メロスの翼

著者 :
  • 講談社
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感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065314586

感想・レビュー・書評

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  • 日の丸を背負った中国人選手。
    国籍差別的な話かなと思ってたら全然違った。いい意味で想像と違った話だった。
    登場人物は多いけど、みんなどこかで繋がっていて、ラストでひとつの形に収束していくストーリーがめちゃくちゃ良かった。普通に泣いた。

    幼少期虐待を受け施設育ちの毛利翼、事業に失敗し借金まみれになった親を持つ三崎啓介、元有名子役だったが事故により下半身に障害を持った川越美玲、この3人の絆と友情が強すぎて泣ける。
    ラスト、バトンが出てくるシーンで鳥肌立った。タイトルも最後に納得。文句なしの1冊でした。横関さん、読みやすいのに心揺さぶる本多くて大好きな作家の1人です。

  • 泣ける。人って、1人では生きていけない。

  • 卓球の世界大会で、急遽出場することになった中国の毛利翼選手のユニフォームに、なぜか日本国旗が付けられていた。疑問に思ったスタッフが調査すると、かつて日本に毛利翼という卓球部員の大学生がいたことを知る。彼らははたして同一人物なのか。一方で過去にさかのぼり、「毛利翼」の物語が紡がれる。彼がどのように生き、そして彼の身に何が起こったのか。読み進むごとにぐっとくる物語です。
    「毛利翼」を中心にして紡がれる物語の数々は、さまざまな辛苦を描きながらもどこかしら温かく救われるような心地になります。客観的に事実だけを見れば毛利翼の人生は決して幸せには思えないのですが。それでも彼が幸せに生きられるのは、彼の考え方ももちろんあるのだけれど、周りの人たちの力も大きいのです。特に超絶イケメンの羽根。一見顔だけのどうしようもないダメな人なのかと思いきや、なかなかに魅力的でした。そして彼の存在なくしてはこの物語は生まれないのですねえ。
    やがて起こるある事件。そして最終的な謎として、中国の「毛利翼選手」の正体とその意図するところ。なるほどそうくるのか、と唸らされます。素敵な物語でした。

  • 評価:6でも7でもいいぐらいの横関作品の最高傑作。これを読んで泣けない読者は皆無だと思う大感動作。登場人物の数も丁度よく、その繋がりと逸話に過不足なく、ラストに至るストーリテリングの素晴らしさは文句の付け所が全く無い。横関作品の読者ならわかっていただけると思うが、そのストーリテリングの上手さがようやく結実し、三皮ぐらい剥けた印象だ。本屋大賞あたりを取っても全く驚かない作品。

  • メロスと言えば『走れメロス』。
    国語の教科書で作品を知り子供心にその友情と信頼関係に感動した事を今も覚えている。

    本作の主人公は毛利翼。
    幼くして母親を亡くし児童養護施設で暮らす天涯孤独の翼が、信頼出来る友と出逢い卓球を知る。

    前途洋々たる未来が見えホッとしたのも束の間、翼は殺人の罪で逮捕されてしまう。
    翼の正義は無いものにされ、圧力による真実の隠蔽に悔しさが込み上げた。

    物語は過去と現在を行き来しながら展開するが、全ての役者が揃った『第1回東京レガシー卓球』の舞台に興奮。

    強い絆で結ばれた友情のバトンに胸が熱くなる。

  • 東京で行われた卓球の世界大会で、中国の無名の補欠選手が注目を集めていた。初戦でいきなり世界ランキング3位の選手に勝利した彼のユニフォームの背中にはなぜか日の丸が縫い付けられていた。
    彼の名は毛利翼(マオ・リーイー)。中国の代表選手が何故、日の丸を背負っているのか?動揺したテレビ局のスタッフが調べると、6年前、毛利翼(もうりつばさ)という大学生が殺人の罪で逮捕されていた。2人は同一人物なのか?別人であれば彼はどういう意図で日本の犯罪者の名前を名乗っているのか?現在と過去を繋ぐ物語が始まる。


    卓球の息詰まる試合展開を描く現在の章。
    虐待を受け、死の寸前で隣人に助けられた翼、翼と卓球を通じて無二の親友となった啓介、そして事故で下半身付随となった元天才子役の美玲、3人の21年に及ぶ青春と友情が瑞々しく描かれる過去の章。
    少年たちは成長し、過去の章が現在の章に追いついた時、大きな感動が待ち構えていた。ラストの黄色いバトンのシーンではもう涙を抑えられなかった。そして表題の「メロス」のもつ意味。

    翼の命を助け、その後もずっと見守り続けた羽根雅人がとてもいい。イケメンだけどだらしなくて最初はいい印象ではなかったけれど、困っている人を助けずにはおれない性格。そして彼に助けられた翼がそれを忘れずにいて、思いやりのバトンを引き継いで生きて行く姿が嬉しい。

    ミステリでありながらスポーツ小説でもあり、そして何より上質の青春小説でもある、読後は爽やかで暖かい気持ちになれる作品でした。

  • 翼があんな子に育ったのは、きっと児童養護施設の所長さんが素晴らしいんだろうな。

  • スポーツ×青春×ミステリーの傑作に心打たれました。

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著者プロフィール

1975年静岡県生まれ。武蔵大学人文学部卒。2010年『再会』で第56回江戸川乱歩賞を受賞。著書に『ルパンの娘』『ピエロがいる街』『沈黙のエール』『チェインギャングは忘れない』『スマイルメイカー』『グッバイ・ヒーロー』『炎上チャンピオン』『仮面の君に告ぐ』『いのちの人形』などがある。

「2023年 『ゴースト・ポリス・ストーリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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