- Amazon.co.jp ・本 (80ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065319949
作品紹介・あらすじ
「映像を見ていたわたしは、あっ、とおどろきました。たちこめる霧のむこう、水平線のかなたに見えるのは――戦艦アリゾナだったのです」
ロイス・ローリーが、自身の映ったホームビデオをよく見ると、
真珠湾攻撃で撃沈されることになるその艦が、映り込んでいました。
自らの経験を織り交ぜながら、
2度のニューベリー賞受賞経験を持つ著者が、
敵味方なく戦争下で実際に生きた人に想いをはせ、つむいだことばの数々。
戦争の両者には憎しみと恨みだけでなく、共感する痛みと悲しみ、生きた感情がありました。
日本に住んだこともある著者が体験した思いと、希望。
真珠湾と広島、その時いた人々とこれからを生きるみなさんをつなぐ、
やさしく読めて深く考える1冊です。
(ニューベリー賞:アメリカで出版された児童文学作品の中で、もっとも優れた作品の著者に送られ、児童文学賞の中でいちばん長い歴史を持つ賞)
●著者紹介
ロイス・ローリー
1937年ハワイ生まれの児童文学作家。アメリカ陸軍の歯科医だった父について各地を転々とし、1948年からの2年間、11才から13才までを日本で過ごした。現在はメイン州在住。1990年に『ふたりの星(Number the Stars)』(童話館出版)、1994年に『ギヴァー 記憶を注ぐ者(The Giver)』(新評論)で、ニューベリー賞を二度受賞する。「ギヴァー」は大人気シリーズとなり、世界累計1200万部を超える。他にも『モリーのアルバム (A Summer to Die)』『Windeby Puzzle』など多数。
ケナード・パーク
アートディレクター、画家。ドリームワークスやウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ等で仕事をし、多くの児童書を執筆する。
『Goodbye Autumn, Hello Winter』でゴールデン・カイト賞を受賞。
田中奈津子
翻訳家。東京都生まれ。東京外国語大学英米語学科卒。『はるかなるアフガニスタン』が第59回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に、『アラスカの小さな家族 バラードクリークのボー』『わたしのアメリカンドリーム』が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選ばれている。翻訳は他に『こちら「ランドリー新聞」編集部』『ぼくたち負け組クラブ』『橋の上の子どもたち』(以上、講談社)など。
感想・レビュー・書評
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1945年
ハワイにいた少女
広島近くに住んでいた少年
それぞれが見た景色
戦争が終わり、東京でお互いに会ってたが
数年後に会う
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真珠湾といえば、日米開戦の日本の非通告攻撃が真っ先に思い浮かぶ。
外務省の出先機関が通告を忘れたとの話が有名だが、そもそも戦争回避ができなかったかと思う。
日本ではこの部分が強調されることが多く、その攻撃で命を落とした兵士のことは殆ど触れられることがない。
真珠湾で犠牲になったのは戦闘員であり、ヒロシマでの非戦闘員の犠牲と比べてはいけないのかもしれないが、同じ命である。
著者が実際に居合わせたハワイでの記憶をひもとき、物語が綴られる。 戦争も紛争も、権力による暴力行為は、憎しみや怒り、嘆きの感情しか生み出さないということを、なぜわれわれは学び、その構造を変えようとしないのだろうか。 -
真珠湾攻撃、広島への原爆投下。戦争中の悲しいふたつの出来事と、自分のわずかなつながりを見い出した作者が平和を願って綴った詩。
真珠湾攻撃と広島への原爆投下を同列に考えていいものかという議論はあるかもしれない。ただ、実名を多く用いた本作は、犠牲者ひとりひとりに家族がいて、生活があった、未来があったことを描いている。そこが、ずんと胸に来る。
原書と見比べて、いろいろ詩の訳し方について勉強させられる……。けっこう省かれている部分もあるんだな。でも、原文の言いたいことは伝わっているし、自然だし、淡々とした語りがいい。余計に胸にささる。
原書で事実誤認なのでは?と思われたところも、ちゃんと直されている……!
若い世代が戦争を過去、あるいは遠い場所でのフィクションのように感じている今、自分と戦争の悲劇とが間違いなく地続きだと気づいてほしい。
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「真珠湾」と「ヒロシマ」を、それぞれ体験した少女と少年が、終戦後の東京で、偶然同じ場所に居合わせていた。
そして長い年月が経過し、二人は再会する。
それぞれの人生が交わる意味を考える。 -
アメリカと日本。両方の側面からパール・ハーバー、原爆について書かれている。すごく薄い本だが胸に迫るものがある。
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真珠湾攻撃と広島の原爆、どちらも多くの犠牲者を出した悲惨な戦争の一幕。
戦争の始まりと終わりのこの場面には、一人一人の物語、生きていた証があるんだと思わされた。
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明日を迎える前に。