまだ存在しなかった頃、
天才科学者といえども暮らしは楽ではありませんでした。
パトロンを探しては自薦状で売り込んだダ・ヴィンチ(1452-1519)やガリレオ(1564-1642)、医師と聖職を副業にしたコペルニクス(1473-1543)、放浪の科学者という異名をとったパラケルスス(1493-1541)……。
17世紀に入り、パトロンの庇護性が薄れてくると、莫大な遺産で暮らしたネーピア(1550 -1617)や旧貴族に生まれたデカルト(1596-1650)といった好事家貴族や資産家研究者が目立つようになるものの、
発明権利の先取権争い、師弟の確執、学者同士の決闘など、研究生活は想像以上に波乱に満ちていました。

本書は天文学、数学、物理、医学の分野で名を響かせた有名科学者たちの<生活の糧>を入り口に、
どんな家庭に生まれ、いかにして科学者の道に入ったのか?
パトロンとの関係は? 
歴史の激流に飲まれた時、どう身を処したか?-ーなど、
科学者が職業人として市民権を獲得するまでの前史を、
業績ではなく、彼らの「人生」というユニークな視点から辿ります。

本書の原本は、2000年8月、中公新書より刊行されました。

感想・レビュー・書評

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  • ・パトロンに仕える科学者たち
    ・パトロンから独立する科学者たち
    ・職業科学者への道

    と章を分け、ルネサンス期のコペルニクス(1473年~1543年)からニュートン(1643年~1727年)、デーヴィ( 1778年~1829年)までの科学者たちの、スポンサー探しに苦労したり、貧困に喘いだり(!)、財を成したり、入隊したり、様々な生きざまが紹介されている。

    扱っている期間が長く人数が多いので、各科学者の簡単な伝記となっているのが少しもったいない。

    2020年発行のわりにどうも文章が堅苦しいと思ったら著者さんは1933年生まれの方で元々2000年発行の本が再刊行されたようです。著作権法第67条の2第1項というのを初めて知りました。

    「ガリレオを大科学者の列に加えさせているものは、科学者として真理を擁護したという道義的規範ではなく、あくまでその科学上の達成の高さなのである。(P107)」

    著者さんが科学者たちをあくまで公平に冷静に綴っているところに好感が持てます。

    ティコ・ブラーエは

    「数学の知識をひけらかしたことが原因で同郷の一留学生と決闘する羽目となり、鼻を削ぎとられるという事件があった。(P122)」

    らしいんですが誰か止めてあげればいいのに(泣)

    ニュートンのお小遣い帳のような家計簿?が載っています。きっちりしてるなぁ…。

    個人的に第三部のフランス革命時に創設された3校(パリ高等師範学校、エコール・ポリテクニーク、国立工芸院)のうちの1つであるというエコール・ポリテクニクについてもう少し深く読みたかったです。

    ************************************
    化学は個々の科学者の石にかかわりなく、それ自体が内包する力で発展する、ともいわれる。(P77)

  • 何を発見したかではなく、どうやって生きたか。金がないと生きていけないし、研究なんて余裕がないとできないのよ。親が金持ちなら苦労せずに研究に没頭できるのよね。今も変わらない現状にあるっていうのが悲しいところ。

  • ふむ

  • ルネサンス~18世紀までの科学誌の流れを科学者たちの簡単な伝記でつづったもの。人によって濃淡あり。あまり知られていない生涯を知るのも面白い。たとえばコペルニクスなどあまり書かれていなかったのではなかろうか。個々についてもう少し詳しいとさらに面白かったかも。

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著者プロフィール

さとうみつひこ 1933年山形県鶴岡市生まれ。1956年、東京大学理学部植物学科卒業。62年、同大学院博士課程修了。64年、都立大学理学部生物学教室勤務、助教授、教授を経て、97年定年退職後、非常勤講師に。専攻:植物生理生化学。 著書『”放射能”は怖いのか 放射線生物学の基礎』(2001 文藝春秋)『科学好事家列伝』(2006 リフレ出版)など。2011年没。 

「2020年 『ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿 科学者たちの生活と仕事』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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