機密費 (集英社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087201031

感想・レビュー・書評

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  • [ 内容 ]
    二〇〇一年四月二十六日、80%台の驚異的な支持率を背景にスタートした小泉内閣。
    その最大の目玉・田中真紀子外務大臣が乗り込んだ外務省は、かつてない危機を迎えていた。
    年初に明るみに出た松尾克俊元要人外国訪問支援室長の横領事件をきっかけに、「機密費」という得体の知れない存在が、国民の目にさらされたのだ。
    本書は、「個人犯罪」にすりかえられた「機密費」スキャンダルに光を当てるとともに、事件を生んだ土壌、事件が提示する数々の疑惑等を検証し、「日本にとって機密とは何か」という根源的な問いに挑む。

    [ 目次 ]
    序章 「改革断行」政権と機密費
    第1章 外務官僚・松尾克俊とその犯罪
    第2章 政府の裏ガネ「機密費」
    第3章 機密費はどう使われたか
    第4章 疑惑解明に抵抗する官邸・外務省
    第5章 日本にとって「機密」とは何か

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 森政権〜第1次小泉政権あたりに世間を賑わせた機密費の話。当時は、世の中には表沙汰にしてはならない事柄は多々あるものと受け流していたが、本書を読んで、この話題は2つの問題をはらんでいる事がわかる。1つめは、機密費という名目が、単なる裏金作りの道具になっていること。政局や選挙や外遊の場面で、かなりの額を身内で浪費しているようだ。もう一つは、本来の意味での機密費(公式には、機密費なる費目は存在せず報酬費と云われる)を充当すべき活動 ーーー つまりインテリジェンス行動が、我が国において極めて曖昧に済まされている事。戦力を持たずに、透明な政治・外交を建前にすると、機密の国家活動はあり得ない論理が成立するが、そんな訳が無いのが現実世界な訳で、この矛盾を何とかせねばならない。小泉さんの時代が、既に古き良き歴史の領域に入りつつあり、機密費云々で騒いでいられない世の中になったが、領土問題やTPP交渉など、真の国益に向けた「機密費」の活用局面は多分にあるはずだ。

  • 国民の税金がこんな無駄に使われているのかと思うと憤慨。マスコミはアホなニュースばかりでなくこういう記事をもっと大きくアピールするべき。
    外務省の歪な構造にやるせなささえ感じる。情けない。
    必要な機密費もある。例えばインテリジェンス活動や震災復興など。これらをもっと活用できる土壌を作るべき。大韓航空事件の1983年も上手く行かなかったようだ。もっともこのときは外務省も防衛庁も駄目でも後藤田官房長官がしっかりしていたから事なきを得たと思うが。

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著者プロフィール

1947年、東京に生まれる。上智大学文学部英文学科中退。週刊誌記者を経て81年からフリージャーナリストに。現在は情報誌「インサイドライン」編集長。ニューヨークで発行する「The Oriental Economist Report」の東京支局長も務めている。日本外国特派員協会(FCCJ)、日本記者クラブ、日本ペンクラブ、外国特派員協会(OPC、ニューヨーク)正会員。国際関係では日米問題やアジア問題、また国内政治問題や国際金融問題などについても多くの論文、著作がある。事件の核心に迫り、問題提起を絶やさない、真摯な取材・執筆姿勢には定評がある。「現代ビジネス」(毎週土曜日)、「夕刊フジ」(毎週月曜日)で連載中。
著書に『大蔵省 権力の秘密』(小学館)、『日本の危機管理』(共同通信社)、『官僚疑惑』(東洋経済新報社)、『機密費』(集英社新書)、『外務省の権力構造』(講談社)、『自民と民主がなくなる日』(幻冬舎新書)、『安倍政権365日の激闘』(東洋経済新報社)、『完全取材主義――永田町の現在史を読み解け』(敬文舎)、『財務省の黒い霧』(宝島社新書)など多数。

「2019年 『政治のリアリズム 安倍政権の行方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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